第一章 「愛してる」と言いながら、違う誰かに抱かれていた。
「……もしもし?」
夫の声が鼓膜を撫でた瞬間、私は太腿を震わせていた。
受話器を握る右手は冷たく、けれど背中に密着する男の体温は、火傷するほど熱い。
ここは渋谷、宮益坂の裏手。
仕事帰りのOLたちが通り過ぎる先に、ひっそりと佇むブティックホテル。
地上の喧騒がうそのように遠のく、静まり返った702号室。
空調の低い唸りだけが、壁に微かに反響している。
その中で、私は──夫と電話をしながら、他人の男に、奥深くまで侵されていた。
「うん、大丈夫。今ね、取引先との食事、終わったところ」
声を整える。唇を軽く噛み、吐息を整える。
だが下半身は──彼のものを受け入れたまま、ゆっくりと、果てしなく、押し広げられていた。
彼──中沢さんは、私の後ろから、私を抱えていた。
片手で私の腰を支え、もう一方の手で、私の喉元を優しく撫でている。
私は、両脚をベッドの縁に預け、背中を彼の胸に預けたまま通話を続けていた。
眼下には自分の胸が波打ち、肌がほんのり紅潮しているのが見える。
冷房の風がその胸をかすめ、固く尖った先端をくすぐるたび、下腹部の熱が脈打つように高まっていった。
「……ケーキでも、買って帰ろうかな」
夫との何気ない会話が、私の中の罪をより濃くする。
その一方で、中沢さんの腰がゆっくり、ねっとりと──私の奥の奥をなぞるように動く。
「苺のタルトが、あなた……好きだったよね?」
言葉の途中で声が震えそうになる。
けれど、私は笑ってみせた。あくまでも、「良き妻」の声色で。
彼は、その震えを敏感に感じ取っていた。
私の耳に唇を寄せて、囁く。
「震えてる……声、出してもいいんですよ? その代わり、ちゃんと嘘を続けて」
私は、喉を詰まらせる。
そして、嘘を続けた。
女として貫かれながら、妻として言葉を吐き続ける。
「……うん。明日も早いから、早く帰るね。あなたの顔……見たいし」
その言葉の裏側で、彼の動きが深く、強く、突き上げる。
ベッドが微かに軋む音が、電話越しに漏れないように、私は唇を強く噛んだ。
けれど──全身が、夫には知られない場所で、静かに絶頂の波を迎えようとしていた。
第二章 沈黙と波動──声を殺して絶頂に堕ちるまで
「……それでね、来週末、久しぶりに箱根にでも行かない?」
夫の声が、スマホからまっすぐ私の耳に届いてくる。
優しくて、穏やかで、10年間ずっと変わらない“夫の声”。
けれど今、その耳元にあるのは“愛”の言葉ではなく──
“罪”の快感を隠すための、仮面だった。
「……いいね、それ……楽しみ……」
わざとゆっくり、吐息をまぜる。
声が震えないように、喉を締めながら言葉を継ぐ。
だが、身体は正直すぎた。
中沢さんの熱は、私の中で脈を刻んでいた。
深く、重く、ゆっくりと──
まるで、私の“夫婦”という名の境界線を、内側から崩していくように。
彼の手が、私の胸を優しく包む。
指先が乳房の柔らかな起伏をなぞり、その頂を弾いた瞬間、息がふっと漏れた。
「ん……っ」
思わず出てしまった声。
私は慌ててスマホを持つ手を口元に添えた。
鼓動が速くなる。汗がこめかみを伝い、背筋が粟立つ。
「……どうした? 大丈夫?」
夫の声が、静かに心配をにじませた。
「う、うん。ちょっと……くすぐったくて」
その言葉に、彼が笑うのが背中越しに伝わる。
喉に触れた唇が、そっと私の耳に息を吹きかける。
「ねぇ、もっと濡れてきてるよ、あなた」
彼の囁きが、私の股間に波紋のような熱を広げた。
脚の間から、濡れた音がわずかに響く。
ベッドの軋む音、肌と肌が擦れる湿った摩擦音……
──すべてが、今この電話の向こうに伝わってしまいそうで、私は戦慄した。
だが同時に、その危うさが、抗えないほど甘美だった。
「……ほんとに? 嬉しいな。最近、あなた笑ってなかったから」
夫がそう言った瞬間、私は心の奥でなにかが崩れるのを感じた。
それでも──身体は、もう止まらなかった。
中沢さんが、ひときわ深く腰を沈める。
その太さと硬さが、私の奥をえぐるように突き上げた瞬間──
私は、喉を噛みしめて声を殺した。
「……っ……ぅ……ぅうっ……」
波がきた。
腹の底から這い上がってくる快感が、喉元まで駆け上がってくる。
それでも私は“妻”としての声を装いながら、女として絶頂を迎えていた。
「……あなたに会えるの、楽しみにしてるから」
涙をにじませながら、私は笑った。
脚は震え、身体は汗まみれで、なおも彼を咥え込んだまま。
通話が切れると同時に、私はベッドに崩れ落ちた。
「……嘘つきな奥さんだな」
彼の声が、私の耳元に落ちる。
私は何も言えず、ただ天井を見上げたまま、汗と愛液と涙の混じった身体で、静かに震えていた。
第三章 赦しと喪失の帰り道──苺のタルトを抱いて
あの電話が切れた瞬間、私はしばらく、動けなかった。
汗ばんだ身体がシーツに貼りつき、震える足先には、まだ彼の熱が残っていた。
静まり返った部屋で、耳に残るのは──
絶頂のとき、喉の奥で押し殺した自分の喘ぎ声と、夫の「楽しみにしてるね」という優しい声の残響。
ベッドの上、私は仰向けになり、天井の照明をぼんやりと見つめていた。
その灯りは妙にやわらかく、まるで私の罪さえ包み込むような優しさを帯びていた。
けれど私の中では、女としての悦びと、妻としての罪悪感が複雑に絡み合い、ほどけないまま、ぬるく滞っていた。
──それでも、帰らなければならない。
私は、ゆっくりと身を起こした。
下腹部に残る鈍い余韻に唇を噛みながら、乱れた髪を直し、
レースの下着を身につけ、黒のワンピースを丁寧に整える。
鏡に映った私は、明らかに“抱かれた女”の顔をしていた。
頬はほんのり紅潮し、目尻が少し潤み、
口元には、快楽の名残のようなゆるんだ笑みが、知らず浮かんでいた。
「……また連絡します」
中沢さんの声に、私はうなずいただけだった。
声を出せば、なにかが決壊してしまいそうで。
渋谷駅の改札を抜けると、夜風が肌を撫でた。
下着越しに感じる微かな湿り気と、風の冷たさが交差して、
身体の奥に残る熱だけが、妙に際立った。
駅ナカの小さなケーキ屋で、苺のタルトをひとつ買った。
袋の中でそれは、私の罪を包むように静かに揺れていた。
電車の中、私は吊り革に掴まりながら、何度もスマホの画面を見た。
夫からのLINE──「気をつけて帰ってきてね」の文字が、
胸に小さく刺さる。
私はその刺し傷を、あえて深く押し込むように目を閉じた。
──許されたいわけじゃない。
でも、見つけてほしいとも思ってしまう。
私がいま、どこにいたのか、誰に触れられていたのか。
どんな声で、どんなふうに果てたのか。
見抜いてくれなければ、この喪失の余韻に、私は溺れ続けてしまう。
自宅に戻ると、玄関の灯りがいつものように優しく私を照らしていた。
「おかえり」と笑う夫の顔を見た瞬間、私はまた、別の意味で震えてしまった。
キッチンにタルトを置き、着替えのために寝室へ向かう途中、
ふと、指先が自分の脚の内側をなぞった。
──まだ、熱が残っていた。
その夜、夫は私の隣でいつものように静かに眠っていた。
私はその横顔を見つめながら、
中沢さんの体温と、夫の安らぎの間で、そっと目を閉じた。
眠りに落ちる直前、私は確かに思った。
「この嘘は、たぶん……私を生かしてくれる」
赦しではなく、終わりでもなく、
ただ“女としての私”が、いまもどこかで震えていることを──
誰にも知られずに、そっと抱いていた。
この体験談で興奮したら必見!!
ゆかり(39歳)町田市在住。二児の母。某飲食チェーン店パート勤務。
子供が出来てから自分の美容よりも家系の節約を優先する色気の無い生活をしていたが、パート先で出会った若い男に言い寄られ、肉体関係を求められる事で忘れかけていた女としての喜びを思い出し、心ではイケないと思っていても最高に気持ちいい不倫SEXに没頭してしまう。求められると断れない性格、夫以外の男性から久々に女性として見られて嬉しい。旦那とはしばらくセックスレス。



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