人妻課長が残業で童貞を筆下ろしした夜

夜十時を過ぎたフロアは、蛍光灯の白い光だけが残っていた。空調の低い唸りと、私のキーボード、そして少し離れた席から届く若い打鍵音。それ以外の音は、もう何もなかった。

このフロアに残っているのは私と彼だけ。三十七歳の人妻である私と、入社二年目の契約社員、琉生くん。二十一歳。母親と息子と言われても通る歳の差が、夜のオフィスでは湿度になって漂っていた。

私は既婚者で、家には小学生の娘がいる。昼間は数字を追う顔を保っている。経理として、ミスを許さない顔。それでも今夜、琉生くんの視線がスカートの裾に落ちるたび、身体の奥が先に熱を持った。夫との夜では、もう何年も感じなかった熱だった。

「この見積もり、朝イチで出したいの」

そう告げた瞬間、琉生くんの目が一瞬迷った。口より先に欲望を語る目だ。三十代後半の皮膚と呼吸が、それを見逃さない。彼は私の脚を見ていた。仕事用の黒スカートが、立ち座りのたびに太ももの熱を逃がさない。私はそれを知りながら、わざと立ったまま話しかけた。

「琉生くん、そのファイル、私のデスクに持ってきて」

靴音が妙に速くなった。若い男が女に興奮しているときの呼吸の浅さ、肩のわずかな震え。私は何度も男たちの中にそれを見てきた。ただ彼だけは、懇願をまだ押し殺していた。押し殺すほどに、私の太もも裏がじわりと湿った。下着の布が肌に貼りつく感触が、自分の中の女を起こしていく。

「どうしたの。顔、赤いよ」

わざと近づいて、声を落とした。自分でもわかるほど湿った声だった。琉生くんの喉が上下する。この子は、踏み出せば崩れることを知っている。それでも触れたくてたまらない。私の中の、昼間は押し殺している部分が、その迷いを美味しく舐めていた。

書類棚の上段に手を伸ばすと、スカートが臀部に貼りつき、太ももをなぞってずり上がった。彼の視線が、息より先に背中へ触れてきた。まだ言葉は交わしていない。それでも漂う欲の熱が、下腹を震わせた。すでに愛液が太ももを伝い始めている。

振り返ると、琉生くんは両手を握りしめたまま立っていた。

「……課長、俺、もう……教えてください。どうすればいいか、わからないんです」

喉の奥から絞り出した声だった。理性の最後のかけらが震えている。私は書類を置くふりをして椅子に座り、ゆっくり脚を組んだ。視線だけで誘う。組んだ脚の間から、自分の熱が漏れているのがわかった。

「どうしたの」

囁く声が熱を孕んでいた。琉生くんは動けない。初めて女に触れたいという飢えだけが、まなざしに浮かんでいる。私は脚をほどき、片方を椅子から滑らせた。スカートの裾が落ち、太ももの白い肌が露になる。彼の喉が鳴った。その音が、私の内側を撫でた。

「触ってみる? 怖がらなくていい」

たった一言で、彼の全身が支配された。おずおずと膝をついた手が、震えて太ももに触れる。二十一歳の指先は熱く、初めての感触に戸惑っていた。私はその手を包み、自分の奥へゆっくり導く。下着の上から伝わる湿りに、琉生くんの呼吸が跳ねた。布越しに伝わる熱と粘度に、彼の指が止まる。

「ここが、欲しくなるところよ。女は、こうやって濡れるの」

指を滑らせ、粘度と温度を教える。彼の鼓動が指先を通して伝わるたび、私の身体が“教えることで感じる器官”に変わっていくようだった。下着の端をずらし、直接肌に触れさせる。熱い指が割れ目をなぞった瞬間、私の奥が小さく収縮した。若い男特有の、少し汗ばんだ匂いが鼻先をかすめる。

デスクの奥のソファへ導き、仰向けになる。スカートを捲ると、彼の目が釘付けになった。薄い布の中央がすでに濃く染まっている。私は自らその布を横にずらし、開いて見せた。

「見て。これが、あなたが知りたかったもの」

目が見開かれる。怖れと歓びと飢えが同時に浮かぶ。私は彼の頭を優しく引き寄せ、熱い息が当たる位置まで導いた。初めて唇が触れたとき、琉生くんの肩が大きく震えた。拙い舌が、恐る恐る、しかし貪欲に動く。私は彼の髪を撫でながら、腰をわずかに持ち上げた。

「そう……そこ。ゆっくり舐めて。音、立ててもいいわ」

湿った音が夜のオフィスに小さく響く。自分の味を彼の口に与えている感覚が、背筋を熱くした。十分に濡らしてから、細く固く震えるものを手で導き、入り口に当てる。最初はほんの少し。次に、もっと深く。手で導き、腰で受け、脚で包む。入ってきた瞬間の、若い男特有の熱と硬さが、奥まで届いた。

「力まなくていい。ゆっくり、私の中を感じて。あなたのが、今、私を拡げてる」

恍惚と緊張が混ざる顔。彼が自分の男を知った瞬間を、奥で味わっていた。自ら上になり、彼の手を胸へ、腰へ、喉へと運ぶ。知らなかった女の重みと濡れと熱を、身体に刻み込む。乳首を指で摘ませ、腰を深く沈めるたびに、彼の吐息が乱れた。

「これはあなたの初めて。でも、もう私のものでもある。全部、私にください」

その囁きに、琉生くんの目が潤んだ。涙ではない。初めてが、私の中で終わりを迎えようとしていた。奥を小突かれるたびに、私の中から甘い音が漏れる。彼の腰が勝手に速くなる。私はそれを受け止め、自分の奥で締めつけた。

一度果てたあと、熱いものが奥に広がった。それでも彼の動きは止まらなかった。まだ中に入ったまま、小さく震え続けている。

「課長、もう一度だけ……お願いです。まだ、足りない」

潤んだ目で見上げる顔に、罪悪感より甘いものが先に来た。この子の中に、すでに私は刻まれてしまった。脚を抱えられ、熱がもう一度硬くなって重なる。二度目は痛みも迷いもなく、満ちていく感覚だけが広がった。肌が打ち合う音、濡れた音、椅子の軋み。資料がずれていく。

「こんなに、あったかいんですね……中が、締まる」

耳元でこぼれた声が、快感のど真ん中より深く奥を濡らした。頬を撫で、汗をなぞる。夫ではない誰かに、若さと飢えのすべてで求められること。いつからなくなっていたのだろう。抱かせてあげているようでいて、実は抱かれてしまっている。私の方が、溺れていた。

「……課長、好きです、俺。出しても、いいですか」

何も言えなかった。背を引き寄せ、深く導くように腰を打ち返す。絶頂は静かに、長く、体中を何度も往復した。甘い呻きを彼の肩に埋める。彼も同時に、奥で脈打った。熱いものが、また広がる。

終わったあと、しばらく言葉はなかった。髪を撫で、腰に手を添えられたまま、鼓動だけを重ねていた。ロッカーの時計が零時を指す。帰らなければいけないのに、帰れない。帰したくない。ずれた下着を直し、背を向けて言った。

「琉生くん、明日の朝も早いわよ。顔に出さないで」

声には微笑と名残と、濡れたまま眠れない熱が滲んでいた。

あの夜のことは、誰にも話さない。夫にも、娘にも。けれど身体が一度あの熱を知ってしまったことだけは、もう誤魔化せない。次の残業の夜、琉生くんの席を見ただけで、太ももが熱を帯び、下着が先に湿る。すでに感じてしまったなら、次はもっと深く、もっと長く、と身体が先に覚えている。

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