第一章:彼の眼差しは、私を値踏みしていた
麻布十番の高台に建つ、ガラス張りのレジデンス。
都心の喧騒が嘘のように遠く、窓の向こうには東京タワーが濡れた赤で滲んでいた。
38歳、専業主婦。
編集者として働いていた20代の頃とは違い、今の私は誰かの“妻”としての肩書きでこの街を歩いている。
夫は外資系金融に勤めていて、最近は仕事の疲れか、ベッドでも私に触れることがなくなっていた。
—それでも私は、自分が「終わった女」だとは思いたくなかった。
肌の手入れ、香りの選び方、膝上丈のタイトスカート。
鏡の中の私にはまだ、誰かの欲望を呼び覚ますだけの“価値”があると、信じたかった。
そんなときだった。
「紹介したい人がいるんだ。今後、うちの資金調達で力になってくれる人でね」
夫の言葉に連れられて訪れたのは、六本木の会員制ラウンジ。
重厚なドアが開いた瞬間、香水と葉巻、そして皮のソファが混じったような“男の匂い”が私の鼻をくすぐった。
奥のソファ席に、彼はいた。
スーツの胸元に無造作に開けた第一ボタン。
精悍な顔立ちに刻まれた薄い皺。
強いまなざしを湛えた瞳が、まっすぐにこちらを捉えたその瞬間、私の背中に冷たい電流が走った。
「君が、〇〇くんの奥さん?」
声は静かだった。けれど、どこか底が見えなかった。
その男――佐伯は、夫の10歳上。
不動産、クラブ経営、海外投資…あらゆる“金の動脈”を握っていると言われる男だった。
隣に座っただけで空気が変わる。彼のまとう“支配”の気配が、肌をじわじわと侵食してくる。
彼の視線が、私の頬、鎖骨、胸元、そして脚のラインを順に辿っていくのを感じた。
まるで、値札を探すように。
その眼差しに、私はぞくりと震えた。
不快なはずなのに、どこかで快感に似たものが胸の奥で灯りはじめていた。
目をそらせない。睫毛を動かすのも惜しいほど、その視線は淫靡で、まるで静かな指先のように私をなぞっていた。
「いい女だ。正直、彼にはもったいないくらいだな」
冗談めいた言葉。けれどその奥に、冷ややかな“選別”のような意志が見えた。
私は笑ってごまかそうとしたけれど、喉が乾いて言葉が出なかった。
その瞬間、テーブル越しに置かれた彼の手が、私のグラスの底にそっと指を添えた。
「飲みすぎないように。酔うと……記憶が飛ぶ女も、たまにいるからね」
低い声が、耳の奥をくすぐるように囁いた。
ふと、私の太腿の奥で熱がじわりと広がっていた。
こんな場所で、夫の目の前で、なぜ私の身体は彼の一挙手一投足に反応してしまうのだろう。
この夜が、人生の均衡を狂わせる始まりだということを、
私はまだ知らなかった——。
第二章:濡れた矜持、支配という名の指先
その夜から数日後。
佐伯から、夫の携帯に一本の連絡が入った。
「ちょっと君だけで行ってきてくれないか。相手も、女の方が話しやすいかもしれないから」
夫に頼まれた形で、私はまた佐伯に会うことになった。
今度は、彼のプライベートオフィス。六本木ヒルズの高層階にあるその部屋は、無機質なほどに静かで、ガラス越しの夜景さえも音を失っていた。
黒の革張りのソファ。低く流れるジャズ。
そして、佐伯の気配だけが、部屋の温度を少しずつ変えていく。
「来てくれて、ありがとう」
彼はそう言って、グラスに氷を落とす。
その音が、まるで鍵を外すように私の中に響いた。
「奥さんさ……自分がどれだけ“高価な存在”か、わかってる?」
私は答えられなかった。
けれど、その瞬間。彼の視線が、まるで熱を持った刃のように私を斬った。
そして、ゆっくりと立ち上がると、私のすぐ横に腰を下ろした。
香りが近い。
重厚なウイスキーと、僅かにスパイスの効いた香水。
それが混ざり合って、鼻腔の奥をじわじわと侵してくる。
「これはビジネスだよ。でも……」
私の顎に、彼の指がそっと触れた。
決して力を込めず、けれど逃げ場を奪うように、優しく、そして支配的に。
「……身体の感度は、ビジネスじゃ隠せない」
その指が、頬から首筋へ、そして鎖骨へ。
一枚仕立てのブラウス越しに伝わるその温度は、熱よりもむしろ“冷たい”と感じた。
だからこそ、私は怖かった。自分の内側が、すでにそれに慣れ始めていることが。
「やめて」
そう口にする前に、彼の唇が私の耳元にふれた。
「もし本当にやめてほしいなら……その足、閉じてごらん」
……気づくと、私は足を開いて座っていた。
膝から滑り落ちるように、スカートの裾が太腿の付け根を露わにする。
下着の布地が張りついているのを、自分で感じた。
こんなに濡れていたなんて、知らなかった。
彼の指が、スカートの奥へとすっと伸びる。
ひと撫でするだけで、私の腰はびくりと跳ねた。
「やっぱり……乾いてなんかいない」
囁きと同時に、私の中で何かが“破れる”音がした。
そのままソファに押し倒され、膝を開かされながら、佐伯の身体が私の上に覆いかぶさってくる。
唇が乳房の輪郭をなぞり、指が、時間をかけてゆっくりと下腹部へと降りていく。
呼吸が熱を帯び、喉の奥から洩れる声を自分で止められない。
「君、ほんとはこういうの……望んでたんじゃないの?」
言葉の一つ一つが、快楽と罪悪感の針になって私を突き刺した。
けれどその針の先は、確実に私の“悦び”の中枢を突いてくる。
そのときだった。
彼が、私の中に自らを押し入れた。
一瞬、身体が裂けるかと思うほどの強さ。
けれど、痛みの直後に広がったのは、深い、深い、満たされるような“溺れ”だった。
彼の動きに合わせて、私の身体が勝手に絡みついていく。
乱れたブラウス、ずり落ちた下着。
肌と肌が、音を立てて交わっていく。
快楽が、一線を越えた。
もう、後戻りなんてできない。
私は、妻という鎧の下に隠していた“本性”を曝け出しながら、彼の支配に身を預けていった。
喘ぎ、泣き、震えながら。
でも、どこかで笑っていた。
その男の腕の中で、私は確かに“女”だった。
第三章:堕ちた夜明け、赦しのような快楽
——奥まで、届いている。
そう直感でわかるほど、佐伯の存在は私の内側を圧倒していた。
まるで、私という器の深さを測るように。
何度も、何度も。
鋼のように硬く、火のように熱いその肉体は、容赦なく私の奥へと突き上げてくる。
最初は苦しかった。
でも、次第にその痛みすら、官能のスパイスになっていった。
「こんな顔……旦那には見せてないだろ?」
佐伯が囁きながら、腰の動きをさらに深く、強くしてくる。
耳元で低く笑う声が、私の背骨を駆け上がる。
—悔しい。
だけど、私の身体は確かに悦んでいる。
拒みたいのに、奥から締めつけてしまう。
ぐちゃぐちゃに濡れた音が、部屋に響く。
空調の音すらかき消すほど、淫靡で、抗えない快感のリズム。
私は両膝を抱え込まれ、奥まで、何度も貫かれていた。
逃げられない。
いや、逃げたくない。
今だけは、すべてを忘れて、女として溶けてしまいたい。
佐伯の舌が、私の首筋をなぞりながら、乳首を指で転がす。
小さく震えた吐息が、私の耳元を濡らした。
「奥さん……イきそうだな」
その言葉だけで、呼吸が跳ねた。
恥も、倫理も、記憶も、全部剥がれ落ちていく。
腰を押し上げられ、首を反らせた瞬間、
身体の内側がぷつんと弾けて、熱い波が何度も押し寄せてきた。
何度も、何度も——。
「やっ……ぁ、ああ……だめ……っ」
でももう、止まらない。
快感は波紋のように全身を這いまわり、意識の縁を白く溶かしていく。
彼の熱が中に注がれたとき、私は身体の芯から震えていた。
それは、生まれて初めて知る、獣のような悦びだった。
息を切らせながら、彼の腕の中で項垂れた私に、
佐伯は言った。
「いい女だよ。手放すには、惜しい」
その言葉は、まるで「また会おう」という“契約”のサインだった。
朝。
私はまだ、ホテルのベッドにいた。
シーツは濡れて、くしゃくしゃになっていた。
太腿の間には、まだ昨夜の熱の名残がかすかに残っている。
鏡の中の私は、いつもより少しだけ艶やかで、
そしてどこか哀しげに笑っていた。
夫には言わない。言えない。
でも——私は、自分が誰かに“買われた女”であることより、
“忘れられていた女”であることの方が、ずっと辛かったのだと気づいてしまった。
カーテン越しに差し込む朝日が、私の裸をゆっくりと撫でていく。
赦しのような温もり。
けれど、その影には消えない罪の影がついてまわる。
「また、来てしまうんだろうな」
呟いた声は、どこか微笑んでいた。
快楽という通貨で、私は自分の価値を確かめ続けていた。
それはきっと、愚かで、哀しくて、でも——
とびきり官能的な、生きている実感だった。
すでに感じてしまったなら…次は“本物”を。
ギャンブルにハマって
闇金に手を出して
こんなことになるなんて…
快感だった…
カジノで大金が手に入って
気が大きくなって、豪遊して、
なつにも高級バッグとかプレゼントして
完全に浮かれていたんだ



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