見つめられてほどける、私のなかの禁じられた蕾
夫が出張でいない夜。私は、決まって薄いワンピースを選ぶ。
風に揺れるたび、肌が、形が、奥の湿度までも感じ取られてしまいそうな生地。
今日も、それを纏ったまま、窓のカーテンをわざと少しだけ開けた。
庭に出るふりをして、ベランダで髪を整える。
その奥、隣の部屋の窓。カーテンの影に動く気配――。
「あの子、まだ見てる……」
森下くん。
大学生。越してきたばかりの隣人。
初めて挨拶に来たときから、私は彼の視線に気づいていた。
それは同年代の男にはない、どこか湿ったような、飢えたような、奥深くまで探るような視線。
私の胸元で止まり、脚の付け根でゆっくり揺れ、喉の奥まで届くような……そんな眼差し。
私は“見せる”女だった。
高校の頃から、ふとした視線に疼くようになった。
スカートの裾、胸元の影、濡れた下着――それを見られたときの、あの脳が震えるような感覚。
羞恥と快感が入り混じる、背徳の蜜。
結婚してからも、その性癖は消えなかった。
けれど夫の前では“良き妻”を演じ続けた。
家事をこなし、愛を育むふりをして、けれど、誰かの視線に飢えていた。
そして今夜、その飢えは満たされる。
「こんばんは、遅くにすみません」
ピンポンも鳴らさず、ベランダ越しに森下くんが声をかけた。
私は驚いたふりをしながら、ゆっくりとカーテンを開けた。
「ちょっとだけ……お茶でも、飲んでいく?」
あまりに自然な誘いだったのに、心臓が痛いほど高鳴っていた。
リビングに彼を通し、私は台所でコップを満たすふりをした。
胸元の緩んだワンピース。下着の肩紐を、わざと直さずに。
「今日の奥さん……すごく綺麗です」
振り返ると、彼は座ったまま、私をまっすぐ見ていた。
その視線が、肌の上をなぞる。胸を、腰を、太ももを、そして内腿の奥を。
まるで布一枚でかろうじて隠している“そこ”まで、全部見透かされているようで、私は膝がふるえた。
ソファの前に座る。
距離が縮まった瞬間、森下くんの手が、私の肩に触れた。
その熱が、皮膚を溶かすようにしみ込んでくる。
「……私、人妻だよ?」
そう呟いた唇が震える。
けれどその震えは、拒絶ではなかった。
「見られたいんですよね、奥さん」
その言葉に、背筋がぞくりと震えた。
私のすべてを見抜かれたような気がして、脚の奥が、濡れていくのがわかった。
ブラウスのボタンが、一つずつほどかれる。
森下くんの指先が、その都度、指でなぞるように触れていく。
胸が、ゆっくりとさらされていく。
レース越しの乳房のふくらみ。うっすらと浮き上がる乳首。
その先端を、彼の唇がすくいあげる。
「ん……っ」
思わず漏れる吐息。
声が出た瞬間、羞恥が走る。
けれどその羞恥こそが、快楽の呼び水だった。
スカートの裾がめくられ、腿が開かれる。
湿った下着に、指が触れた。
「もう……濡れてますね」
その声があまりに冷静で、私はかえって熱を帯びた。
下着越しに、じわじわと指が押し当てられ、布の上から愛撫される。
そのたびに、快感の波が広がり、脚が勝手に開いていく。
そして――
「脱がせて、いいですか?」
かすれた声でうなずくと、彼はゆっくりと、私のパンティをずらした。
湿りきった蕾が空気に触れた瞬間、身体が震えた。
「……全部、見て……」
そう囁いた自分の声に、私は驚いた。
でももう止まらなかった。
彼の指が、濡れた花びらを撫でる。
敏感な突起を、そっと摘みあげる。
背筋が跳ね、頭が真っ白になる。
そして、ゆっくりと彼が中へ指を滑らせた。
そこに、もう誰も入っていなかったみたいに、
私の中は、彼を迎え入れた。
腰が揺れ、乳房が震え、息が乱れる。
森下くんは静かに、だけど深く、私を貫いていく。
「奥さん……中が、すごく……吸い付いてくる……」
「そんなこと……言わないで……」
けれどその言葉に、身体が強く反応する。
罪悪感が、快楽を何倍にも膨らませる。
そして――。
「いく……いっちゃう……っ、やだ、見てる、のに……っ」
彼の体が重なり、深く沈んだ瞬間。
私は大きく震え、声を押し殺しながら、はじけるように達した。
目を開けると、天井の灯りがにじんでいた。
彼の手が、私の髪を優しくなでていた。
静かな夜。
乱れた服。ぬれた太もも。
そして胸の奥に残るのは、後悔ではなく――静かな満足感だった。
もう戻れないと知っていても、
私は、この夜を、何度でも思い出すだろう。
「私の蕾は、“見られること”で咲く。あの視線だけが、それを知っている――」



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