親友カップルとの、一夜限りの混乱

私は23歳のOL。中学・高校が同じだった親友とは今でも本当に仲が良く、彼女に恋人ができてからは私の彼氏を含めた4人でよく集まっては笑い合ってきた。うちに遊びに来たり、彼女の部屋で鍋を囲んだり――そんな日常の延長線上で、まさかあんな夜が待っているなんて、あの時は夢にも思わなかった。

その夜は彼女のアパートで鍋パーティーを開くことになった。仕事を終えて急ぎ足で買い物に行き、重たい袋を抱えてドアを開けると、キッチンでは彼女と彼女の彼氏が既に下ごしらえをしていた。しばらくすると私の彼氏もやって来て、四人そろったところでコンロに火をつける。土鍋の中で食材が煮立ち始めると、部屋中に食欲をそそる湯気が立ち上り、疲れた体がゆっくり解かされるような気分になる。

みんな嬉しそうにグラスを合わせ、他愛ない話題に花を咲かせる。仕事の話、昔の学校の噂、最近行った美味しいお店のこと。私は「今夜はいつも通り、楽しく飲んで食べて、気軽に解散だろう」と思い込んでいた。

けれど、私の想像を越えた事態は、彼女がいつもより早いペースでお酒をあおり始めたところから始まった。頬を染めながら彼氏にしなだれかかる彼女。軽いキスから始まったイチャつきは、みるみるうちに深くなっていく。最初は「何やってるのよー」と軽口を叩いていた私も、彼女がまさか彼氏のズボンのベルトを引き抜き、男の欲望をあらわにするなんて想像すらしていなかった。
「ちょっと、うそでしょ…?」
思わず声も出せないほど呆然としてしまう。けれど、同時に喉の奥が熱くなるような奇妙な感覚もあった。こんなにも生々しく、人が求め合う瞬間を間近で見ている自分に、戸惑いだけでは説明できない感情が波打つ。
そう、目の前で繰り広げられる彼女のフェラは、言葉にできないほどリアルで――あまりにも艶めかしかった。彼の表情までも手に取るようにわかり、その欲望がこちらにまで伝わってくるようで、私の身体がむず痒く、熱を帯び始めるのが自分でもわかる。

そんな私の心の変化を感じ取ったのか、隣に座っていた私の彼氏がそっと背後から腕を回してきた。まるで「大丈夫か?」と落ち着かせるように見えながら、その手は私の服の内側へするすると滑り込んでくる。戸惑いつつも、彼女と彼氏の甘美なシーンを見続けている私の体はすでに火照っていたらしく、まるで深みにはまっていくように拒む言葉が出ない。

いつの間にか、私は彼の腕の中に収まっていた。耳元に軽く息がかかるだけで全身がぞくりとする。ふと気づけば、向こう側では彼女がすでにほぼ半裸になっていて、彼氏との大胆な行為がますますエスカレート。湿った音と低い吐息が、私の理性を少しずつ溶かしていく。私の彼氏はそんな私の耳元に「ねえ、して…?」と囁く。彼の瞳をのぞきこむと、自分がもう逃れられない深い水底に引きずり込まれていくような感覚に襲われた。私は、飲み干したお酒のせいにするように、黙って彼の求めを受け入れた。

すると次の瞬間、空気は一段と歪み始める。私たち4人は、あっけなく境界線を失ってしまったかのようだった。誰がどこまで脱いでいるのか把握できないくらい、混沌とした熱気が部屋を支配していく。
私がかすかに理性を取り戻しかけた瞬間、なんと彼女の彼氏と私の彼氏が入れ替わり、私と彼女をそれぞれ愛撫し始めたのだ。私は思わず脚を閉じようとしたけれど、目に飛び込んできたのは「私の彼氏が彼女の体を舐めている」という衝撃の光景。その心をかき乱すような嫉妬が、なぜか私の奥底に激しい興奮を呼び覚ましてしまう。自分でも信じられないが、「好きな人が他の女性に触れるなんて…!」という苛立ちが、かえって私をさらなる刺激へと駆り立てるのだ。

彼女の彼氏に抱きしめられ、唇が重なる。ほんの数秒前まで想像もできなかった行為だったが、胸の奥で高鳴る何かが止まらない。視線を向けると、彼女が私の彼氏を貪るように求めているのが見える。まるで互いを見せつけ合うかのような同時進行の行為に、私は溺れそうな息苦しさを覚えながらも、抗えないほどの甘美な世界へと落ち込んでいく。

理性が崩れ落ちた私たちは、気づけば「本来ならば決して越えてはならない一線」を越えた形で身体を交わし合っていた。私の彼氏は彼女を背後から責め立て、彼女の彼氏は私を押し倒して深く貫いてくる。嫉妬と甘美、興奮と罪悪感が渦を巻き、頭がぐらりと揺らぐ。互いの体温と吐息の交差で部屋の温度は一気に上がり、私の中に押し寄せる快感は波のように繰り返し襲いかかる。

その波がある頂点に達した瞬間、私の視界は暗転した。自分の体に何が起こったのかわからない。まるで意識が一瞬ぷつりと切れたようで、次に気がついたときには1時間ほど経っていたという。私が目を開けると、見慣れたはずの三人が、見慣れない神妙な面持ちで私をのぞきこんでいた。

目が合うと同時に、ずしんと重い羞恥と罪悪感がこみ上げる。さっきまで自分が何をしていたのかを思い出すと、頭が真っ白になりかけた。部屋に残る甘いような熱気も、今は私にただ現実を突きつけるだけ。言葉が出てこない。私は混乱に耐えきれず、とっさに服を手繰り寄せ、よろける体を支えながら玄関へ向かった。
「ごめん…帰る」
何とかそれだけを口にして、私はアパートを飛び出す。外の風がひやりと頬を撫で、かろうじて自分を現実に引き戻してくれた。

それから数日経っても、私は彼女と彼氏たちにどう接していいのかわからなかった。お互い、あの夜の話はしないようにしている。ふつうの友人同士として笑顔を交わしても、ふとした瞬間に私の頭の中をあの夜の光景がよぎる。胸が締めつけられるのは嫉妬か後悔か、それともあの美味しすぎた蜜を再び味わえない歯がゆさなのか、自分でも区別がつかない。

だけど、あの体験が私の人生に深い爪痕を残したのは確かだ。“愛する人が他の誰かと混じり合う”という、これまで一度も向き合ったことのなかった現実。あり得ないと思っていたことが、ほんの少しの酒と、心の隙で、あっけなく起きてしまった。そこには強烈な背徳感があるのに、興奮と渇望が拮抗する複雑な感情が存在している。
人間が持つ欲望とは、こんなにも容易く理性を超えてしまうものなのか――。
今はただ、その余韻と戸惑いを抱えながら、普段と変わらぬ日常を装うしかない。そして、私の中に確かに芽生えてしまった新しい感覚が、この先どんな影響を及ぼすのか、正直まだ自分でもわからない。

一つだけわかるのは、あの夜ほど“自分が自分でなくなった”と同時に“裸の自分に出会った”と感じた瞬間はなかったということ。二度と同じ過ちを繰り返したくはないし、何かを失う怖さも痛感している。それでも、あの甘い混乱のただなかにいたときの幸福感にも似た衝動は、きっと一生忘れられない。私が目をそらしたくても、傷のように、そして宝物のように、深く刻み込まれているから。

 

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