禁断の純愛──25歳の教師と43歳の主婦、誰にも言えない秘密の逢瀬 その2

家庭訪問

それから数週間が過ぎ、春の陽射しが柔らかさを増すころ、家庭訪問の日がやってきた。

玄関のベルが鳴る。

「先生が…来る…！」

夫は出張でいない。息子はまだ家にいたが、塾へ行く時間が近づいていた。

玄関の扉を開けると、そこにはシンが立っていた。

「こんばんは、カナさん…。」

スーツの上着を脱いだ彼の姿は、学校で見るものとは違っていて、大人びて見えた。

「どうぞ…！」

彼がリビングに足を踏み入れた瞬間、静寂が訪れる。

「先生、お茶どうぞ…！」

息子が気を利かせて台所からお茶を持ってきた。彼はシンに対して、まだ少し緊張しているようだった。

「ありがとう。○○くん、塾頑張ってね。」

「はい！」

息子は時計を確認すると、カバンを肩にかけ、玄関へ向かった。

「じゃあ、行ってくる！」

「気をつけてね…！」

扉が閉まり、家の中が静けさを取り戻す。

シンと二人きりになった瞬間、空気が変わった。

テーブルを挟んで向かい合うも、まともに目を合わせられない。

「…緊張してる？」

「そんなわけ…ないでしょ…！」

彼が笑う。少しだけ、意地悪な表情。

静かな部屋に、時計の秒針だけが響く。

「カナさん…本当は、今日が来るのを待ってた。」

私の心臓が、大きく鳴る。

窓の外では風がそよぎ、薄紅色の花びらが舞っていた。

何かが、始まる予感。

…それとも、もう始まっていたのかもしれない。

「先生として…じゃなくて？」

「……うん。」

シンの瞳が揺れる。私を見つめるその眼差しには、迷いと確信が入り混じっていた。

「ダメよ…こんなこと…！」

呟いた言葉とは裏腹に、私は彼の視線から逃れられなかった。

「カナさん…。」

彼の手が伸びる。私は、ためらうことなくその手を取っていた。

ほんの指先が触れるだけで、胸の奥が痛いほど震える。

「…どうしよう、私…シンを求めてしまう…！」

自分の心の声が、脳裏で響く。

禁じられた情熱

それは、ほんの一瞬だった。

彼の腕が私を抱き寄せる。

「シン…！」

戸惑いと、抗いきれない衝動が入り混じる。

彼の温もりを感じた瞬間、すべてが崩れた。

「もう…ダメ…！」

息を呑む間もなく、彼の唇が重なる。

最初は慎ましやかに。だが、次第に熱を帯びていく。

「こんなに…求めていたなんて…！」

私の囁きに、彼の手がそっと私の頬を包む。

静寂の中、ふたりの息遣いが絡み合う。

彼の手が私の肩を滑り、そっと背中に回る。その動きに誘われるように、私は彼の膝の上へと移動した。

彼の鼓動が直に伝わってくる。

「カナさん…。」

囁くような声に、理性がかき消される。

「シン…熱い…！」

重ねた唇の間から、熱を帯びた吐息が漏れる。

彼の指先が背筋をなぞるたびに、肌が震えた。

私は、彼にすべてを預けるようにそっと身を沈める。

「シン…もっと…！」

彼の手が私の腰を支え、互いの距離が完全になくなっていく。

ゆるやかな波に揺れるような感覚。

「ダメ…！こんなの…すごい…！」

時間の概念が消えていく。

世界がふたりだけになったような錯覚。

「シン…！ もっと…！」

彼の指が私の背をなぞるたび、言葉にならない声が漏れる。

「カナ…大好きだ…。」

彼の声が私の奥深くへと降り注ぐ。

どこまでも沈んでいくような錯覚。

まるで、底のない夜に吸い込まれていくような感覚。

「シン…私…壊れちゃう…！」

この瞬間だけは、何もかも忘れていたかった。

彼の腕の中で、私はただ、揺られ続けた。