土曜の午後、学校は休みだったはずなのに、私はクラブの用事で登校していた。
曇り空は昼過ぎから小雨へと変わり、グラウンドに打ちつける音が、誰もいない校舎に響いていた。
用事が終わったのは13時過ぎ。
帰り支度をしながら、友達が家族に迎えに来てもらっているのを見て、ふと心細くなった。
私はスマホを取り出し、自宅に電話をかけた。姉に迎えに来てもらおうと思っていたのだ。
けれど、応答したのは義兄だった。
「姉ちゃん、いないの?」
「出かけてるみたい。俺でよければ迎えに行こうか?」
戸惑いはあったけれど、断る理由もなく、私は「うん、お願い」とだけ言って、電話を切った。
10分ほどして、見慣れた車が校門の前に止まった。
助手席に乗り込むと、義兄は軽く笑って「雨、降ってるから気をつけて」と言った。
言葉はいつも通りだったのに、姉のいない空間で義兄と二人きりという事実が、私の中で妙な緊張を生んでいた。
「なんか、学校にいるの久しぶりな気分だな。菜々ちゃんって、もう高校二年だっけ?」
「うん。来年、受験」
そんな他愛ない会話。けれど、その何気なさが逆に胸に響いた。
ふと、義兄がダッシュボードからタオルを取ろうと手を伸ばした瞬間、腕が私の胸にかすかに触れた。
「……あ、ごめん!」
義兄はすぐに笑って、タオルを渡してきた。
けれど、私の身体は予想外の接触に軽く震えていた。
意識していなかった感覚が、じわじわと肌に残っていた。
車はいつもと違う道を進んでいた。
「え?こっち、家とは逆じゃない?」
「少しだけ寄り道。雨、強くなってきたし、あの神社の裏道通った方が早いかと思って」
そう言われて納得はしたものの、周囲は人気のない林の中だった。
「菜々ちゃん、さっき……驚いてたよね」
「え?なにが?」
「……さっき、胸、触っちゃったとき」
言葉にされると、耳の奥が熱くなった。
私はうまく返せず、ただ俯くしかできなかった。
そのときだった。
義兄の指が、私の顎をそっと持ち上げ、顔をこちらに向けさせた。
「……ごめん。でも、驚くくらい柔らかかった」
「やだ……そんなの……」
小さな声でそう言った瞬間、唇が重なった。
驚いた。でも、それ以上に、逃げられなかった。
雨の音、車内の湿った空気、そして唇をすべらせるような義兄の舌が、すべて現実を奪っていくようだった。
キスが終わった頃には、私の呼吸は荒くなっていた。
制服のスカートが少し乱れて、太ももに触れた義兄の手のひらが、熱を帯びていた。
「……ダメだよ、こんなの」
声にならない声で言った私に、彼は静かに言った。
「でも、感じてたよね」
言葉を否定できなかった。
だって、体はもう濡れていたから。
指がパンティ越しに優しくなぞられると、思わず腰が浮きそうになる。
制服のブラウスのボタンが外され、ブラジャーの上から乳房に唇が触れると、身体が震えた。
「気持ちよくしてあげる。黙って、委ねて……」
私は目を閉じた。罪悪感と背徳、それ以上に、自分が女であることを自覚してしまう瞬間に溺れていた。
後部座席に移され、制服をはだけたまま、脚を大きく開かれた。
舌が柔らかく秘部をなぞると、息が漏れた。
「だめ……そんなとこ……やだっ……」
でも、舌がクリトリスに触れた瞬間、私は叫ぶように喘いでしまった。
全身が溶けるような快感に包まれて、羞恥も、理性も崩れていった。
「ほら……声、出ちゃってる」
恥ずかしくてたまらないのに、なぜか「もっと……」と心が囁いていた。
身体の奥まで満たされた時、私は初めて、女として抱かれた。
痛みと快感が交錯し、涙がこぼれた。
それを拭うように、義兄がキスをしてくる。
「菜々ちゃん……ずっとこうしたかったんだ」
そう囁かれたとき、私はほんの一瞬、愛されているような錯覚を覚えた。
何度も奥まで押し込まれ、身体が反応するたびに、心は壊れていった。
それでも、嫌ではなかった。
それが、いちばん怖かった。
帰り道、車内は静かだった。
私は義兄の隣で、無言のまま外の雨を見つめていた。
家に着くと、いつものように玄関を開け、何もなかったかのように靴を脱いだ。
夕食の席では、姉が「お迎えありがとう」と笑っていた。
義兄はその横で、私と目を合わせなかった。
でも、私は知っている。
あの雨音の中で交わした秘密が、もう消えないことを。
そしてきっと、また同じような午後が来ることを。
それを拒めるかどうか、私はまだ自分に答えられずにいる。



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