万引き現場で、私の本能が盗まれた日
白いワンピースの裾が、ふいに風でめくれた。
──今日だけは、ただの女でいたかった。
勤務は休み。警察手帳も、拳銃も置いてきた。
代わりに選んだのは、膝下までふわりと揺れるリネンの白。
肌に貼りつくような蒸し暑さと、
目立たない小さな罪が、
私の輪郭を少しずつ歪ませていく。
「……すみません、それ、お会計は?」
声は穏やかで、どこか冷めていた。
商品棚の端、足元に忍ばせたリップを、
彼の視線が正確に射抜いた。
振り返ると、そこには――
名札の揺れる黒Tシャツのアルバイト。
年齢は、おそらく二十歳前後。
その若さに見合わない眼差しだけが、私を貫いていた。
「こちらへどうぞ」
淡々とした指示。
でもその一歩一歩が、
私の膣の奥に、ゆっくりと熱を落としていく。
バックヤードは静かだった。
乾いた蛍光灯の明かりの下、
彼が椅子を指差すのを、私はなぜか素直に受け入れた。
脚を揃えて座ったはずが、
気づけば太ももの内側に、ぬるい風が這っていた。
「身分証を拝見しても?」
その瞬間、私は言えなかった。
大阪府警、刑事部、捜査第三課――
自分が、誰なのかを。
「……財布、持ってなくて」
喉が詰まる。
なのに、息だけが深くなっていく。
乳房がわずかに揺れて、
下着の中が、じわりと滲んでいるのがわかった。
「本当は、逃げられたんですよ。僕、気づかないふりもできたから」
彼はそう言って、背後のドアに鍵をかけた。
カチリ、という音が
まるで私の中のスイッチを探し当てたようだった。
「でも、あなたは逃げなかった。どうして?」
その問いかけに、私は言葉を失った。
代わりに熱が股の奥に集まり、
ワンピースの裏地が、わずかに脚に張りついているのがわかる。
「ねえ、ほんとは――」
彼の声が、耳ではなく、
なぜか子宮の奥に届いた気がした。
私はまだ、何もされていない。
けれど、もう、濡れていた。
ワンピースの奥で、私は“見抜かれていた”
「本当に財布を忘れただけですか?」
椅子の背に体を預けた彼の視線が、
言葉よりも早く、私の膝の隙間に沈んでくる。
答えられない。
むしろ、その沈黙すら期待していたような気がした。
白いワンピースの下、
太ももに触れる下着の縁が、
じっとりと重さを帯びていく。
「じゃあ、警察を呼びましょうか」
その言葉に、私は条件反射のように立ち上がった。
だが、足元がふらつく。
喉の奥が焼けるように熱く、目の前が霞む。
「お願い……それだけは……」
懇願する声は、自分のものとは思えなかった。
必死に繕う理性の隙間から、
何か、もっと本能的な声が漏れていた。
「やっぱり、ただの“忘れ物”じゃないんですね」
彼がゆっくり立ち上がる。
背後にある蛍光灯が、彼の輪郭を白く縁取る。
「どうして濡れてるんですか、そんなに」
その言葉で、脚がすくんだ。
彼は、何も触れていない。
それなのに、
まるで私の濡れ方の深さまで、見透かされていた。
「座ってください。脚、もう少し開いて」
命令ではない。
でも抗えなかった。
いや――抗いたくなかった。
ゆっくりと座りなおし、
脚を開くたびに、下着がひきつれる音が微かに響いた。
彼はしゃがみ込み、
目線の高さを、私の腿の間に合わせてくる。
その視線の熱に、
ワンピースの裏地がじゅくじゅくと張りつき、
私は、じっとりとした羞恥の中で、
自分の中心が“疼いて”いるのを知った。
「指、入れてませんよ。まだ」
囁き声だった。
それなのに、その音が振動になって、
私の粘膜の奥を、震わせる。
「でも……ほら。奥のほう、痙攣してる」
彼の言葉と同時に、
私は、座ったまま達しそうになるのを、必死で堪えた。
ワンピースの裾を握りしめる手に力が入る。
膣の奥が、何かを待っている。
「……ねえ。教えてください。どうして、そんなに濡れてるんですか?」
質問の形をしているのに、
その声音は、すでに私を支配していた。
答えることは、堕ちること。
でも私は、喉の奥にひとつ熱を落とすようにして、
小さく、震えるように呟いた。
「……見られたかった、のかもしれません」
その瞬間、彼の指先が、ゆっくりと私の膝に触れた。
次は、もっと奥に――
奥に触れられた瞬間、私はもう「女」に還っていた
彼の指先が膝をなぞった瞬間、
それはただの接触ではなかった。
――私の理性の最後の鍵が、静かに外された音がした。
「……本当に、いいんですね」
問いではなかった。
むしろ、私の奥で既に頷いていた欲望の声を、
彼が代弁してくれただけだった。
私は白いワンピースの裾を持ち上げる。
ゆっくりと膝を割り、
羞恥とともに湿った吐息が喉を這う。
彼は床に膝をつき、
顔を私の中心へと沈めてきた。
吐息が、肌の柔らかい内側をなぞる。
ふとした鼻先の動き、
熱を帯びた舌の平面が、
じゅくじゅくと濡れた襞の奥へと、ゆっくりと滑り込んでくる。
──ああ、溶けてしまう。
舌の先が、痙攣する入口をなぞり、
次第に奥を、円を描くように舐め立てられる。
粘膜が脈打ち、
私は自分の内側に“音”があることを初めて知った。
腰が逃げそうになるのを、
彼の両腕がそっと支えてくる。
触れるのではなく、“受け止められている”。
目を閉じると、
耳の奥で、じゅぷ、じゅぷ……と、
湿度の高い水音が、甘く跳ね返る。
次に私が彼の前に跪いたとき、
頬を伝う体液の熱と、
彼の鼓動が脈打つ感触が、舌に伝わってきた。
ゆっくりと咥える。
初めは緊張で喉が震えていたけれど、
その質感が奥へ進むたびに、
私はむしろ自分の深さを知りたくなっていった。
口内の湿度と、
彼の熱さと硬さと脈動とが、
私という器に詰まっていくようだった。
「もう……」
囁くような彼の声に、
私は舌先でそっと先端をなぞり、最後に唇で吸った。
ベンチに押し倒され、
今度は私が彼を受け入れる番だった。
最初は、正面から。
ゆっくりと、重なる。
密着した腹部が、熱を交換し合い、
私は自分の中の“柔らかい通路”が、彼を待ち構えていたことを知る。
「ああっ……」
声にならない吐息の中で、
目と目が合い、
何かが通い合った気がした瞬間、
彼は私の脚を持ち上げ、後ろから私を抱いた。
後背位の深さは、羞恥を超えて、
私という構造の一番奥まで彼を招き入れていた。
ヒールが脱げ、足先が震える。
乳房が重力に逆らえず揺れ、
その拍動に合わせて、彼の律動が深まっていく。
「……まだ終わりたくない」
そう呟いた私の身体が、
自然に彼の腰を求めて動いた。
騎乗位――自らを重ね、
下から突き上げる彼を、全身で受け止めながら、
私は何度も何度も、頂点を滑り降りた。
汗が、唇を伝って落ちた。
やがて動きが止まり、
二人の熱が、まるでひとつの塊になったように静かに息づいたとき、
私は彼の胸に顔を埋め、こう呟いた。
「今日、女に戻れてよかった……」
部屋の隅でまだ蛍光灯が唸っていた。
ワンピースの裾はめくれたまま、
太ももには、濃い快楽の残り香がにじんでいた。
その夜、家に帰ってからも、
私は何度も脚を閉じてみたけれど、
そこには彼の熱が、まだ残っていた。



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