「女の身体を教えてあげました」──夏の午後、息子の友人が見ていたもの
その午後、私はリビングでアイスティーのグラスを揺らしながら、ゆるく髪をまとめただけの格好でソファにいた。ゆるいワンピース一枚、インナーすらまとっていなかったのは、湿度のせいだと思っていた。
けれど本当は──誰かの視線に、どこかで期待していたのかもしれない。
チャイムが鳴る。ドアの向こうには、息子の大学の友人だという“遥くん”が立っていた。
「あ……こんにちは。〇〇さん、いらっしゃってよかった」
白いTシャツに黒いキャップ、細く日焼けした腕。まだあどけない少年の輪郭を残しながらも、その目だけは、大人の男のような深さを帯びていた。
「ごめんなさい、息子は今日は出かけてるの。伝えるの、忘れてたみたいで」
「いえ……知ってました」
一瞬、空気が揺れた。
私の中の“母親”が止まりかけた鼓動を正そうとするその隙間に、“女”の部分が、ひどく静かに疼き始めていた。
「じゃあ……少し、お邪魔してもいいですか」
私は頷く。グラスの氷がかすかに鳴る。湿った午後の空気のなかで、彼はまっすぐ私の瞳を見ていた。
「こんなに近くで見ると……やっぱり、綺麗ですね」
その言葉が落ちた瞬間、私の身体のどこかがきゅっと収縮する。
息子の友人。十九歳の、まだ女を知らないはずの青年が、真昼間の私を“抱くような目”で見ていた。
「どうしたの、急にそんなこと……」
「ずっと、思ってました。最初にお会いしたときから。なんか……言葉じゃうまく言えないけど、見てるだけで、身体が熱くなるっていうか」
彼の声が震えていたのは、緊張のせいだけじゃない。
その視線の奥に、理性と欲望のせめぎ合いが確かにあった。
私は、笑おうとした。けれど、喉の奥が乾いて、声が出ない。
足先がじんわりと熱くなっていくのが、自分でもわかる。
──これはもう、ただの訪問じゃない。
「遥くん……私、あなたのお母さんみたいなものよ?」
「そんなふうに……見れないです」
その言葉の端に、どこか切実な渇きが混じっていた。
私を“知りたい”という欲の匂いが、部屋の空気ごと、湿らせていく。
私は、なぜドアを開けたのか。
なぜノーブラのまま、素足で迎えたのか。
その答えを、身体の奥の方で理解し始めていた。
私はこの日、この午後の訪問を──
ずっと前から、どこかで望んでいたのかもしれない。
【第二幕】教えるつもりが、抱かれていた
遥くんの指先が、グラスを持つ私の手に触れた。
それだけのはずなのに、火照りが指の背を這い、喉の奥に、熱い空気が絡みつく。
「ねえ……遥くん、どうして本当に来たの?」
「……今日なら、二人きりだと思ったから」
その言葉の意味を、女の身体の方が先に理解していた。
ゆっくりと視線を落とすと、彼の喉がひくりと動き、胸の内を飲み込むように震えている。
私はソファに腰を戻し、彼の隣に、何気ない素振りで座った。
けれどその膝と膝の距離は、呼吸ひとつで埋まるほどに近く──そして、あまりにも甘く、危うい。
「女の人のこと……まだ、知らないのよね」
「……はい。でも、知りたいって思ってました。ずっと、〇〇さんのことで……毎晩、してました」
「……毎晩?」
「はい……思い出して。服とか、声とか……足とか。胸とか……」
最後の言葉が掠れて、恥ずかしそうに俯いたその頬が、どこかいじらしくて。
私は、身体の奥でぬるりと疼く熱に抗えず、彼の手を、自分の膝の上にそっと乗せた。
「じゃあ……触れてみる?」
鼓動が、胸ではなく、下腹部で鳴っていた。
遥くんの手が、恐る恐る私の太ももに滑り込んでくる。
震えるその指が、ワンピースの裾をかすめ、私の柔らかい内腿をなぞる頃には──
私の下着は、もう濡れて、肌に貼りついていた。
「ここ……濡れてる」
彼の囁きに、私はそっと目を伏せた。羞恥ではない。
それは、“抱かれる準備ができている女”としての、肯定。
「あなたが見てるから……ずっと、そうだったのかもしれない」
遥くんが、震える指先で、下着越しにそこを撫でる。
ぴちゃっ──と、湿った音が空間を満たしたとき、私は女としての最後の境界を、静かに越えた。
「もう……教えるんじゃなくて、あなたに抱かれてるみたい」
「じゃあ……抱いても、いいですか」
彼の声は、まだ少年だった。けれど、私の身体は、それを**“男”として受け入れようとしていた**。
ワンピースが脱がされるとき、汗ばんだ素肌に触れる空気がひどく生々しくて、私は恥ずかしさと快楽のあいだで、小さく震えた。
ブラのホックが外れた瞬間、遥くんの瞳が吸い寄せられるように、私の胸を見つめる。
「……綺麗」
その一言が、なによりも私を濡らした。
十九歳の童貞の少年が、女のすべてをこれから知ろうとしている。
私はその“最初の女”になる。
この事実だけで、身体の奥がきゅっと疼き、下腹がきゅんと痺れるように締まった。
──今夜、私は彼の記憶に、一生消えない濡れを刻む。
【第三幕】童貞の奥に、私が残る夜
遥くんの指先が、そっと私の下着を脱がせた。
湿った布が太ももの途中で止まり、彼の指がそれを抜き取るように引いたとき──粘膜が離れる音が、艶やかに空間に滲んだ。
ぴとっ、という柔らかな水音。
それは、十九歳の彼を受け入れる準備が、もうすべて整っているという証。
「入れるの、初めて……です」
「ええ、知ってるわ……ゆっくりでいい。ちゃんと、入れてきて」
私は脚を開き、身体の奥が、彼を迎え入れるようにきゅっと熱を帯びていくのを感じていた。
彼の先端が、私の濡れた入口にそっと触れる。
その瞬間、膣がひとりでに反応するように震え、ぬるんと包み込むように口を開く。
「……あっ……熱い……」
遥くんが、小さく息を吐いた。
その声がひどく愛おしくて、私は腰をそっと引き寄せ、彼の肉が私の中へ、**初めての“貫通”**を果たすのを迎えた。
「は……ぁ、〇〇さんの中……やばい、気持ちよすぎて……」
ずぷっ、という音が、小さく、生々しく鳴った。
奥へ、奥へと進んでくる彼の硬さに、私は息を詰めた。
喉の奥から、くぐもった声が漏れ出す。
少女でもなく、母でもなく──女としての私が、確かに抱かれている。
「すごい……締め付けてくる……なんか、吸い込まれるみたいで……」
「それは、あなたのが……ちゃんと、届いてるからよ……」
彼がゆっくりと腰を引く。
そして、またゆっくりと、沈むように奥へ。
その繰り返しが始まったとき、身体はすでに理性を捨て、ただ快楽と、官能と、余韻のためだけに震え始めていた。
私は両腕で彼の背を抱きしめ、耳元でそっと囁いた。
「遥くん……覚えてて。これが女の身体……あなたが初めて入った場所」
「絶対に……忘れない。俺、もう……やばいかも」
「いいのよ、全部出して……私の中に、ぜんぶ……」
その言葉が合図になったかのように、彼の動きが急に強く、荒々しくなる。
ずぷ、ずぷっ、じゅぷっ……
濡れた音が、肉と肉のあいだで響く。
私の奥が何度も締まり、彼の熱をきゅうっと咥え込む。
「〇〇さんっ、もう、イきそう、イきそうで……!」
「いいの……私のなかに……初めて、捧げて……」
数秒後、彼が果てる。
熱くて濃いものが、子宮の奥にとぷりと注がれた感覚。
その一滴一滴が、女としての自分を深く濡らしてゆく。
「あぁ……」
私は小さく喘ぎ、彼の背中を撫でた。
その指先には、まだ濡れたままの自分の残滓がまとわりついている。
遥くんは私の胸元で、目を閉じたまま息を整えている。
腕のなかの彼は、童貞を捧げた“少年”ではなく、
私という“女”を知ってしまった、もう戻れない“男”の匂いをしていた。
「今日のこと、ほんとに……一生忘れません」
「ううん、違うの。今日からよ……これから、あなたの中に私は、残り続けるの」
私は頬にキスを落としながら囁いた。
それは、母ではなく、愛人でもない、ただ“女”として刻む、記憶の呪い。
今夜、私は誰よりも深く──
十九歳の少年の中に、“女”として沈んだ。




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