最初に彼が体育館に来たのは、六月の終わり、梅雨の晴れ間だった。
ママさんバレーの練習中、見知らぬ若い男の子が端に立っているのを見て、私は一瞬だけ胸がざわついた。
長めの前髪に隠れる横顔、引き締まった足、けれどどこか頼りなさそうな肩の線。
「うちの息子なの。今日だけ見学させてもらうね」
彼は、A子さんのひとり息子だという。
二十歳の大学生。運動部上がりらしいけれど、今はバイトと学業で精一杯なのだとか。
私たちは軽く会釈を交わしただけだった。
けれど、その視線の奥に、なにかまだ言葉にならない“感情の芽”のようなものを私は感じた。
好奇心? それとも――欲望?
それから数回、彼はときどき練習を見に来た。
「こんにちは」
「今日も暑いですね」
そんな何気ないやりとりが少しずつ、私たちの距離を縮めていった。
ある日、彼がボール拾いを手伝ってくれたあと、私は冗談めかして言った。
「毎週来るなら、正式にマネージャーとして雇おうかしら」
「それ、いいかも」
彼は笑い、少し頬を赤らめた。
そんな顔が、たまらなく可愛く見えた。
練習の帰り際、駐車場でふたりきりになったとき、私はごく自然にスマホを差し出した。
「LINE、交換しとく?」
彼は驚いたような顔をし、それからすぐに頷いた。
「はい、ぜひ……」
その夜、最初のメッセージが届いた。
“今日はありがとうございました。あの、Tシャツ姿すごく似合ってました。”
私は笑いながら返信した。
“そんなこと言って、口説いてる?”
彼からの返信は、すぐには来なかった。
けれど深夜、一言だけ返ってきた。
“……もし口説いたら、嫌ですか?”
その瞬間、私は心のどこかでブレーキを外していた。
一週間後の金曜。
私は彼とふたり、小さなバーでグラスを傾けていた。
「お酒、強くないんだ」
「うん、でも……今日は、飲んでみたくて」
彼は私の目を、正面から見据えていた。
私たちは赤ワインを飲みながら、他愛ない話を交わした。
大学のこと、バイトの愚痴、好きな映画。
けれど、ふとした間合いの沈黙が、肌の間の湿度を変えた。
「ねえ、こんな夜に人妻と飲みに来て、怖くないの?」
「……少し、怖い。でもそれ以上に……」
「なに?」
「……あなたと一緒にいたい」
私は笑ったけれど、グラスを置く指先は、わずかに震えていた。
「ほんと、あなたって……無防備すぎ」
そのまま、ホテルへ――などという展開にはならなかった。
その夜は、ただハグをして別れた。
でも、抱き合ったときの彼の胸の鼓動が、あまりに真っ直ぐで、
私の奥の“女”を、深く濡らしていた。
決定的だったのは、次の週の夜。
「今度こそ、飲み直さない?」
私から誘った。
彼は迷わず「行きたい」と言った。
その日、私は白のブラウスに膝上のタイトスカートを選んだ。
胸元は控えめに開け、香水をひと吹きだけ。
居酒屋で軽く飲んだあと、「部屋で少しだけ話さない?」と私が言ったとき、
彼の目は、静かに熱を帯びていた。
ホテルの部屋。
「座って」
私はソファに彼を座らせ、自分は隣に。
「緊張してる?」
「……はい」
彼の手の甲に、私の指を重ねる。
それだけで、彼の体温がぐっと上がったのがわかる。
私は彼の頬に手を添え、ゆっくりと唇を重ねた。
濡れた舌が交わり、彼の息が甘くほどけていく。
私は手を彼の脚に伸ばし、硬くなったそれに触れる。
――やっぱり、驚くほど大きい。
若さと無垢と、本能だけが詰まった熱。
私はそのまま膝をつき、そっとズボンを下ろした。
現れたそれは、まるで獣のように張り詰めていた。
唾液を絡ませて舌を這わせるたび、彼の息が荒くなる。
「そんな……舐めたら、すぐ……」
でも私は止めない。
むしろ、溢れるように咥え込み、自らの指を下腹部に這わせる。
そのままベッドへ押し倒し、私はゆっくりと彼にまたがった。
挿れる瞬間、思わず声が漏れた。
「ああ……大きすぎ……っ」
けれど、痛みではなかった。
身体が勝手に彼を受け入れようと脈打ち、私は何度も腰を揺らした。
彼の目は潤み、唇はわずかに開いて喘いでいる。
「中で……動いて……あぁ、もう……」
「我慢しなくていい。中で出して……全部、受け止めるから」
私は自らを貫く若い欲望を、奥で何度も感じながら、
一度、二度、三度――絶頂を重ね、
最後は彼の熱い欲が私の膣内に溢れるまで、貪った。
ベッドの上で、私の髪を撫でながら彼が言った。
「……もう、ほかの誰にもこんな風にできないかもしれない」
私は彼の胸に顔を埋め、笑った。
それが罪でも、過ちでもいい。
この快楽を知ってしまった身体が、
彼という“若さの塊”を、手放せなくなっているのだから。
「今日、友達も一緒に来てもいいですか?」
週末の午後、LINEの通知が鳴った。
彼――涼介(仮名)からだった。
『友達?』と私は返した。
『うん。同い年のやつで、バレーの話してたら興味あるって。すごい明るいやつだけど、変なことはしません(笑)』
一瞬だけ迷った。けれど、それはほんの数秒だった。
『いいよ。見学くらいなら。』
その日、体育館にはふたりの若い男が現れた。
涼介の隣にいた彼――陽太(ようた)と名乗ったその友人は、健康的な肌と、やや人懐こい笑顔が印象的だった。
筋肉質な腕、濃いまつ毛。見るからに“女慣れ”している感じは、涼介とは対照的だった。
彼らはボール拾いやネット張りを手伝いながら、私を時折見つめた。
視線を逸らすと、妙な熱が全身に広がった。
練習のあと、私はふたりに冷たい麦茶を渡した。
「お疲れさま。手伝ってくれてありがとうね。」
「全然っす!てか、〇〇さん(私)って……バレーしてる姿、めっちゃ綺麗でした」
陽太が言った。少し茶化したような口調。でも、その瞳だけは真剣だった。
その夜。
涼介からLINEが来た。
『……陽太が、あなたのこと気になったみたいで……』
『僕は嫌じゃないです。むしろ……3人で会ってみるのも、ありかなって思ってしまって。』
指先が止まった。
けれど、そのときの私の身体は、答えを知っていた。
どこかで、すでに望んでいた――そんな背徳。
土曜の夜、私はふたりの若い男と、ひとつのホテルの部屋にいた。
大きなベッド。低めの照明。ワイングラスと静かな音楽。
陽太は冗談を交えながら場を和ませ、涼介はいつものように隣で微笑んでいた。
けれど空気は、明らかに湿っていた。
「……ねぇ」
私はゆっくりと髪をかき上げ、彼らを見た。
「本当に……ふたりとも、私を抱きたいの?」
言葉が落ちた瞬間、部屋の時間が止まったようだった。
やがて、涼介がうなずいた。陽太も、その視線を逸らさずに言った。
「……こんな綺麗な人を目の前にして、我慢できるわけないっすよ」
私は、笑った。
そして、ブラウスのボタンを外した。
先に触れてきたのは陽太だった。
彼の手は慣れていて、唇も大胆だった。
首筋から鎖骨、谷間へと舌を這わせながら、片手でスカートをまくり上げる。
「ほんとに……エロい身体してんな」
陽太の低く囁く声に、私はゾクッとした。
一方、涼介は私の背後に回り、そっと抱きしめた。
彼の腕のぬくもりに、私は安堵と興奮を同時に感じた。
ふたりの手が、同時に私を撫でてくる。
片方の手は胸を揉みしだき、もう一方は太ももから下着の中へ。
「ねぇ……ちゃんと濡れてる……」
涼介の指先が私の敏感なところに触れた瞬間、私の腰が跳ねた。
「もっと……舐めたい」
陽太がそう言って、私の足をゆっくりと開かせた。
そして、ためらいなく舌を滑り込ませる。
一方で、涼介は私の唇を奪いながら、後ろから胸を愛撫し続けている。
快楽の波が重なり合い、私は身体をくの字に折り曲げた。
「イキそう……イッちゃう……っ」
私は陽太の舌で、ひとつ目の絶頂を迎えた。
次は、陽太の番だった。
彼のモノは、涼介とは違って太く、圧があった。
私は彼の上に跨り、自分の手でそれを導いて挿入した。
「やば……奥まで入ってる……!」
彼の声と、私の声が重なり、リズムがどんどん速くなる。
そのあいだ、涼介は私の背中にキスを落としながら、自分をしごいていた。
「今度は……俺も」
涼介が陽太と入れ替わるように、私の身体を引き寄せた。
私は四つん這いになり、後ろから挿れられる。
そのあいだ、陽太はソファに座り、自分のモノを弄びながら見つめている。
「エロ……ほんと、やばいっす」
涼介の律動、陽太の視線――
私は恍惚と羞恥の中で、身体の奥が何度も震えた。
最後は、ふたりに囲まれながら同時に絶頂を迎えた。
私はふたりの熱を全身に受けながら、崩れるようにベッドに沈み込んだ。
ベッドのシーツの皺を撫でながら、私は思った。
これが堕落なのか、解放なのか。
人妻という枠の中に閉じ込められていた“女”が、ようやく目を覚ましたのかもしれない。
そして次の瞬間、陽太が囁いた。
「来週も、呼んでくれますよね……?」
私は、静かに笑って頷いた。
「ええ。あなたたちのせいで、私……止まれなくなったから。」



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