駅前の居酒屋を出た夜、風が冷たかった。先輩の松本凛と私、石川琴葉はどちらもかなり酔っていた。迎えに来たのは、凛の恋人・近藤朔だった。
背が高く、肩幅が広く、少し厚みのある体つき。車に乗り込むと、シートに煙草の匂いが深く染み付いていた。酔った私にはその匂いが強く、喉の奥まで来るようだった。それでも家まで送ってもらうしかなかった。ルームミラー越しに時折こちらを見る目だけが、妙に残った。
三週間後の休日、郊外の複合店のレンタルコーナーで彼とばったり会った。
「一人?」
お茶でも、と誘われた。断る言葉がうまく出なかった。車に乗った時点で、行き先はもう決まっていた。焼肉店。生ビールを勧められ、「冷える前に飲んだ方がいい」と言われた。強くない私は我慢して空にした。二杯目の途中で視界がゆるくなった。
「少し休もう」
案内されたのは駅から少し離れたビジネスホテルだった。ドアが閉まった瞬間、煙草の匂いがまた近くなった。
朔は急がなかった。まず唇を重ね、舌をゆっくり commingle させた。耳の後ろ、顎のライン、鎖骨の窪みへ舌先を這わせ、唾液で肌を濡らしていく。ブラウスのボタンを一つずつ外され、ブラの上から胸を掌で包まれた。親指が頂点をゆっくり円を描くたび、私は小さく息を詰めた。
下着まで下ろされ、脚を開かされた。彼は膝をつき、内側の柔らかい肌を唇で拾うように吻んだ。脚の付け根まで舌が滑ると、私は腰を浮かせた。
「そんなに震えてる」
低い声だった。彼の舌は急がず、割れ目に沿って上下した。先端で小さく突起した部分を捉え、平らな舌で何度も押し潰すように舐め上げる。唾液と私の熱が混ざり、音が部屋に小さく響いた。経験の浅い私は、そこまで丁寧に口で扱われたことがなかった。腰が勝手に動き、指がシーツを掴んだ。
「出そうなら出していい」
そう言われ、舌先が同じ場所を執拗に転がされた。熱が下腹部に集まり、内側がひくひくと収縮した。初めて味わう、内側から溢れるような感覚が脚を硬直させた。声が喉から漏れた。彼は止めず、溢れた熱を舌で受け止めたまま、入り口を浅く突くように舐めた。
息が整わないうちに、彼は避妊具をつけた。太く硬いものが割れ目に沿って滑り、入り口を押し広げた。ゆっくりと奥まで入ってくる感触に、私は彼の肩を掴んだ。壁に当たるような圧と、熱が同時にきた。
「先輩には言わない。いい子だな」
優しく言われながら、腰を深く沈めた。抜き差しのたびに、濡れた音がした。彼の腹が私の腹に当たるたび、煙草の匂いが近づいた。奥を小さく突かれる角度に変わった瞬間、先ほどの余韻が再び押し寄せ、私は彼の背中に顔を埋めた。
終わったあと、彼は私の髪を撫でた。その手が意外なほど丁寧だったことが、余計に残った。
その夜、LINEを交換した。
会うのは、凛が夜勤に入る日だけになった。病院勤務の先輩がいない夜を選び、同じ系列のホテルか、彼の車の後ろで落ち合う。会うたびに、朔の手は少しずつ大胆になった。
ある夜、彼は私を仰向けに寝かせ、脚を大きく開かせたまま、しばらく動かなかった。ただ見ていた。視線を浴びているだけで、割れ目が熱を持った。
「ここ、綺麗にしておこう」
刃を取り出し、丁寧に剃っていった。短い毛が落ちる感触と、指先が秘部を押さえる感触が同時にきた。冷たいジェルと、熱い吐息。剃り終わると、肌が異常に敏感になった。彼は満足そうに舌を戻し、むき出しになった部分をゆっくり舐め上げた。何も覆うものがない分、舌の温度が直接届いた。腰が跳ね、私は彼の髪を掴んだ。
終わったあと、彼は煙草に火をつけ、私の唇にも軽く吸わせた。最初はむせた。次第に、その匂いが彼自身のように感じられるようになった。車の助手席で匂いを嗅ぐだけで、下着の内側が湿った。
回数を重ねるうちに、避妊具を使わなくなった。
「今日は奥まで出していい?」
と尋ねられた夜、私は小さく頷いた。ゴムのない熱が直接粘膜に触れた瞬間、私は彼の腕を強く握った。生の感触は、想像以上に生々しかった。脈打つものが内側の壁を押し広げ、抜き差しのたびに熱がこすれた。
彼は深く沈めたまま動きを止め、私の耳元で低く言った。
「締めて。出してやる」
言われるままに内側を絞ると、彼のものが大きく脈打ち、熱いものが奥で広がった。溢れ出す感触が、子宮のあたりまで届くようだった。抜かれたあと、白いものが割れ目からゆっくり垂れた。彼はそれを指で掬い、再び入り口に戻した。
「今夜もいっぱい出したな」
その言葉を聞いても、私は彼を押しのけなかった。
朔は時々、こう言った。
「凛より、お前と会う回数の方が多い」
胸の奥が熱くなった。申し訳ないという気持ちと、選ばれているという気持ちが同時にきた。どちらが本音か、自分でも分からなくなっていた。
誘われれば、また行く。夜勤明けの先輩に「今日は早く寝る」と嘘をついた。車内で煙草の匂いを吸い込みながら、次にどこへ連れて行かれるのかを想像した。想像するだけで、下腹部が重くなった。
ある夜、彼は私を四つん這いにし、後ろからゆっくり入れた。深く届く角度で、手先が剃ったばかりの秘部を開いたまま腰を打ち付けた。拍子ごとに、中に残っていたものが音を立てて溢れた。私は枕に顔を埋め、声を殺した。殺しているつもりでも、喉の奥から漏れた。
「もっと出る顔、見せろ」
振り返らされ、唇を塞がれたまま奥を突かれた。舌を絡められ、同時に熱いものが再び中へ放たれた。受け止めるたびに、身体が彼を覚えていくのが分かった。
凛には何も言えない。言えるはずがない。彼女は夜勤の合間に朔の消息を気にしている。私はその会話の端に、静かに座っている。
誘われれば、また脚を開く。断る言葉が、喉の奥で消える。彼の煙草の匂いを嗅ぐたび、剃られた肌が疼く。先輩に申し訳ないと思いながら、次の夜勤の日を数えている自分がいる。
その自分が、一番よく分かっている。
私はもう、戻れない。
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