【第1幕:静寂に差し込む、視線という微熱】
夜勤明けの空気は、病棟を出た途端に湿気と光に変わる。
看護師としての顔を脱ぎ捨てる前の、わずか数十分。
私はいつも決まって、駐車場の端に停めた自分の車で一息つく。
その朝も、ただ静かに目を閉じて、白衣の下にこもった一晩の汗と熱を逃がそうとしていた。
そこへ、視線を感じたのは、ほんの偶然だったのかもしれない。
「おはようございます……遅番ですか?」
窓の外、声をかけてきたのは病院の検査技師――年下の、まだ線の細い男。
でも彼の声には、なぜか疲れを見透かすような、柔らかくも深い温度があった。
「ちょっとだけ、座ってもいいですか?」
白衣を脱いだ後の私の身体を、彼は“女”として見ている――
そう直感した時、胸の奥に眠っていた何かが、ふと目を覚ました気がした。
【第2幕:白衣を脱いだ女は、肌で確かめたかった】
助手席に座る彼との距離は、わずか数十センチ。
話すうちに、彼の視線が何度も私の鎖骨や太腿に彷徨っていたことに、私は気づいていた。
「疲れてますよね……?」
そう言って伸ばされた彼の指先が、そっと私の手の甲に触れた瞬間、
私は、笑ってしまった。
「そんなにわかりやすい?」
彼の手が私の頬に触れ、唇が近づいたとき、
誰もいない車内に、熱と湿度が広がっていく。
最初は静かなキス。
けれど、白衣の下に隠されていた熱は、もうとっくに臨界点を超えていた。
彼の手が私のシャツの中に入る。
ブラ越しに触れるたび、神経が震え、
吸い寄せられるように私は自分から彼の腰へと跨った。
彼の唇が私の首筋を這い、シャツのボタンを一つずつ外していく。
生身の乳房に触れられたとき、私は――
看護師ではなく、母でもなく、ただの“ひとりの女”だった。
「私のこと、もっと見て」
言葉が出る前に、身体が言っていた。
揺れるシート、濡れた太腿、声を殺しながらも溢れてしまう吐息。
彼の指が、奥へと沈むたび、夜勤の疲れさえ快楽へと変わっていく。
【第3幕:女として、また朝が来る】
「……動いても、いい?」
私の問いに、彼はただ深く頷いた。
膝を開き、彼を深く迎え入れる瞬間、
自分の内側が熱で満ちていくのがわかった。
彼は下から私を見上げ、
私は腰をゆっくりと沈めながら、唇を震わせていた。
車の窓に滲む朝の光。
病院という名の現実は、シートの向こう側に遠ざかっていた。
深く、奥まで。
そこへ届くたび、全身が震え、汗が背中を伝い、髪が頬に貼りつく。
「まだ、欲しい……」
彼の両手が私の腰を支え、私は何度も迎え入れる。
体位を変え、彼に背を向け、尻を突き出した時、
彼の深さと角度が変わり、私の中のどこかが壊れた。
「ああ、もう、だめ……っ」
最後の一突きで、私は全身を弓のように反らせた。
快感ではなく、解放だった。
彼の肩にもたれたまま、私は目を閉じた。
汗と愛液と彼の匂い――
この熱を、私はもう一度欲しいと願ってしまった。
そして今も、夜勤明けの駐車場に車を停めるたび、
あの朝の、肌の記憶が、ふと私の内側で疼きはじめるのだ。



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