すれ違う視線、交差する運命──夜の公園で目覚める禁断の

月の光が淡く照らす公園のコース。

夜の静寂を切り裂くように、俺は走る。

この時間帯のランニングが好きだった。頭の中を整理し、日々の疲れをリセットするための、大切な時間。

しかし、最近になってその習慣に変化が生まれた。

理由は、彼女。

遠くからでも目を引く、抜群のスタイル。引き締まった脚線美、タイトなウェアが美しく映えるしなやかな体のライン。

初めて見かけたときから、何度も視線を奪われた。

すれ違うたびに、その香りが微かに漂う。

無意識に、彼女の姿を探してしまう。

そして、ある夜。

いつものようにコースを走っていた俺の視界の先に、彼女がいた。

公園の片隅でストレッチをしている。

その姿に足を止めそうになる。

まるで月光に包まれた彫刻のように、彼女の体は美しかった。

汗で微かに濡れた肌が、光を受けて輝く。

その瞬間、彼女がふと顔を上げた。

目が合う。

一瞬、時が止まる。

なぜだろう——胸の奥が、妙に騒がしくなる。

翌日、娘の学校で、運命が大きく動き出した。

授業参観の日、衝撃の再会

その日は授業参観だった。

久しぶりに娘の学校へ足を運び、保護者席に座る。

そして、教壇に立つ女性を見た瞬間、俺の全身が硬直した。

公園で何度もすれ違っていた、あの女性。

「……先生？」

信じられない思いで、彼女を見つめる。

彼女もまた、一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに落ち着きを取り戻し、授業を進める。

偶然だろうか。

いや、そうじゃない。

すれ違いながらも、俺はずっと彼女の姿を探していた。

惹かれていた。

そして今、その女性が目の前に立ち、娘の担任として授業をしている。

胸の奥が、強く締めつけられた。

とあるランニングの日、崩れゆく理性

それから数日後、再び夜の公園。

遠くに、彼女がいた。

「あ……敦彦さん。」

俺の存在に気づいた彼女は、少し驚いた表情を浮かべる。

気まずさよりも先に、俺の中で別の感情が膨れ上がる。

彼女がスニーカーの紐を直すためにしゃがみ込んだ。

目の前でゆっくりとかがみこむ彼女。タイトなウェアのラインがさらに際立ち、胸元の柔らかな曲線がわずかに覗く。

街灯の光が彼女の肌を滑るように照らし、無意識に喉が鳴った。

わかっている、見てはいけない。

なのに、視線がどうしても離せない。

彼女がゆっくりと顔を上げ、目が合った。

その瞬間、胸の奥が強く締めつけられる。

何を考えているんだ——そう思うのに、目が逸らせない。

ふと、息が乱れる。

「……先生。」

その声に、俺の奥底に抑えていたものが静かに波打った。

禁じられた熱、逃れられない結末

時間の概念が消え、引き寄せられるように、距離を縮めていく。

「先生……。」

許されない。わかっている。でも……。

夜風がそっと頬を撫でる。

心の奥で何かが静かに弾け、そして溶けていく。

「こっちへ。」

俺はそっと彼女の手を引いた。

人の気配が途切れた公園の奥へ、さらに奥へ。

森の影に隠れるように二人の足音が消えた。

月明かりが届かないほどの深い静寂の中、俺の手が彼女の頬に触れた。

「……先生。」

低くかすれた声。

次の瞬間、彼女の唇が俺の唇にそっと触れた。

甘く、深く、まるで時が止まったかのように。

指先が肌をかすめるたびに、静電気のような痺れが走る。彼女の息遣いが熱を孕み、俺の心に火を灯していく。

触れた瞬間、理性が儚く溶けていく。静かだった熱が、一瞬にして燃え広がり、心と体を支配していく。俺の指先が彼女の肌を辿るたび、夜の静寂に甘美なざわめきが生まれた。

燃え尽きる想い、その先に

禁じられた想いは、時として人生に鮮烈な色を与える。

俺は、自分の中で眠っていた何かを、初めて自覚した。

そして、その先には、まだ知らない彼女と俺の物語が続いていくのだろう。

夜風が肌を撫でるたび、俺たちの熱は解け合い、時の流れの中に溶け込んでいった。

「……あぁ……！」

溢れる声が、夜の静寂に甘く響く。

「もう……どうしたらいいの……？」

彼女の声はかすれ、甘く震える。

「考えなくていい……この瞬間を感じて……。」

俺の囁きが彼女の鼓動に溶け、熱がふたりを包み込んだ。

鼓動が重なり、熱がすべてを包み込んでいく。

夜の静寂がふたりの熱で震え、時の流れが歪んでいく。指先が肌をなぞるたび、まるで波が砂浜を優しく削るように、感覚のすべてが研ぎ澄まされていった。

「……あぁ……」

彼女の声が闇に溶ける。

彼女がそっと身を預け、ゆるやかな律動の中で俺を迎え入れる。月明かりに照らされた彼女の輪郭は、夜の静寂の中でまるで波打つ炎のように揺れ、幻想と現実の境界を曖昧にしていく。

しなやかな動きが夜の帳を引き裂き、静寂の中に新たな律動が生まれる。熱と共鳴し、空間そのものがふたりの鼓動に合わせて震えているようだった。

月明かりが彼女の輪郭を縁取り、まるで幻想の中に迷い込んだようだった。指先が彼女の肌をなぞるたび、まるで月に引かれる潮の満ち引きのように、甘美な波が寄せては返し、互いの熱を深く刻んでいく。

「……あぁ……！」

溢れる声が、夜の静寂に甘く響く。彼女の動きが夜空に描く弧は、静寂の中に甘い余韻を残しながら、ふたりの熱をゆっくりとひとつにしていく。

夜の静寂が俺たちの熱で歪み、時の流れが蕩けるように遅くなる。星々が見守る中、俺たちはひとつの流れとなり、互いの存在を深く刻み込んでいく。

彼女が俺を見つめる。その瞳の奥にあるものに、俺は全てを預けたくなる。

「もう……どうしたらいいの……？」

「考えなくていい……ただ、このまま……。」

彼女の動きが重なり合い、夜風が肌を撫でるたびに、すべてがひとつになっていく。

夜の闇が深く沈み、星の瞬きすら霞んでいく。

世界が震え、ふたりの熱がひとつの旋律となり、夜の闇に溶け込んでいく。鼓動の波紋が広がり、瞬間が永遠のように続いた。

「……敦彦……！」

名前を呼ぶ声が、夜の静寂に甘く溶けていく。

その瞬間、世界が静かにほどけ、魂の奥に眠っていた炎が一気に燃え上がる。俺たちはひとつの流れに溶け込み、果てしない静寂の中で、新しい世界の扉を開いた。

「……敦彦……！」

名前を呼ぶたびに、心がほどけ、深く溶けていく。