【第1部】金沢の妻・彩子三十七歳──加賀友禅の町で裸を晒す決意
石川県金沢市。加賀友禅の絹のような街並みと、雨に濡れる石畳の路地に暮らす私は四十歳の会社員。妻の彩子は三十七歳。黒髪をひとつに束ねた姿は清楚そのもので、普段は控えめで大人しい彼女が、ある夜の食卓でふいに切り出した。
「ねえ……友だちから誘われて。絵画教室のヌードモデル、やってみようと思うの」
味噌汁の湯気の向こう、彼女の頬はほのかに上気していた。その声音は羞恥と昂ぶりが混じり合い、聞いた瞬間、私の胸にざわめきが広がる。
会場となったのは金沢の古い町家を改装した画室。土壁にかけられた裸電球が薄暗く灯り、雨の滴る音が障子越しに響いていた。
彩子は白いガウンに身を包み、細い指先で胸元を押さえながら小さく呟いた。
「……見られるなんて、こんな気持ちになるんだ」
布が滑り落ちた瞬間、しんとした室内に微かな吐息が響く。
肩から鎖骨、胸の起伏、腹部の曲線へと続く肌は、雨に濡れた石畳のように艶を帯び、思わず視線が吸い寄せられる。
生徒を装い絵筆を持つ私は、誰よりも近くでその裸体を目撃していた。
絵描きたちの視線を浴びるたびに彼女の頬はさらに紅潮し、乳房の先端は硬さを増していく。
羞恥と昂ぶりが交錯する妻の吐息に、私の理性は音を立てて崩れていった。
――加賀の夜に晒された妻の裸体は、ただのモデルではなく、私の欲望そのものを映す鏡だった。
【第2部】雨に濡れる金沢の夜──画室で昂ぶる妻の裸体と男たちの視線
夜が更け、雨脚が強くなっていく。町家の画室は静まり返り、裸電球の明かりだけが妻・彩子の肌を浮かび上がらせていた。
畳の上に置かれた座布団に腰を下ろし、膝を少しだけ開く。生徒たちの筆先が紙の上を擦る音が、呼吸のように重なり合い、空気を湿らせていく。
「……こんなふうに見られるなんて」
彩子は小さな声で吐き出す。だがその震えには怯えよりも、次第に甘さが混じり始めていた。
首筋を伝う汗の雫が胸の谷間をすべり落ち、乳尖を濡らして光を帯びる。
男たちの視線がそこに吸い寄せられるのを、私は“生徒”としての仮面の下で必死に堪えながら見つめていた。
指で筆を握るだけで、心臓の鼓動が耳の奥を突き破りそうだ。
「……だめ、見られてるのに……あぁ……」
妻の声は次第に吐息へと変わり、紅潮した頬に影が落ちる。
薄く開いた太腿の奥、秘められた湿りが灯りに映えて、見てはいけないものを覗かせていた。
その姿に息を呑む男たち。紙の上の線はすでに絵ではなく、欲望を描き写すだけの痕跡になっていた。
彼女はそれを知ってか知らずか、胸を震わせ、小さな喘ぎを抑えきれずに漏らした。
雨音と筆の擦れる音、そして妻の吐息。
その三重奏が、金沢の夜を淫靡に染め上げていくのだった。
【第3部】金沢の町家が淫らに揺れる夜──妻が晒した絶頂と夫の嫉妬と昂ぶり
その夜遅く、写生会は名目を失い、町家は「描く場」から「裸を愉しむ場」へと姿を変えていた。
障子の外では雨がしとどに降り続き、軒を叩く水音が静寂を濡らす。だが室内には別のリズム──妻の吐息と男たちの息づかいが渦を巻いていた。
畳に敷かれた布団の上、彩子は裸身をさらし、うつ伏せから仰向けへと転がる。そのたびに黒髪が乱れ、胸が小さく跳ねる。
「……見ないで、でも……もっと……」
羞恥と快楽に裂かれる声は、蝋燭の灯りよりも妖しく震えていた。
誰かの指先が腰の曲線をなぞると、彼女の全身が小さく弓なりに反り返る。
「やぁ……あっ……」
短く噛み殺された声。それは抗いではなく、受け入れた悦楽の証に過ぎなかった。
私は“生徒”を装いながら、その輪に加わる。嫉妬と昂ぶりに胸を裂かれながらも、妻の濡れた瞳を直視せずにはいられなかった。
「孝夫……見て……わたし、もう……」
その呼び声に、私の理性は音を立てて崩れ落ちる。
灯りに照らされた白い肌は雨に濡れた石畳のように光を宿し、全身を震わせながら彼女はついに絶頂を迎えた。
「……あぁ……っ、だめぇぇ……っ!」
天井を揺るがすような叫びは、雨音をも呑み込み、町家の夜を淫靡に満たした。
快楽の余韻に震える彩子の胸を見下ろしながら、私は悟った。
――妻の裸体は、もはや絵画では収まりきらない。見られる悦びと見守る快楽、その両方を背負った生身の女の真実だったのだ。
まとめ──妻が晒した裸体と夫婦の奥に潜む欲望の記録
金沢の雨の夜、三十七歳の妻・彩子が踏み出したヌードモデルの一歩は、単なる芸術のためでは終わらなかった。
画室に漂った緊張、見知らぬ男たちの視線、そして晒された裸体に滲む羞恥と悦び。
そのすべてが絡み合い、やがて町家は「描く場」を超えて「欲望の舞台」と化していった。
夫としての嫉妬と、生徒としての昂ぶり。その二重の視点で見つめ続けた私は、妻の内に眠っていた「見られる悦び」が音を立てて花開く瞬間を、誰よりも鮮烈に刻み込んだのだ。
――人はなぜ、裸を晒し、裸を見守ることで震えるのか。
その答えは単純な背徳ではなく、愛と欲望の境界を超えた「本能の共有」にこそ潜んでいた。
彩子が絶頂の声を上げたあの雨の夜。
私たち夫婦の記憶には、嫉妬と官能が溶け合い、二度と消せない深紅の印が刻まれたのである。



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