押しに弱過ぎる新人看護師は超献身的!無茶振りのセクハラ中出し&串刺しSEX…何でもOKの聖母のようなご奉仕ナース♪ 黒島玲衣
患者に寄り添う優しさが、いつしか「癒し」と「従属」の境界を揺らしていく──。
黒島玲衣が演じるのは、聖母のように穏やかで、それでいて危うい美しさを秘めた女性。
静寂の中で交わされる視線、触れられない温度、溶けていく孤独。
ひとりの看護師が“優しさ”を武器にも罠にも変えていく姿を描く、
心を震わせる官能ヒューマンドラマ。
【第1部】静寂の病棟で揺らぐ心──優しさが罠になる夜
私は藤咲紗代(ふじさき・さよ)、27歳。
北陸の小さな地方都市にある県立病院で、まだ三年目の看護師として夜勤に入っていた。
外は雪。窓の外の街灯が、粉のような雪を青白く照らしていた。
深夜二時を過ぎると、ナースステーションの蛍光灯はまるで氷のように冷たく感じられ、
心臓の音すらひときわ響く気がした。
病院の夜は、音が透明になる。
心電図の「ピッ」という電子音、点滴のしずくが落ちる微かな間隔、
それらがまるで祈りのリズムのように私を包み込む。
「看護って、こんなに孤独だったっけ……」
独りごとのように、マスクの下でつぶやいた。
患者たちは眠り、同僚も休憩室で仮眠に入っている。
私はひとり、冷めかけたコーヒーを指先でなぞりながら、
自分の存在が病院の広さの中でどれほど小さいかを思い知っていた。
その夜、担当していたのは神経内科の病棟だった。
脳梗塞の後遺症を抱える高齢者や、リハビリ途中の患者が多い。
中でも**A室の西村さん(62歳)**は、数週間前から入院していた。
物静かで、どこか寂しげな目をしていた。
面会はほとんどなく、手元のラジオだけが彼の世界をつないでいた。
ナースコールが鳴ったのは、午前二時半。
静寂を裂くような電子音に、私はすぐ立ち上がった。
「藤咲です。どうされました?」
「……眠れなくてね」
スピーカーから掠れた声がした。
「少し話をしてくれないか?」
私は迷った。
夜勤中、患者と長話をするのは規則上は望ましくない。
でも、あの声には何か、切実なものが混じっていた。
私はナース服の裾を整え、そっとA室のドアを開けた。
部屋はほの暗く、消灯した中で機械の光だけが淡く点滅していた。
ベッドサイドに近づくと、
西村さんは横を向いたまま天井を見つめていた。
「すみません、眠れないんですね」
「うん……夜が長いんだ。
眠るたびに、昔のことばかり思い出してしまう」
その言葉に、私は頷いた。
人は夜になると、誰でも少し弱くなる。
弱さは、どんな薬よりも深く心を支配する。
「あなたの声、落ち着くね」
唐突にそう言われ、私は一瞬呼吸を止めた。
マスクの中が、急に熱くなる。
「ありがとう。
みんな忙しそうで、話をしてくれる人がいなくてね」
彼の視線が、私の白衣の袖のあたりを静かに追っていた。
悪意は感じない。
ただ、孤独な人間が誰かの温度を求めている、そんな目だった。
私は椅子を少し引き寄せ、
「少しだけですよ」と言いながら、ベッドのそばに腰を下ろした。
その距離、わずか五十センチ。
呼吸の音が混ざり合うほどの近さだった。
沈黙の中、点滴のしずくが落ちる音が、
ふたりの間のリズムになっていく。
外では雪が音を吸い取り、世界は閉ざされたように静かだった。
「あなたは、どうして看護師になったの?」
ふいに問われ、私は少し笑った。
「うーん……人の役に立ちたいって、単純な理由でした」
「優しいね。……でも、優しすぎる人は、傷つきやすい」
その言葉が胸に刺さる。
優しさ。
それは私の誇りであり、同時に弱点でもあった。
「ありがとう」と言われることが、生きている証だった。
でも、誰かに必要とされない夜は、
まるで自分の存在が消えてしまうような不安に襲われた。
そのとき、彼が小さく息を漏らした。
寒いのか、震えているように見えた。
私は無意識のうちにブランケットを直し、
その手をそっと包み込んでいた。
ひんやりとした皮膚の感触が、
まるで自分の中の熱を吸い取るように伝わってくる。
触れた指先から、静かに心拍が重なる。
その一瞬、
“看護”と“癒し”の境界が、かすかに滲んだ。
私は目を伏せた。
この静けさの中で、私が何を求めているのか──
それが、少しずつ分からなくなっていった。
【第2部】触れてはいけない温度──優しさが溶ける瞬間
ナースステーションの時計が、三時を指していた。
雪はまだ降り続いている。
窓の外の街灯が、白い粒をゆっくりと沈めていた。
さっきまでコーヒーの湯気が立っていたカップの中には、
もう氷のような静けさしか残っていない。
胸の奥がひどく重く、
それを確かめるように私はゆっくりと息を吐いた。
A室のドアの前に立つと、
中からかすかな呼吸の音が聞こえた。
寝息にしては深すぎる。
起きているのだと、直感で分かった。
ノックをしてドアを開けると、
ベッドの上の西村さんが、天井を見つめていた。
目が合った瞬間、
彼の視線が一瞬だけ光を宿した。
「眠れませんか」
「……うん。寒くてね」
私はブランケットを肩まで引き上げようとした。
その瞬間、
手の甲が、彼の頬のすぐ近くをかすめた。
わずか数センチ。
けれど、その距離が、
私の心をざらりと震わせた。
「あなたの手、あたたかいね」
その声が静寂を破る。
小さな言葉だった。
けれど、心の奥に残った雪が、
少しずつ溶けていくように感じた。
看護師としての私は、
常に誰かの痛みに触れてきた。
それは職務であり、使命だった。
けれど、今のこの瞬間は──
彼の“痛み”ではなく、“孤独”に触れている気がした。
孤独に触れることは、
ときに危うい。
相手の温度が、自分の温度に溶けてしまうから。
どちらの体温なのか、分からなくなってしまう。
「もう少しだけ、手を……」
彼の声が微かに震えた。
私は言葉を探せなかった。
その代わりに、
ブランケットの端をもう一度整え、
そのまま指先を彼の手に重ねた。
掌の下で、ゆっくりと鼓動が打つ。
私の心臓と、彼の心臓が、
まるで小さな波紋のように交差した。
沈黙の中で、
点滴のしずくが落ちるたびに、
空気が微かに揺れる。
そのリズムが、ふたりの呼吸を同じにしていった。
「……あなたも、眠っていないの?」
「ええ、少し……」
「夜は、考えすぎてしまうね」
彼の声は低く、
眠気と願いのあいだに沈んでいた。
その響きが胸に入り、
私はゆっくりと瞬きをした。
ナース服の袖口から、
ほのかに肌の匂いが立ち上る。
洗剤の香りと消毒液、
そして自分の体温が混ざり合って、
知らない香りをつくっていた。
私は、自分の身体がわずかに熱を帯びているのを感じた。
それは羞恥でも恐れでもなく、
もっと静かな、
“存在を確かめるための熱”だった。
彼の指が、
私の手の甲の上で小さく動いた。
一瞬の偶然だったのかもしれない。
けれど、その感触が皮膚の下に焼きついた。
「ありがとう。……あなたに触れられると、痛みがやわらぐんだ」
その言葉は、
私の胸の奥を鋭く貫いた。
“癒す”とは、いったい何なのだろう。
この手が彼の痛みを癒やしているのか、
それとも、私自身が“誰かに必要とされたい”という渇きに救われているのか。
病院の夜は、孤独を増幅させる。
その孤独が、ふたりの距離を静かに近づけていく。
どちらが先に息を吸ったのか分からないほど、
空気がやわらかく混ざった。
窓の外では、雪が止みかけていた。
白い闇が薄れ、
遠くの街灯が溶けるようににじんでいる。
その淡い光の中で、私は思った。
人を癒すということは、
ときに、自分の境界を失うことなのだと。
彼の視線が再び私に向く。
その瞳には、
痛みも、感謝も、そして名前のない欲も、
すべてが静かに混ざっていた。
私は立ち上がり、
静かに言った。
「もう、休みましょう」
けれど、
その言葉が自分の中でどんな意味を持つのか、
私は分からなかった。
部屋を出る直前、
背中に彼の声が届いた。
「あなたの優しさは、少し危ないね」
その一言が、
夜の奥でゆっくりと響いた。
扉を閉めても、
彼の体温が指先に残っていた。
その温度は、もう看護のそれではなかった。
私はその熱を確かめるように、
手を胸の前で握りしめた。
雪がやんだ朝には、
きっと、何かが変わっている。
そう思いながら、
私は無言のまま、
長い廊下を歩き出した。
【第3部】赦しという名の再生──献身の意味を取り戻す朝
夜が終わりに近づくと、
病棟の空気は少しずつやわらいでいく。
深夜の静寂を吸い込んだ廊下に、
早朝の光がゆっくりと流れ込んでくる。
その光は、青く、薄く、
まるで海の底に沈むような色をしていた。
私はナースステーションの椅子に腰を下ろし、
手のひらをじっと見つめていた。
あのときの温度が、まだそこにある気がした。
患者の皮膚の冷たさ、
それを包んだ自分の掌の温もり。
ふたつの温度が交じり合って、
どちらが自分のものだったのか、
もう分からなかった。
消毒液の匂いが、
静かに漂っている。
それはいつも私を現実に戻す香りだ。
けれど今夜は、その匂いさえ
どこか遠く感じた。
「優しすぎる人は、傷つきやすい」
──あの言葉が、胸の奥で何度も反響していた。
私は優しさを鎧にしてきた。
誰かに必要とされることで、
自分の存在を確かめてきた。
けれど、それは“愛されたい”という渇きと、
ほとんど同じ形をしていた。
夜勤の終わりを告げるチャイムが鳴る。
東の窓から朝日がのぞき、
薄いカーテンを透かして光が流れ込んだ。
私は立ち上がり、
廊下の突き当たりにある大きな窓の前まで歩いた。
雪は止み、
世界は新しい白に包まれていた。
その眩しさに、
思わず目を細める。
すると、瞼の裏に
夜の記憶が淡い残像として浮かんだ。
「あなたの優しさは、少し危ないね」
あの声が、
どこか懐かしい痛みとして響く。
危うさの中にこそ、
人の温もりがあるのかもしれない。
私はゆっくりと息を吐いた。
もう、震えはない。
胸の奥で確かに感じるのは、
“自分の意志”の鼓動だった。
もう一度、
病室の方を振り返る。
西村さんは眠っていた。
その寝顔を見て、
私は初めて、
「癒し」という言葉の本当の意味を理解した気がした。
それは“与えること”ではなく、
“境界を知ること”だった。
どこまでが相手で、どこからが自分なのか。
その線を守ることで、
本当のやさしさは形を持つのだと。
朝の光の中で、
私は両手を合わせた。
冷たい空気が、
新しい一日の始まりを告げている。
「おはようございます」
すれ違う同僚の声に、
自然と微笑みがこぼれた。
夜が終わった。
けれど、心の奥に残る青白い光は、
もう恐ろしくはなかった。
それは、私が自分を取り戻した証のように
静かに灯っていた。
【まとめ】孤独の先に灯る光──献身の再定義
献身とは、
自分を消すことではない。
誰かを支えるために、
自分の存在を確かめ続ける勇気だ。
藤咲紗代は、夜を越えて気づいた。
“癒し”とは、相手のために尽くすことではなく、
自分の弱さを抱きしめることなのだと。
夜勤室に灯る青白い光は、
孤独とやさしさのあいだに揺れる彼女を照らし続ける。
そしてその光こそが、
人を癒やすための最初の灯りなのかもしれない。
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