走り続けた6年間。最強のえちカワAV美少女 枢木あおい HISTORY BEST 16時間
【第1部】終電を逃した女子大生がハロウィンの新橋で出会ったスーツたち──寂しさとスリルが混ざる夜
私の名前は美咲、二十歳の女子大生。
実家は神奈川で、普段はそこから都内の大学に通っている。
ハロウィンの金曜日。
友だちと渋谷で浮かれた人波に紛れて騒いでいるうちに、終電を逃した。
こんなこと、何度かやっている。そんなとき私は、銀座のラウンジで働いている姉の部屋に泊めてもらうことにしている。
「今日はアフター長くなりそうだから、二、三時間どこかで時間潰してて」
そうLINEが来たのが、山手線で新橋に向かう途中だった。
新橋駅前は、酔ったサラリーマンと仮装の名残が入り混じった、妙に熱っぽい空気に満ちていた。
夜風は冷たいのに、ビルの光と人いきれで、肌の内側だけがじわじわ熱い。
「お腹すいたな……マックで時間潰そ」
そう思って歩き出したときだった。
「ねえ、そこの子。ひとり?」
振り向くと、ネクタイを少し緩めたスーツ姿の男がいた。二十代後半くらいだろうか。
柔らかそうな目元と、酔いで赤くなった頬。手にはコンビニのビニール袋。
「終電、逃した感じ?」
「……まあ、そんなところです」
軽く笑ってごまかすと、彼はさらに一歩近づいてきた。
「これから同僚と軽くカラオケ行くんだけどさ、よかったら一緒に来ない?
ご飯も飲みも出すから、時間潰しにはちょうどいいと思うよ」
知らない男についていく──
頭のどこかで警戒する声が鳴る。
でも、お腹はすいているし、二、三時間をマックだけで潰すのは正直だるい。
何より、ハロウィンの夜、新橋駅前でひとりきりでいる自分が、急に「置いていかれた子ども」みたいに感じられてしまった。
「……ちょっとだけなら、いいです」
自分でも驚くくらい落ち着いた声で、そう答えていた。
案内された雑居ビルのエレベーターは、酒と香水の匂いが少し混ざっていた。
小さな箱の中で、男は名刺を差し出してきた。
「オレ、佐伯。広告代理店で営業やってる」
「私は、美咲。大学一年で……今日はたまたま帰れなくなっちゃって」
軽く名乗りながら、自分の声がわずかに浮ついているのが分かる。
鏡に映った私は、ハロウィン仕様の少し派手なメイクに、いつもより短い黒のミニスカート。
その隣に、少し酔ったスーツ姿の男。
扉が開くたび、世界がすこしだけ現実からずれていくような気がした。
【第2部】カラオケボックスの密室で揺らぐ「時間潰し」──スーツ三人と私の身体が近づいていく瞬間
通された部屋には、すでにスーツ姿の男が二人いた。
一人はメガネで落ち着いた雰囲気、もう一人は声の大きいムードメーカータイプ。
佐伯が軽く紹介すると、二人とも「美咲ちゃん、よろしく」と、人懐っこい笑顔を向けてきた。
テーブルには、すでにピザとポテト、唐揚げ、それからビールとハイボールが並んでいる。
「好きなの頼んでいいからね」と言われて、私はレモンサワーと小さめのハンバーグプレートを選んだ。
最初の一時間は、ただ単に「よくある飲み会」だった。
仕事の愚痴、上司の話、学生時代のバカ話。
私は大学の話や、サークルの先輩のちょっとした恋バナなんかをして、彼らは「いいね、青春」と笑った。
でも、グラスの数が増えるにつれて、空気は少しずつ変わっていく。
音楽の音量は大きくなり、笑い声は弾み、
テーブルの上には氷が溶けかけたグラスと、食べかけのポテトが散らばっている。
「美咲ちゃんさ、その服、似合ってるよね」
佐伯が、そう言って私の隣に腰をずらしてきた。
「ハロウィンだし、ちょっと張り切りすぎちゃいました」
そう言って笑うと、自分でも分かるくらい頬が熱かった。
「張り切りすぎじゃなくて、ちょうどいいよ。
駅前で見たとき、正直ちょっとドキッとしたから」
軽い言葉のはずなのに、
耳の内側を指でなぞられたみたいに、ざわっとする。
やがて、メガネの彼がバラードを歌いながら、私の向かい側でグラスを揺らしていると、
佐伯の肩が、ふっと私の肩に重なった。
「あ、ごめん、ちょっと酔ったかも」
そう言いながら、彼の太ももと私の太ももが触れ合う。
「大丈夫ですか?」
そう聞き返した私の声は、さっきよりもずっと小さかった。
佐伯の手が、背もたれ越しに私の肩を軽く抱く。
そのまま、指先が二の腕をすべるように下りてきて、肘のあたりで止まった。
「迷惑だったら言ってね」
耳元で囁かれた声が、マイクよりも近い。
迷惑。
そう言えば、きっと彼は笑って距離を戻すだろう。
でも、私はその言葉を喉の手前で止めたまま、曖昧に笑っただけだった。
「なんかさ、ハロウィンの夜に、新橋で一人で時間潰してる女子大生ってさ」
「はい……?」
「危なっかしくて、ちょっと放っておけないっていうか」
そう言いながら、彼の指先が、私のニットの裾に軽く触れる。
一瞬、背筋に電気が走るような感覚が広がった。
「……そんなに危なっかしいですか?」
冗談めかして返しながら、心臓の鼓動が早くなっていくのを止められない。
「だって、こうして知らない男たちと部屋で飲んでるじゃん?」
「知らないってほどじゃ……ない、ですよ」
言いながら、自分でも苦しい言い訳だと思った。
反対側に座っていたムードメーカーの彼が、
「おーい、こっちでも飲んでー」と言って、私のグラスに酒を注ぐ。
そのとき、ふと気づくと、
部屋の中の空気が、少しだけ濃くなっていた。
笑い声の間の沈黙が、さっきより長い。
視線が重なる時間も、何気ない冗談に混ざる「意味ありげなひと言」も。
佐伯の指先が、今度は私の手の甲に触れる。
冷たいはずのグラスが、指の間でやけに熱く感じた。
「美咲ちゃんさ」
「……なんですか」
「このまま、もう少しだけ危ないこと、してみる?」
その言葉に、心臓が跳ねた。
やめる理由はいくらでもあるのに、
「やめます」と即答できない自分がいる。
酔いと、ハロウィンと、新橋の夜と、
目の前のスーツたち──
全部が混ざって、現実と夢の境目が曖昧になっていく。
私はグラスをテーブルに置き、
ほんの少しだけ身体を彼のほうへ預けた。
それが、境界線をまたぐサインになることを、
うすうす分かっていながら。
【第3部】ハロウィンの夜が残していった熱とざわめき──「またあんなふうに奪われたい」と思ってしまう心
その先のことを、私は細部まで語るつもりはない。
たしかに、あの夜、
私は自分の意思で境界線をまたいだ。
佐伯の手が、ゆっくりと私の体を探るように滑っていったとき、
最初に走ったのは恐怖ではなく、
「ここまで来て引き返せない」という諦めにも似た高鳴りだった。
メガネの彼も、ムードメーカーの彼も、
途中から静かに、しかしはっきりと、私と距離を詰めてきた。
冗談めかしたセリフの奥に、本気の熱が混ざる。
笑い声のすぐ後ろに、呼吸と体温だけの世界が立ち上がる。
指先が肌に触れるたび、
布の上からなぞられるだけのはずなのに、
私は自分の身体が、信じられないくらい素直に反応していくのを感じていた。
「ねえ、美咲。いやだったら、ちゃんと言うんだよ」
「……言ったら、止めてくれますか」
「止めるよ。その代わり──言わなかったら、続けちゃうけど」
卑怯なくらい優しいその言い方に、
私はどちらの答えも選べなくなった。
「……今は、言えないです」
そう囁いた自分の声が、
いちばん正直で、いちばん残酷だったのかもしれない。
そのあと、部屋の空気は、
音楽よりも、言葉よりも、
肌と肌の近さだけで満たされていった。
何度か、
「ここから先はだめだ」と心がブレーキを踏もうとした瞬間があった。
けれどそのたびに、別の声が囁く。
──どうせ今夜だけ。
──どうせ誰も知らない。
──どうせ私だって、ずっとこういう危うさを求めていた。
気づけば、私は自分からも彼らに触れていた。
震える指で、シャツのボタン越しに熱を確かめながら。
その夜のすべてを言葉にしてしまえば、
きっとただの淫らな武勇伝か、下品な武装になるだろう。
私がいまでも忘れられないのは、
具体的な行為のひとつひとつではなくて──
・三人分の視線が、同時に私ひとりを見つめていたこと
・少し乱れた呼吸の中で、名前を呼ばれた瞬間の背筋のぞくぞく
・「やめて」と「もっと」のあいだで揺れ続ける、あのどうしようもない矛盾
ホテルを出たとき、空は少し白みかけていた。
メイクは落ちかけ、髪は乱れ、
首筋に残った熱だけが、まだ現実感を拒んでいた。
新橋駅前を歩きながら、
私はふと、自分の足音がいつもより軽いことに気づいた。
罪悪感と、興奮と、
どうしようもない自己嫌悪と、
それでも「もう一度ああいう夜に迷い込みたい」と思ってしまう自分。
「私、たぶんちょっと壊れてるんだろうな」
そうつぶやいた声は、早朝の街に吸い込まれていった。
まとめ:ハロウィンの新橋で知った「奪われたい自分」という欲望と、その後ろめたい甘さ
この体験を誰かに話すたびに、
私は少しずつ、違うラベルを貼り替えてきた。
「若気の至り」
「危ない遊び」
「忘れたい過ち」
どの言葉も嘘ではないけれど、どれも本当のところを言い当ててはいない。
あの夜、新橋の小さなカラオケボックスで、
私が本当に知ってしまったのは──
「自分の境界線を、あえて曖昧にしてしまう快楽」
だったのだと思う。
完全に奪われてしまうのではなく、
完全に支配するわけでもなく、
「されるままになっていく自分」を、どこかで冷静に眺めている感覚。
恐怖と興奮が混ざり合う、そのぎりぎりの場所に、
私の身体は、たしかな甘さを覚えてしまった。
もちろん、現実には危険も大きい。
誰にでも勧められるようなことではないし、
もう二度と同じことはしないほうがいいのだと、頭では分かっている。
それでも、ときどき思う。
ハロウィンの仮装みたいに、
普段の自分では決してまとえない「危うい自分」を、
一晩だけ許してしまう夜があることを。
あの新橋の夜は、
私の中に「奪われたい」という名の欲望の入口を、
静かに、しかし確実に開いてしまった。
そして、その扉の存在を知ってしまった以上、
私の人生は、もう完全には元通りには戻らないのだろう──
そんな予感だけが、今も時々、胸の奥でひそやかに疼いている。




コメント