義理の息子に抱かれた夜——“女”として崩れ落ちた私の体験談

夫と再婚してもうすぐ三年になる。
生活は穏やかで、互いに干渉しすぎることもなく、どちらかといえば落ち着いた日々だった。
たぶん、それを「幸せ」と呼ぶのだろうと、思っていた。

けれど——
彼がこの家に来てから、私の中の何かが静かに軋み始めた。

優斗、18歳。
夫の連れ子で、名門高校のバスケットボール部のエース。
均整の取れた身体、長い手足、絵に描いたような美形。
そして、無意識に人を惹きつけてしまう、あの目。

リビングでふと目が合ったときのこと。
彼は特に意味のないような顔をしていたのに、その視線の奥に、どこか…私を“女”として測るような、わずかな揺らぎが見えた気がした。

いや、違う。きっと私のほうだ。
“女”として見られたいと思ってしまったのは——私のほう。


その日の夕方、雨が降っていた。
梅雨の湿気が家の隅々まで染みこんで、何もしていなくても身体に熱がこもる。
私はシャワーを浴びたあと、つい気が緩んで、シルクのランジェリーだけのままリビングに出てしまった。

白いキャミソールの裾を整えながら冷蔵庫を開けたとき、背後で微かな足音がした。

「……あ、ごめん。まだ起きてたんだ」

振り返ると、そこに優斗がいた。
濡れたバスケのウェアを手にしたまま、立ち尽くしていた。
その視線が、私の肩のラインから、胸元、そして太ももへとすべっていく。
すぐに逸らしたけれど、私は確かに見た——彼の喉が、ひとつ上下するのを。


「お洗濯、しておくね」

「……ありがとう。でも、夕子さんこそ、風邪ひきますよ」

「ん……大丈夫、すぐ着替えるから」
口ではそう言いながら、私はそのままの姿で立ち続けた。

なぜ着替えなかったのか。
なぜ彼の視線を許してしまったのか。
なぜ、こんなにも胸が高鳴っているのか。

わかっていた。
ただ、目を逸らしていただけ。


夜。
夫は出張中で、私は一人、寝室のベッドに腰かけていた。
すでにパジャマには着替えていたけれど、下着は——さっきと同じ、白いランジェリーのままだった。
胸元のレースの下に浮かぶ乳尖の硬さに、自分でも驚く。
冷房もつけていないのに、肌が粟立つように感じていたのは、彼の視線を思い出していたからだ。

そして、ノックの音。

「……夕子さん、ちょっと……話してもいいですか」

優斗の声は、扉一枚隔てた向こうからでもわかるほど、かすかに震えていた。
まるで、自分自身の気持ちに追いつけずにいるような、そんな声だった。

私はほんの一瞬だけ躊躇したけれど、
「入っていいわよ」と、自分でも驚くほど静かな声で返していた。

ゆっくりと開いたドアのすき間から、彼が姿を現す。
部屋着に着替えたばかりの彼の髪はまだ湿っていて、額に貼りついた前髪の奥から、真剣なまなざしがまっすぐ私をとらえていた。

「……さっきのこと、ずっと頭から離れなくて」
「俺、ずっと我慢してたんだ。言ったら、全部壊れるってわかってたから」

彼の手が、そっと布団の縁をつかむ。
その指が白くなるほどに力がこもっているのに、私はただ黙って見ていた。

「でももう、抑えられないんだ。
……俺、夕子さんを、女として見てる。ずっと前から」

その言葉が、胸の奥に落ちたとき、私は心のどこかが静かに崩れていくのを感じた。


私は立ち上がり、彼の前に進み出た。
ランプの明かりが、白いシルクのパジャマを透かして、肌の輪郭を柔らかく浮かび上がらせている。

そっと手を伸ばして、彼の濡れた髪を拭った。

「ダメって言うべきなのよね。あなたは……夫の子供なんだから」
そう囁いた私の声は、自分でも信じられないほど甘く、弱々しかった。

「でも……」

私は彼の手を取り、そっと自分の胸の上に導いた。
キャミソール越しに触れる手のひら。その温度に、息が止まりそうになる。

「……触れてほしいの。女として、私に」


彼の手が、胸のふくらみを包み込む。
震えていた指が、ゆっくりとレースの縁に沿って動くたび、乳尖がじんわりと硬くなっていくのがわかる。

唇が重なったのは、次の瞬間だった。
まだ少し青さの残るキス。けれど、そこに宿る熱は、私のどんな過去よりも濃く、深く、激しかった。

私は彼をベッドに押し倒し、自らその腰に跨った。
柔らかな布地の上に沈む彼の身体。その上に乗る自分の動きが、すべて彼の目に映っている。

下から見上げる彼のまなざしに、私は完全に射抜かれていた。

「そんなに見ないで……」と囁いても、彼の視線は逸れない。
私の胸の動き、肌の光、細かな震えまで——すべてを、貪るように見つめていた。

そして私もまた、彼のなかにある熱を、深く、奥深くまで受け入れていった。


彼の中心が私の奥へと入ってくる瞬間、身体の内側で何かがゆっくりほどけていく。
痛みではない。
喪失でもない。
それは、「女であること」を、再び思い出す悦びだった。

私はゆるやかに腰を動かした。
繰り返し、ゆっくりと、波を描くように。
汗と吐息が絡み合い、まるでふたりの身体が、ひとつの楽器のように同じ旋律を奏でている気がした。

彼の手が私の腰を掴む。
「……夕子さん、俺、もう……」
その声が切なげに震えたとき、私は彼の胸に手をつき、最後の高みに自らを引き上げた。

一瞬、時が止まったようだった。

昇り詰める。
身体が弓のように反り、指先に力が入り、すべてが白く、眩しく、ただ甘美だった。


しばらくして、私は彼の胸の上にそっと身を沈めた。
ふたりの鼓動が、交互に響いている。
しばらく、誰もなにも言わなかった。

それは罪だったかもしれない。
でも確かに、そこには“救い”のようなものがあった。
欲望の奥に潜む、誰にも知られたくなかった私自身。
彼は、その核心に触れた唯一の存在になってしまった。

私はもう、戻れない。

でも……戻らなくていいと、どこかで思っていた。

私は彼の上に身を預けたまま、しばらく動けなかった。
全身がひとつの官能に溶かされ、骨の芯まで甘く痺れていた。

「……大丈夫?」

彼がそう囁くと、私はただ、小さくうなずくだけしかできなかった。
優しく撫でる彼の手のひらが、さっきまで自分を貫いていたものと同じとは思えないほど、あたたかくて、柔らかかった。

でもその温もりが、また別の熱をじわじわと甦らせてくる。
一度味わってしまった快楽は、決してひとつでは終われない。
身体の奥にまだ火種が残っていて、それが静かに、また燃え始めるのを感じた。

「……もう一度、してもいい?」

彼の声は、まるで許しを乞うように優しかった。
けれど、もう私は——許すも拒むもなく、ただ彼の欲望に溶けた“女”でしかなかった。


私は再び、ゆっくりと彼に跨った。
腰を落とすと、そこにはすでに、再び硬く熱を孕んだ彼が待っていた。
濡れて柔らかくなった私の奥へ、彼が深く、深く沈みこんでくる。

「ん……っ……優斗……」

私の名を呼ぶ声が、喉の奥から洩れた。
自分の名前が、こんなにも淫らに響くことに、私自身が驚く。

身体が、熱い。
すべてがとろけて、理性という薄布はすでに跡形もなく消えていた。


彼の手が、私の胸を包む。
親指の腹で乳尖を優しく転がされるたび、腰が勝手に跳ねるように動いてしまう。

「あ……そこ……やだ……っ、気持ちよすぎて……」

私は彼の上で、ゆるやかに波を描くように揺れた。
うねるような動きの中で、彼の奥がどこまでも届いてくる。
とろりと、螺旋を描くように。
高まりの波が、ふたりをまた、同じ場所へと連れていく。

「……もっと、見て」

私は彼の頬に手を添え、正面からその瞳を覗き込んだ。
快楽のなかで揺れる目と目が重なり、ふたりは声を漏らしながら深く結ばれていった。

彼の手が腰を掴み、彼の突き上げに合わせて私は自らを沈める。
衝動と柔らかさがぶつかりあい、ふたりの境界が、完全に溶け合ってゆく。

熱い。
苦しいほどに、満ちていく。

息を合わせ、鼓動を重ね、全身が一つになったような錯覚のなかで——
ふたりは、同時に昇りつめた。

「あ……ああ……っ、イく……っ、優斗……!」

その瞬間、時間が弾けて消えた。
白く、甘く、すべてを失って、すべてを得た感覚。
頂点で凍ったまま、しばらく、私は動けなかった。


彼の腕のなかで、私は静かに目を閉じた。
なにも言わない。
言葉にすれば、すべてが崩れてしまいそうだったから。

でも、身体はすでにすべてを語っていた。
罪と悦び、後悔と救済——それらを、すべて含んだ肌の温もりが、いま、私を包んでいた。

私はこの夜を、忘れない。
たとえ明日から何もなかったふりをしても。
この身体の奥に刻まれた“彼”の存在は、
——もう、消せない。

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