息子の大学の後輩に抱かれた午後──曇りガラス越しの視線が私を女にした

第一章 静けさに忍び込む視線——その日、彼がこの家に来た

六月の午後。
濁った雨が、軒先をずっと叩いている。
エアコンの除湿をつけているのに、空気はどこかべたつき、肌にまとわりつく。

私は埼玉の住宅地に暮らす39歳の専業主婦。
夫は都内の大学病院で医師として働いており、ここのところは連日の当直続き。
息子は大学のバスケットボール部に所属し、ちょうど今、合宿で不在だった。

そんな空白のような日々に、彼は訪れた

「後輩の子が足を痛めちゃってさ。親御さんも働いてて昼間いないみたいだし、ちょっとだけ家で休ませてもらえると助かるんだけど……」

息子からのメッセージに、私は特に深く考えもせず「いいよ」と返した。
自分の子の友人なのだし、気遣うべき年頃の子なのだと思ったから。
それに、私も誰かが家にいることで、どこか空気が動く気がしていた。

その日の午後三時すぎ。
インターホンが鳴ると、雨で濡れた黒髪の青年が立っていた。


「こんにちは……あの、藤堂(とうどう)です。◯◯先輩から伺ってます」

名乗った彼の声は、想像していたよりも低く、静かだった。
まだ19歳——大学1年生にしては、ずいぶん落ち着いた空気を纏っていた。

シャツは濡れて体に張りつき、前髪の滴が頬を伝っている。
私は慌ててバスタオルを差し出しながら、彼の横顔を見ていた。

……整った顔立ち。
けれどそれよりも、もっと気になったのは、**彼の“目”**だった。

じっと見つめてくるわけでもなく、逸らすでもなく、ただ、深く奥を見透かすような眼差し

その視線を、私は一度で忘れられなくなっていた。

「何か不自由なことがあったら遠慮なく言ってね。狭い家だけど、ゆっくりしてって」

「……ありがとうございます」

微かに笑った彼の口元に、私は一瞬、視線を奪われた。
笑ったのに、どこか寂しさが滲んでいたから。

和室に案内し、濡れた荷物をタオルで拭っている彼の後ろ姿を見ながら、
私はその静けさのなかに漂う熱のようなものを感じていた。

それはまだ、火を点ける前の息のようなものだった。
けれど私の中で、長く眠っていた“何か”が、すでに少しずつ目を覚まし始めていた。

——それは、夫にも息子にも知られていない、**私の奥底の“渇き”**だった。

第二章 濡れた午後、浴室の曇りガラス越しに──彼の視線が私の“奥”をなぞった日

その日は、朝からずっと雨だった。
空の色は灰色のまま動かず、洗濯物も部屋干しのまま湿ったままだった。
気圧のせいか、身体が重く、頭もどこか鈍く痛む。
けれど、それ以上に私のなかにまとわりついていたのは、言葉にできない“熱”だった

息子は合宿で不在。夫は出張で明日の夜まで帰らない。
この家には、私と——そしてあの青年、藤堂くんだけ。

「先輩のご家族に迷惑かけるわけにはいかないので、すぐ出ます」
そう言っていた彼が、玄関をくぐってから2日目の午後。

私は何度も、彼の存在を“確認”するように、視線を漂わせていた。

キッチンに立てば、和室の障子の隙間を。
掃除機をかければ、廊下の端に置かれたスポーツバッグを。

——気づかれていないふりをして、彼の“気配”ばかりを探していた。


その日、彼は午前中に大学のトレーナーと診察に行っていた。
帰宅後、軽く昼食をとり、痛む足を庇うようにしながら、ゆっくりと浴室へと消えていった。

私は台所で、少しぬるめのお茶を淹れながら、無意識に時計を見ていた。
15時10分。シャワーの水音が遠くから聞こえていた。

——あぁ、いま彼は、裸なんだ。

その一文が、頭のなかに沈んできた瞬間。
胸の奥が、苦しくなるほどざわついた。

気づけば、私はタオルを手に、浴室の前に立っていた。

「そうだ、着替えを置いておかないと」

言い訳のように自分に呟く。
それでも、膝が少し震えているのがわかる。
心臓が鼓膜のすぐ後ろで、どくどくと音を立てている。

浴室のドアには、すりガラスが嵌め込まれていた。
その向こうに、藤堂くんのが、淡く浮かんでいる。

湯気の向こう、ぼやけた輪郭。
少年の面影を残しながらも、締まった背筋、しなやかな肩、
そして——おそらくは、下腹部から下、太もも、ふくらはぎまで。

彼の輪郭が、くっきりと男のものとして立ち上っていた。

私は、見てはいけないとわかっていながら、
目を逸らすことができなかった。

**

そのときだった。

「……あの、着替え……そこの棚に、置いてもらえますか?」

扉越しの声が、湯気のなかから聞こえてきた。
私の背中にぞわりとした悪寒が走る。
それが、快感と混じり合っているのが、自分でもわかった。

「ええ、いま置いておくわね」

返事の声が、震えていた。

タオルとTシャツをそっとドアの前に置いたとき、
すりガラスの向こうの彼の影が、こちらを向いているのを感じた。

まるで、こちらの姿が透けて見えているかのような錯覚。
あるいは——それ以上に、心の奥を、見透かされているような視線だった。

私の内腿が、じんわりと熱を持ち始めていた。

呼吸が浅くなる。
喉が渇いていく。
けれど、そこから動けなかった。

**

「すみません……おばさん、こういうのって、やっぱ緊張しますね」

声は、冗談めかしていた。
けれど、その声音の奥に、確かな温度があった。
明らかに、何かを確かめるような口調だった。

私の中に生まれた興奮と罪悪感の入り混じったざわめきは、
すでに、ひとつの答えに向かって動き始めていた

彼の影が、湯気のなかで首をかしげたように見えた。
私は、まるで誘われるように、その場から離れた。
けれど、頭の奥には、すりガラス越しの彼の裸が、焼き付いていた。

そして、はっきりと感じた。

——あの影の奥で、私を見ていたのは、彼の視線だけではなかった。

見られることで疼いたのは、
肌ではなく、**女としての“本能”**だった。

第三章 声を押し殺したリビングで、彼が私を開いた

午後4時半。
雨は止んでいたけれど、空気はまだ重たく湿っていた。
テレビは消えたまま、リビングにはクーラーの静かな音が響いていた。

私はソファの上で、湯上がりの彼がどこにいるのかを、
何でもない顔をしていながら、耳と肌で探していた。

彼はキッチンの給水機の前で、コップに水を注いでいた。
部屋着に着替えたばかりの、柔らかく乾いたグレーのTシャツ。
胸元の布地が、ほんの少しだけ汗を吸って、体に貼りついていた。

彼が振り返り、ゆっくりとリビングへ歩いてきた。

「……おばさん、さっき、俺のこと見てましたよね」

唐突な一言だった。
私はページをめくるふりをしながら、目を逸らした。

「なにを急に……冗談でしょ?」

「本気です。ずっと感じてましたよ、視線……あの浴室のときも、今日の昼間も」

言葉よりも、彼の声の温度のほうが、私の身体に入り込んできた。

彼は私の正面に立つと、ゆっくりとしゃがみ、私の足元を見つめた。
目が合った瞬間、その瞳が、肌の奥の脈打つ場所に触れてきたようで、私は喉の奥で息を飲んだ。

「……旦那さん、今夜もいないんですよね」

その言葉と同時に、彼の指が、私の足首に触れた。
冷たくも、熱くもない——けれど、すべてを動かす引き金だった。

私は、もう何も言わなかった。

**

スカートの裾が、ゆっくりと持ち上げられていく。
指先が、ふくらはぎから太ももへと這い上がっていく。

脚の内側に当たる、彼の手のひらの温度。
まだ肌の表面にさえ触れていないのに、奥がすでにじんわりと濡れ始めているのが、わかった。

下着越しに、彼の指がなぞった。

「あ……ッ」

声が漏れそうになった瞬間、彼が顔を近づけてきた。

「大丈夫。聞こえませんよ。外はまだ雨音が残ってるから」

そう言って、指をゆっくりと布の奥に潜らせてきた。

滑り込んできた指先が、濡れた粘膜をかき混ぜる。
くちゅ、くちゅと、湿った音がリビングの空気を震わせた。

私は声を殺すために、ソファのクッションに顔を埋めた。
恥ずかしさではない。
これは、悦びに溺れる準備だった

「……すごい。もう、こんなになってる」

彼の声が震えていた。
その震えが、なぜか誇らしく、嬉しく、胸の奥を震わせた。

**

下着をずらされ、彼の舌が触れたとき、
私はソファの肘掛けに爪を立ててしまった。

舌が、花弁の縁をなぞり、つぼみの芯を押し上げ、
そのたびに私の腰は、無意識に浮き上がった。

音が、ぬるりと響く。
指と舌が交互に出入りし、私の奥がくちゅくちゅと啼いた。

「やだ……そんな、音……」

私はそう言いながら、両脚を彼の肩に絡めていた。

彼は、少年ではなかった。
このときの彼は、ひとりの男として、私を知ろうとしていた

**

やがて、彼が体を起こし、私の目を見た。

「入れてもいいですか」

その一言が、私の心を完全に崩した。

私は、うなずいた。
そして——

身体の奥に、彼が押し入ってきたとき、
私は小さく悲鳴を上げながら、女として壊れていった

最初の衝撃。
ひとつになったという、確かな熱。
そして、奥をなぞられた瞬間、視界が白くはじけた。

彼は若く、激しく、けれど驚くほど丁寧だった。

突き上げられるたびに、私の内側が掻き回され、
濡れた音が溶け合って、ソファの上が快楽に沈んでいく。

「おばさん、きれい……声、もっと聞かせて」

彼のその言葉が、
この日一番、私の奥に響いた。

私はもう、妻でも母でもなかった
ただの“女”だった。

快楽に啼き、濡れ、締めつけ、果てていく女だった。

**

絶頂の波が、容赦なく身体を貫いた。
奥がきゅう、と収縮し、彼の中を搾り上げる。
彼も深く沈み込んだまま、震えた。

動きが止まり、ふたりの鼓動だけがリビングに響いた。
やがて、彼の身体がゆっくりと私の上から外れていく。

私は汗に濡れた髪を額に貼りつけたまま、天井を見上げた。

雨は、もう完全に止んでいた。

外の空気が、乾いていく。
そのことに、なぜか涙が滲んだ。

——私は、見られていた。
夫も知らなかった“女”の顔を、
この少年が、見つけてくれた。

**

彼が毛布をかけてくれたとき、
私は目を閉じたまま、小さく囁いた。

「もう、二度と来ないでね……」

けれど本音は、違っていた。

——もう一度だけ、壊してほしい。そう思っていた。

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