社会人一年目。
失敗だらけの毎日に疲れ果て、それでも私は、あのオフィスの机で「彼」のLINEを待つのが好きだった。
はじめての彼氏。はじめてのキス。はじめて触れ合った肌。
あの日、彼の部屋で震えながら迎えた「最初の夜」は、私の人生の始まりだったと思っていた。
でも、その記憶は──半年後のある夜、跡形もなく、塗り替えられた。
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会社の歓送迎会。
一次会、二次会と進むにつれ、アルコールが体の芯にまで染みていった。
彼は一次会で帰った。明日、朝が早いから、と。
「無理しないでね」
そう送ったメッセージに、スタンプだけが返ってきた。
三次会で隣になったのは、他部署の部長だった。
穏やかな笑み、深い低音の声、グラスを口に運ぶたびに浮かぶ喉仏の動き──
私より二回りは上。普段なら、恋愛対象になるはずがない人。
なのに、彼の指先がさりげなく私の手の甲に触れたとき、
体がぴくりと震えた。なぜか、そこだけが熱くなった。
気づけば、終電は終わっていて、彼の一言が胸に滑り込んできた。
「うち、来る?奥さんと子どもは今、実家なんだよ」
──このとき、断るべきだったのかもしれない。
でも、私はうなずいてしまった。
帰れない夜。酔った身体。心の隙間に、誰かの体温がほしかった。
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シャワーを借り、ソファに身を沈めると、思ったより早く眠気が襲ってきた。
知らない天井、知らない部屋、でも心地よい柔らかさ。
そのまま、私は落ちるように眠った。
──目覚めは、何かが私の脚をなぞる感触だった。
「……っ」
息を飲んだ瞬間、彼の舌が、私の太ももをゆっくりと這っていた。
Tシャツの裾がめくれ、下着はいつの間にかずらされ、
私の最も敏感な場所が、彼の呼吸の熱に晒されていた。
「やめて……っ」
かすれた声が出たけど、心の奥で“やめてほしくない自分”がいた。
彼の舌が、濡れた花びらの間を這う。
生々しい音が、部屋に満ちていく。
私は恥ずかしさで胸が苦しくなった。
でも──腰が勝手に浮いていた。
「彼より、感じてるね……」
耳元でそう囁かれた瞬間、頭が真っ白になった。
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彼の指が、私の中を探るようにゆっくりと動く。
一度抜いて、また奥へ──くちゅり、と濡れた音が響いた。
私は両膝を握りしめ、唇を噛んで声を堪えた。
けれど、耐えきれずに「んっ……だめ、そんなの……っ」と声が漏れる。
「奥、すごく締まってる」
彼の声が低く沈み、私のうなじに落ちていく。
その熱で、私はびくんと背を反らした。
身体は正直だった。
羞恥、罪悪感、混乱──すべてを超えて、ただ「欲しい」と願っていた。
「……入れるよ」
彼の声に、私は何も言えなかった。ただ、静かにうなずいた。
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それは、彼氏のときとは違っていた。
熱くて、大きくて、奥に届くたびに思わず喘ぎが漏れた。
「大丈夫……ゆっくり動くから」
その優しさが、逆に私を壊した。
突き上げられるたび、心がどこかへ飛んでいきそうだった。
汗が滲む額、握りしめたソファの縁、絡みつく舌先。
体の奥が、きゅうっと締まり、「いく……いっちゃう……っ」と叫んでいた。
そして、私は──
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彼の腕の中で、初めて“挿れられたまま”絶頂を迎えた。
ぶつぶつと千切れるような快楽。
身体が波打ち、視界が白く滲む。
嗚咽のような声が漏れ、私はただ呆然と彼の胸に頬を押しつけた。
「彼じゃ、こうならなかったんだね」
そんな言葉に、私の中の何かが音を立てて崩れた。
**
朝、彼は静かにシャワーを浴びていた。
私は何も言えなかった。ただ、鏡に映る自分の首筋に残る赤い跡を見つめていた。
その日から、私は変わった。
恋愛よりも、優しさよりも、「肉体的な相性」に支配されるようになった。
欲しいと思ったとき、もう止めることができない。
──身体が、先に求めてしまう。
でも時々、あの夜の彼の声が、脳裏によみがえる。
「もう、戻れないね──」



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