脚を失いかけた僕に、あの人は「癒し」などくれなかった。
代わりに与えられたのは、甘やかで、支配的で、魂の奥まで犯されるような悦楽だった。
──乃々花。
派遣でやってきたそのナースは、白衣の奥にもうひとつの“顔”を隠していた。
それは優しさと命令が同居する、女王のような本性。
「足が動かないなら、他の場所で感じるしかないわね」
そんなことを笑って言える彼女の瞳は、男のプライドを見透かし、愉しんでいるようだった。
事故から一ヶ月。
僕の身体はまだ動かない。けれど、彼女の前では──否応なしに昂ぶってしまう。
ベッドの上で、脚を固定されたまま、僕は彼女にすべてを握られていた。
「お薬の前に、今日も“診察”ね」
そう言って、彼女は白衣のボタンを一つずつ外していく。
下に着ていたのは、真っ黒なレースのランジェリー。
控えめで清楚な顔立ちとは裏腹に、その下に隠された肉体は、まるで男を飼いならすために設計されたようだった。
「動けない男って、最高。言い訳できないし、嫌って言っても逃げられないもの」
胸元をわざと顔のすぐ近くに近づけ、吐息を這わせながら囁くその声音に、僕の全身は震え、中心はありえないほど膨張する。
彼女はそれを、まるで喉が渇いた獣のように凝視した。
「…ほんと、すごいわね。この大きさ」
ゆっくりと、手を滑らせる。
根元から先端までを、指でなぞり、爪先で小さく引っかく。
そのたびに身体が勝手に跳ね、脚が動かせない分、背中でベッドをのたうつしかない。
「ダメ、我慢して。暴れたら、もっと強く縛っちゃうから」
そう言って、彼女は僕の両手をベッド柵に結束バンドで固定した。
驚く暇もなく、そのまま腰を跨ぎ、ゆっくりとその大きな肉の塊を、自分の秘部に沈めていく。
「ああ…やっぱり…お腹まで届いてくる…」
彼女の内側は、まるで熱い蜜壺。
柔らかさと締めつけが入り混じり、僕の全長を吸い上げながら、彼女の身体がゆっくりと沈んでいく。
「…壊れちゃえばいいのよ、わたしの中で」
目を閉じ、ゆっくりと腰を回すたび、ずぶっ、ぐちゅっ、と粘液音が静かな部屋に響く。
あまりの熱さと締まりに、射精寸前の快感が何度も波のように押し寄せる。
「ダメ、出しちゃダメ。わたしが許すまで、出しちゃダメよ」
一度腰を止めると、彼女は意地悪に僕の頬を撫でた。
それから、自分の乳首を僕の口元に押しつけ、静かに命じる。
「吸って。あなたはわたしの赤ちゃんなんだから」
言葉に抗う力など、とうに残っていない。
僕は与えられるままに、唇でその先端を咥え、舌で愛撫する。
その瞬間、彼女の身体がピクリと震え、淫らな吐息が漏れる。
「いい子ね…。次は、わたしが搾り取ってあげる」
彼女は腰を上下に激しく動かし始めた。
肉が深く沈み込み、最奥に当たるたびに彼女は呻き、爪で僕の胸を引っかいた。
白衣が乱れ、汗で滑る肌が重なり合い、淫らな交歓の音が部屋を支配する。
「……もう限界ね? 出したいんでしょ? いいわ、全部わたしの中に注ぎなさい」
その瞬間、僕はすべてを解き放った。
腰が跳ね、射精の波が身体を貫く。
彼女の奥で、迸る熱が何度も脈打ち、深く深く流れ込んでいく。
「うふふ…すごい量…。でもまだ終わりじゃないよ?」
そう囁いて、彼女は僕の中心に口づけた。
潤んだ瞳で僕を見上げながら、その巨根を舌で這い、喉の奥へとゆっくり咥えこんでいく。
「あなたが壊れるまで、何度でも愛してあげる。だからもう、ほかの女なんて見ないで──わたしのものになって」
あの日から、僕はもう、彼女のものだ。
支配される悦び。
抗えない快楽。
そして──そのすべてを受け入れたときにだけ感じる、魂の再生。
傷は癒えない。
けれど、その代わりに手に入れたのは──乃々花という、絶対的な女王だった。
彼女が僕に降ろすのは、聴診器ではなく、命令。
白衣の下に隠された愛の檻の中で、僕は今日も静かに喘ぎ続けている。
彼女のためだけに、鼓動を打ち続けながら──。
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