「久しぶりに、いい汗かいたね」
白い息が揺れる春の午後。
コートの脇に腰を下ろし、友人たちと笑い合いながらペットボトルの水を飲み干した。
全身の筋肉が、いつもより生きている。
けれど同時に、腰のあたりに、いつもの痛みがじわじわと湧いてきていた。
日頃の運動不足がたたってか、スイングのたびに軋むような違和感。
「ちょっと整骨でも行こうかな」
ぽつりとこぼした私の一言に、隣にいた朋子が食い気味に言った。
「だったら、すごくいいとこあるよ。若い先生なんだけど、腕は本物。しかも…ちょっと癒し系でイケメン」
その軽い冗談まじりの口調が、なぜか私の心に引っかかった。
「……紹介、してくれる?」
口に出した自分の言葉が、自分でも意外だった。
**
その夜、21時を少し過ぎた頃。
予約された鍼灸院のドアをくぐると、温かい木の香りと静かな照明に包まれた。
奥から現れたのは、朋子の言っていた「若い先生」――25歳の田島先生だった。
白いポロシャツに黒のパンツ、少し長めの前髪をかきあげる仕草が、どこか無防備で危うい。
「こんばんは。お疲れ様です。腰の張りですね?」
低く落ち着いた声に迎えられ、私はふと自分の服装を気にした。
テニスウェアのまま。タイトなスコートの下には、汗を吸ったままのTバック。
「こちら、どうぞ。ベッドにうつ伏せで」
促されるままに横たわり、タオルを腰にかけられた瞬間、私は息をひそめた。
彼の手が触れたとき、指先がわずかに震えた気がした。
**
「……かなり、固いですね」
背中から腰にかけて、丁寧に押し広げられる筋肉。
深く、ゆっくりとした圧に、私は思わず喉を鳴らした。
「呼吸、浅くなってます。……緊張、してます?」
「……してるかも、しれません」
その理由が施術のせいなのか、彼のせいなのか、自分でもわからなかった。
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「金属類は電気に反応するので……失礼します」
そう言って彼は、私の背中に手をかけ、ブラのホックを外した。
思わず肩がすくむ。乳首が、空気に触れて硬くなるのがわかる。
「うつ伏せのままで、少し脚を開いてください」
彼の指が太ももの内側をなぞる。
スコートの中、Tバック越しに感じる彼の温度。
あの時点で、私はもう、濡れていた。
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「下着、ずらしますね。……ここ、触れると楽になります」
Tバックが音もなくずらされ、私の秘めた場所が空気に晒される。
羞恥で顔が熱を持つ。それでも彼の指が触れた瞬間、私は震えた。
鼠蹊部を押し広げる手。中心へ近づいていく親指。
ゆっくりと、唇の合間に触れられたとき、私は思わず声を洩らした。
「……や、あっ……だめ……っ」
でも、止められなかった。
濡れている自分を知られることが、なぜか誇らしく、苦しく、甘かった。
**
「……舐めてもいいですか」
その言葉に、私は微かに頷いた。
次の瞬間、彼の舌が、湿った私の中に吸いついた。
ぬめりと熱が交じる音。舌が中心を撫で、唇が小さな突起を吸い上げる。
「んっ、あっ……そこ……っ、すご……」
腰が浮き、脚が震える。
彼の口に飲み込まれていくような錯覚に、私は快感で涙を浮かべた。
**
「……今度は、僕のを」
彼がパンツを脱いだとき、私は息をのんだ。
それは、どこか獣じみた熱と硬さを備えていて、私はその大きさに戸惑いながらも、喉の奥までゆっくりと受け入れた。
唇で包み、舌で根元をなぞる。
彼が低く唸るたびに、私の奥が疼いた。
「すごい……気持ちいい……っ」
私の口の中で、彼の熱が脈打ち、震える。
まるで、喉元で欲望を育てているようだった。
**
そのまま、私はベッドに背を預け、彼を迎え入れた。
「……ゆっくり、いきます」
彼がゆっくりと私の中に沈んでくるとき、私は爪先まで痺れた。
大きくて、太くて、奥に届くたびに、内側がきゅうっと締まっていく。
「や、あっ……すごい、奥……っ」
正常位から後背位、そして騎乗位。
私の身体は何度も彼を受け入れ、果て、また受け入れた。
腰の奥から溢れる波が、感情ごと洗い流していく。
**
「……あぁっ、また、イっちゃう……!」
絶頂は、まるで雷のように。
全身がひとつの脈になって、私は彼の中で崩れ落ちた。
何度も、何度も。
果てるたび、私は「わたし」へと還っていった。
**
夜風が頬を撫でる帰り道、
私は初めて、自分の足で歩いている気がした。
「満たされる」って、こんなにも深く、静かなことだったんだと。
たぶんまた、あの施術を、私は望んでしまうだろう。
あの熱も、舌も、奥へ届いた鼓動も。
私が、私に還るために――。
あれから三日。
ほんの三日しか経っていないのに、私は彼の施術室を訪れていた。
「今日も、腰ですか?」
微笑んだ彼の横顔を見て、胸の奥が小さく波打つ。
わかっている。私はもう、“治してもらいに来た”のではなく、“溶かされに来た”のだ。
施術台に座ると、彼は私のスカートの裾を軽くつまみ上げながら言った。
「前回より、少し奥まで……触れさせてもらいます」
その一言に、喉が乾いた。
頷く私の手は、すでにタオルを握りしめていた。
**
「今日の下着、レースなんですね」
脱がせたTバックをそっと手のひらにのせると、彼はそれを畳んでベッド脇に置いた。
その指先が、まるで私の温もりをまだ帯びているように感じられて、目を逸らす。
「もう、張ってますね。奥のほうが、固い」
彼の指が、唇の間を撫でながらゆっくりと差し込まれる。
前回よりも自然に、深く、奥まで。
「……あっ、そこ……っ」
身体の芯が彼の指を覚えていた。
触れられた瞬間に濡れ、受け入れる準備が整ってしまっていた。
**
舌がまた、私の中心へ降りてくる。
今日は、よりゆっくりと。
じっくりと、ねっとりと、味わうように。
指と舌が重なる。
奥をなぞりながら、表の突起を軽く吸い上げられた瞬間、喉の奥から声が洩れる。
「やっ、もう……無理……あっ、くる……っ!」
何度目かの小さな絶頂。
でも、彼は止めない。
私の快感が一度高まったあとの身体の変化を、愉しんでいるかのようだった。
**
「じゃあ……今日は、奥まで、しっかり入りましょうか」
彼のものが目の前に現れる。
また、あの圧倒的な存在感。
けれど、もう私は怖くなかった。むしろ――待っていた。
私は自ら口を開き、彼の熱を舌で包んだ。
前よりも深く、喉の奥まで迎え入れながら、唇をすぼめて奉仕する。
「……そのまま、もう少し……うん、上手」
褒められると、体の奥まで甘くなる。
**
挿入は、後ろからだった。
四つん這いのまま、私の腰に彼の手がかかる。
そして、ゆっくり、押し広げられるように沈んでくる。
「……大丈夫?」
「……もっと、きて」
中で張り詰めた彼が、脈を打つたびに身体が熱を帯びていく。
最奥まで届くたびに、奥がきゅうっと締まり、また受け入れる。
そして――
「……イッて……一緒に……っ」
彼の指が前に回り、敏感な粒に触れた瞬間、私は叫ぶように果てた。
**
ベッドの上で肩を揺らしている私の背に、彼がそっと毛布をかけた。
「……今日は、まだ1回目ですよ?」
そうささやく声が、また私の欲を目覚めさせる。
私は、笑った。
もう、“治療”だけでは足りない身体になってしまったと、自分で認めるように。
**
帰り道、夜の風が頬を撫でても、熱は冷めなかった。
この関係は、治療なんかじゃない。
でも――必要だった。
私という女を、忘れたくなかったから。
きっとまた、私は彼の扉を開けてしまう。
罪悪感の代わりに、満たされるために。
それが、女としての私の、目覚めの形だったのかもしれない。



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