同窓会の夜、届かない電話──信じたいのに震える心と、彼女の香りが残った部屋で

同窓会NTR 音信不通になった一夜、最愛の婚約者はボクに内緒で元カレと… 白岩冬萌

白岩冬萌の魅力が炸裂する、大人のドラマNTR。婚約直前に届かない一本の電話──同窓会での再会が、記憶と現在を交差させる。ムーディーズならではの端正な映像と演出、呼吸まで拾う音づくり。表情の揺れ、香りまで感じる距離感、静かな台詞が胸を刺す。レビュー高評価も納得の没入感で、朝の一筋の光まで語る物語性に痺れる。物語は“信じる/揺らぐ”を最後まで引っ張り、見終えたあとに長い余韻。長回しのカット割りと品のある衣装美も◎。上質な背徳サスペンスを丁寧に味わいたい人へ──迷わずカート行き。



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【第1部】鈍い予感──届かないコールとコロンの残り香

 帰宅して最初に気づいたのは、カップボードの隅に置かれた小さな瓶だった。冬萌のコロン。金色のキャップに指を触れると、昼の体温がまだ宿っているみたいで、わずかに甘い柑橘と白い花の気配が立ちのぼる。
「同窓会、行ってくるね」
 玄関でそう言った彼女の笑顔は、長年の付き合いのなかでもいちばん晴れて見えた。婚約の報せを双方の親に伝えたばかりの週末。お互い、もう子どもではないという安堵が、会話の隙間を丸くしていた。行ってらっしゃい。そう言って、僕は玄関扉の閉じる音を、縁起のいい合図みたいに受け取った。

 夕方が夜に変わる境目、窓の外で、路線バスがブレーキを踏む音がした。カーテンの裾が、冷えた空気と一緒にゆっくり揺れる。スマホには、何も来ていない。
 既読がつかないことに意味を与えるのが、いちばん愚かな遊びだと知っている。けれど、人はときどき愚かでないとやっていけない生きものだ。僕は冷蔵庫の氷をグラスに落として、音の余韻が消えるまで耳をすませた。氷に注いだ炭酸の泡が、細かくはぜては消える。まるで、考えが弾ける音が可視化されたみたいで、少し笑ってしまう。

 テレビは消した。部屋は静かになりすぎ、僕の呼吸が生活音になった。彼女のマグカップを洗い、テーブルを拭き、床に落ちた髪の毛を指先で拾って、ゴミ箱へ落とす。それらは全部、時間に手触りを与えるための儀式だ。
 八時。一次会の終わる頃だろう。僕は一度だけ電話をした。呼び出し音は、教科書に載っていない外国語みたいに遠い。つながらない。
 大丈夫。僕は信じることにかけては、それなりに鍛えられてきた。疑うことの手際のよさは、心の体温を奪う。信じるほうが、少なくとも温かい。

 冬萌は綺麗すぎる。公平であろうとする人ほど、美しさに過敏だ。彼女自身がそうだ。人の善意にも悪意にも、同じ距離で触れようとする。その無垢な平衡感覚が、ときどき、僕を不安にさせる。
 例えば、そこに元カレがいたとして。
 例えば、古いあだ名で呼ばれて、懐かしい旋律が胸骨を叩いたとして。
 例えば、酔いの毛布が一枚、肩に掛かったとして。
 たったそれだけで、人は簡単に昔の温度へ帰ってしまうのだろうか。

 九時を過ぎると、窓の外でタクシーが急いだ音が続けざまに鳴った。二次会へ向かう人々の影が歩道を流れる。街は、誰かの選択の総和で明るい。
 僕はもう一度だけコロンの瓶のキャップを開けて、ふわり、と吸い込んだ。鼻腔の奥が少し痛むくらい鮮烈で、それは冬萌の笑い声の立体映像だった。あの声を、これからも生涯、起きている時間の半分は僕の傍で鳴らしたい。そう思うと、胸が静かに熱を持った。

 十時。通知は沈黙のまま。
 ソファに背を沈め、指先でスマホの角を撫でる。触れているだけで、救命胴衣に手をかけているみたいに落ち着く。画面の黒は深い湖面のようで、文字通り僕自身を映し返す。そこに、眠れていない男の目が二つ、暗がりのなかで固まっている。
 信じたい。
 疑いが信頼の対岸にあるのではなく、同じ橋の片側に並んで立っているのだと、何度も言い聞かせる。風が吹けば、どちらにも揺れる。揺れながら、真ん中に戻ろうとする。それが、僕たちの均衡だ。

 十一時。初めて、音のない吐息が漏れた。
 電話をしない代わりに、短いメッセージを書いては消し、また書いては消す。
「楽しんでる?」
「終わったら気をつけて帰ってきて」
「無理しないでね」
 どれも、送ってしまえば安堵か後悔のどちらかへ傾く文だ。送らないことは、揺れの中心に立つこと。けれど、中心はときに、足元が見えないほど暗い。

 午前零時の少し前、廊下の照明が自動的に落ちた。家電の小さな点滅が、夜の星座のように家の内部を縫う。僕は窓を少しだけ開け、冷たい空気を胸に流し込む。遠くで笑い声。近くで信号の切り替わる音。誰かの人生が加速したり減速したりする、無数の瞬間の交差点に、自分もまた立っているのだと気づく。

 ふと、思い出す。
 プロポーズの夜、彼女はテーブルの端に置いた指輪を見て、少し黙った。涙を堪えるとき特有の、喉の奥が細くなる音がして、「ねえ」と言った。「私を信じるって決めてくれたあなたを、私も信じたいの」
 “決めてくれた”という言い回しが、妙に胸に残った。信じることは情熱ではなく、意思の問題だ。選ぶのだ。たとえ不安が理屈を持って押し寄せる夜でも、選ぶほうへ身体を傾ける。

 零時。三度目のコール。やはり、つながらない。
 想像は、動物の影のように壁を走る。ホテルのロビーに溢れる絨毯の匂い、廊下の静けさ、鍵が回る音、閉まるドアの重み。誰も僕を責めていないのに、僕は自分を責める。ありえない展開、くだらない妄想――そう言い捨てることでしか、想像の脚を止められない。
 それでも、止めたはずの脚は、どこかでまだ動いている。想像は息を潜め、次の息継ぎを待つ泳ぎ手みたいに闇の底で身を丸める。

 キッチンに立ち、蛇口をわずかにひねる。水がステンレスを叩く音は、懺悔にも似て澄んでいる。コップに水を満たし、喉を通す。冷たさが身体を一本の管に変え、余計な音が消える。静寂が戻る。
 窓辺に立ち、外を見下ろす。タクシーは減り、コンビニの白い光だけが変わらず明るい。人は夜でも、明かりのある方へ歩いていく。その仕組みを責めることはできない。僕だって、彼女の笑顔という明かりに向かって歩いてきた。もし彼女が、昔の明かりに少しだけ足を向けたとしても――その灯りが消えるまで見届けて、帰ってくる道を照らせる人間でありたい。

 零時半。指輪を外して、掌にのせる。冷たさは、約束の輪郭をはっきりさせる。光は静かで、音がしないのに鳴っているように見える。
「冬萌」
 声に出してみる。名を呼ぶだけで、部屋の空気が柔らぐ。名前は、離れている二点を結ぶ最短距離の糸だ。たとえ相手が遠くのざわめきの中に紛れていても、その糸の先は確かにここへ繋がっている。

 午前一時。ようやくメッセージが一つ、届いた。
《ごめん。二次会長引いた。いまタクシー。帰ったら話すね》
 たったそれだけ。
 画面の白が、深夜の湖面に差す月光みたいに広がる。僕は息を吐く。長い夜歩きのあとのベンチに腰を下ろした気分。信じるという選択の上に、言葉がひとつ、そっと置かれた手のひらの重さ。

 鍵が回る音を、僕はまだ聞いていない。けれど、耳がその音の形を覚えている。ドアの向こうに立つ人の影。その靴音。コートが壁に触れる気配。
 夜は、終わるまでは終わらない。けれど、終わりを待つあいだにも、小さな朝は何度か訪れる。メッセージの点滅は、その一つだ。
 僕はコロンの瓶のキャップを閉める。甘い香りはまだ空中に漂い、見えない糸で部屋の四隅をゆるく結ぶ。どこにも切れ目はない。指輪を薬指に戻し、ゆっくりと座り直す。

 信じることは、夜の舌で言えば、静かに溶ける飴のようなものだ。すぐには消えない。甘さは控えめで、時々ほろ苦い。けれど、その味がある限り、喉はからからにならない。
 遠くで、タクシーのドアが閉まる音がした。時計の針が、同じ場所を何度も通り過ぎる。僕は呼吸をひとつ深くして、玄関の向こう側にある足音のイメージを、そっと胸の中心に灯す。
 夜の長い廊下を、確かめるように歩いていく。次の扉が開くまで、言葉を磨ぐ。届かないコールの残響と、甘いコロンの余韻のあいだで。

【第2部】記憶の影──帰宅した彼女と夜の温度差

 鍵の回る音がした。
 その一瞬、心臓が物理的に跳ねるのがわかった。どれほど長くこの音を待っていたのか。時計は午前一時を過ぎていた。ドアの隙間から冷気が流れ込み、続いて、淡い香水と微かなアルコールの匂いが部屋の空気に混ざった。

「ただいま」
 声は穏やかだった。酔っているのか、あるいは眠気が混じっているのか、判断がつかない。
 冬萌はコートを脱いで、壁際のハンガーに掛ける。白いセーターの肩にわずかな皺が寄っていて、そこに残る影が夜の名残のように見えた。

「遅かったね」
「うん、ごめん。二次会が思ったより長引いちゃって」
 彼女は笑いながら靴を脱いだ。
 その笑顔は、確かに見慣れたものだった。けれども、どこか奥にわずかな曇りがある。彼女が座る前に、僕はテーブルの上のコップを片づけ、何か言葉を探した。

「楽しかった?」
「うん。懐かしかったよ。みんな、変わってなくて」

 彼女はそう言いながら、指で髪をすくい上げた。耳の後ろのあたりが少し赤い。冷たい空気のせいか、あるいは別の理由か。僕はその指の動きを目で追いながら、何も問えなかった。

 部屋の灯りが暖かすぎて、互いの沈黙が膨張する。冬萌はバッグからスマホを取り出して充電器に差し込み、すぐにソファに腰を下ろした。
 座った瞬間、わずかにスカートの裾が揺れて、光が脚の白さをなぞった。その白さの中に、微かに夜の色が混じっているような錯覚。

 僕はキッチンから温かい水を持ってきた。
「喉、乾いたでしょ」
「ありがとう」
 彼女はグラスを両手で包み、唇を近づけた。その仕草が妙にゆっくりで、見てはいけない映像を再生しているような気がした。

 沈黙が伸びる。
 時計の針が、冷たく時間を刻む音だけが部屋に残った。

 やがて冬萌が言った。
「ちょっと、お風呂入ってくるね」
 その言葉のあと、彼女は立ち上がり、洗面所へ向かった。
 ドアが閉まる。
 すぐにシャワーの音が響きはじめる。一定のリズムで、透明な音がタイルに跳ねる。

 僕はソファに沈み込み、目を閉じた。想像を止めるには、想像の先を歩くしかない。
 髪に残る香り。肌の上の温度。誰かの指の形。そんなものを考えたくないのに、音がすべてを呼び起こす。水が流れる音が、まるで記憶を洗っているようで、どんどん想像の輪郭が濃くなっていく。

 十五分ほどしてシャワーの音が止んだ。
 ドアの開く音。髪を拭く布の擦れる音。
 タオルを巻いた彼女がリビングに戻ってくる。髪から滴る水が肩を伝い、鎖骨のあたりで消えた。その線を目で追いながら、僕はただ呼吸を整えた。

「ねえ」
 彼女が僕を見た。
「心配した?」
 その問い方が、少しだけ甘かった。
「……うん」
「ごめんね」
 そう言って笑った彼女の唇が、少しだけ震えた。

 僕はその微細な震えを見逃さなかった。まるで何かを言いかけて、のみ込んだような、そんな震えだった。

 冬萌は髪を乾かしながら、窓際に立った。
 外の闇を見つめている。
 その背中を見ていると、僕は妙に懐かしい感覚に襲われた。
 高校のとき、彼女が放課後の教室で窓の外を見ていたときと同じ姿勢だった。あのときも、何を考えているのか分からなかった。

 言葉が喉に詰まる。
 問いかければ、何かが壊れてしまう気がした。
 でも、何も言わなければ、もっと大切なものが壊れるような気もした。

 そのとき、彼女がふと振り返った。
「ねえ、今日ね、久しぶりに○○(元カレの名前)に会った」
 彼女は静かに言った。
 その声は、あまりにも落ち着いていて、逆に不安を煽った。

「そうなんだ」
 ようやく絞り出した声は、自分のものとは思えなかった。
「向こう、結婚してるって。子どももいるって」
「そっか」
「うん。だから、何か…すごく不思議だった。あの頃の自分たちが、まるで違う世界の話みたいで」

 彼女は笑った。けれどその笑顔は、少しだけ泣きそうだった。

「昔の話、だよ」
 その一言で、会話が終わった。
 けれど、“昔”という言葉の中に、まだ温かい“今”が少し混じっている気がした。

 彼女が寝室へ向かう。
 僕は少し遅れて立ち上がり、明かりを落とす。
 暗闇の中で、布団の擦れる音、衣擦れ、呼吸のリズム。
 眠りの前の沈黙は、まるで二人の間に見えない薄膜を作る。

 その薄膜の向こうで、彼女の背中がわずかに動いた。
 呼吸とともに、柔らかい熱が空気に滲んでいく。
 僕は手を伸ばそうとしたが、寸前で止めた。

 触れたら、全部が確定してしまう気がした。
 触れないまま、夜を越えること。
 それが、今できる精一杯の“信じる”だった。

 窓の外がわずかに白む。
 彼女の寝息が静かに重なっていく。
 その音が、遠い場所で誰かが笑っているように聞こえた。

【第3部】朝の残響──沈黙の告白と信じるという選択

 カーテンの隙間から、朝の光が細く差し込んでいた。
 冬萌の髪がその光を受けて、淡い金色を帯びる。シーツの上に落ちるその影は、夜の名残と朝のはじまりの境界を曖昧にしていた。

 彼女はまだ眠っている。
 小さく呼吸するたび、喉の奥でかすかな音が鳴る。まるで、誰かの名を呼ぶ手前のように。
 その寝顔を見つめながら、僕は胸の奥に重く沈む感覚を確かめていた。

 夜のあいだ、何度も目を閉じては開けた。
 そのたびに、あの沈黙が部屋の中に戻ってくる。
 言葉を飲み込むというのは、心の中でひとつの物語を完結させることだ。
 彼女が何を思い、どこにいたのか。
 僕はそれを知らないままで、朝を迎えた。

 キッチンに立ち、コーヒーを淹れる。
 湯気がゆらゆらと昇っていく。
 香りの立ち上がり方が、まるで“待つ”という行為そのものだった。
 何かを確かめたいわけではない。ただ、この空気の中で、彼女が息をしていることを確かめたかった。

「起きてたんだ」
 背後から声がした。冬萌が、髪を結びながら立っていた。
「うん。コーヒー、飲む?」
「うん」

 彼女はマグカップを両手で包み、少しだけ微笑んだ。
 その笑みの裏に、ほんのわずかな疲れがあった。
 まるで夜の中で、何かを抱きしめたまま眠った人の顔。

「ねえ」
 僕は言葉を選ぶようにして口を開いた。
「昨日、楽しかった?」
「うん。懐かしかったよ。…でもね、ちょっと怖かった」
「怖かった?」
「うん。昔の自分に戻れそうになって、怖かった」

 冬萌は目を伏せた。
 光がまぶたの薄い皮膚を透かして、わずかな血の色を浮かび上がらせた。
 僕はその光景を見ながら、言葉を失った。

 沈黙。
 長い沈黙のなかで、コーヒーの香りだけが二人の間を漂っていた。
 その香りの粒子が、言葉の代わりにすべてを語っている気がした。

 冬萌がゆっくりと息を吸い、言った。
「私ね、ちゃんと帰ってきたよ」
 その声は、涙の直前で止まる声だった。
「それだけは、信じてほしい」

 僕はうなずいた。
 信じる、という行為がこんなにも体温を伴うものだとは知らなかった。
 その言葉を胸に入れた瞬間、目の奥が熱くなった。

「ありがとう」
 それだけ言って、彼女はまた微笑んだ。
 その笑顔には、夜の影が少しだけ残っていた。けれど、それはもう痛みではなく、過去を抱いたまま生きようとする人の表情だった。

 僕は彼女の指に触れた。
 冷たく、細く、それでも確かに温かい。
 その感触が、長い夜をようやく終わらせた。

 窓の外で、朝の風が木々を揺らしていた。
 葉のこすれる音が、まるで二人の沈黙を祝福しているように聞こえる。
 僕は深く息を吸い込んだ。
 夜に閉じ込めていた言葉が、ようやく肺の奥から解けていく。


まとめ──“信じる”という形のない愛

 夜の沈黙は、疑いと信頼の狭間に生まれる。
 疑えば壊れ、信じれば痛む。
 それでも、信じることを選ぶのは、愛が形を求めないからだ。

 冬萌の背中を見つめながら、僕は思う。
 人は他人のすべてを知ることはできない。
 けれど、知らないまま愛することなら、できる。

 それは、触れずに抱きしめることに似ている。
 沈黙を受け入れることは、きっと、もっとも深い“会話”のひとつだ。

 朝の光が彼女の髪を撫でる。
 夜の残響はまだ微かに残っているけれど、その奥に、新しい一日が確かに始まっていた。

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