47歳人妻、札幌の雪景色の中で若い男性と一夜の…

2月の札幌は、雪がすべての音を包み込み、街全体を静寂に染めていた。私、由美。47歳の人妻。夫と二人の息子を東京に残し、親友の麻美と二人旅に出た。息子たちは20歳と16歳。もう手がかからなくなった彼らと、理解ある夫のおかげで叶ったこの旅は、久しぶりの自由を感じさせてくれるものだった。

すすきのでの出会い

その夜、麻美の提案で訪れたすすきのの居酒屋は、地元の人々で賑わっていた。木目調の内装に、どこか懐かしさを感じる温かな空間。お店自慢のジンギスカンと地酒に、私たちは自然と笑顔になった。

「由美、これ飲んでみて。北海道の地酒は格別よ!」
麻美が楽しそうにグラスを差し出す。澄んだ日本酒を口に含むと、冷たい雪解け水のような清涼感が広がり、心までじんわりと温かくなった。

そんな時、ふと隣のテーブルから声をかけられた。
「東京からですか?」

振り向くと、若い男性がこちらを見ていた。真っ直ぐな瞳と優しい笑顔。その隣には、同年代らしいもう一人の男性がいた。どちらも20代前半。まだ学生だろうか。

「はい、観光で来ました。」
麻美が答えると、彼らは目を輝かせながら「どこを回る予定ですか?」と質問してきた。

私たちが明日の予定を話すと、彼らは地元のおすすめスポットをたくさん教えてくれた。大通公園の雪まつり会場、藻岩山からの夜景、白い恋人パークでのチョコレート体験。どれも魅力的な提案ばかりだった。

そのうちの一人、誠と名乗る青年が私に話しかけてきた。
「由美さん、雪まつりはぜひ楽しんでください。でも、夜の藻岩山も絶対に外せませんよ。雪の夜景は息を呑むほど美しいですから。」

その目の中に、純粋な優しさが見えた。その穏やかな声に誘われるように、私は自然と彼と話し込んでいた。

夜の散歩

居酒屋を出ると、雪は舞い降りるように静かに降り続いていた。麻美は彼の友人と意気投合し、次の店へ向かうことに。私は自然と誠と二人きりになった。

「少し歩きませんか?」
彼が提案した散歩。夜風は冷たかったが、それが心地よく感じられるほど、私は穏やかな気持ちになっていた。

時計台の前で立ち止まり、ライトアップされたその姿を眺めながら誠が言った。
「由美さん、こんな風に歩けるなんて、本当に嬉しいです。」

「そうね……こうして雪の中を歩くのは特別な気がするわ。」
彼の横顔を見つめると、まるで時間が止まったように感じた。

ホテルの灯り

ホテルの前に着いた時、誠が小さく息を吐いた。白い息が冷たい空気に溶け、ゆっくりと消えていく。彼は一瞬ためらうように目を伏せ、それから私を見つめた。

「由美さん、もし迷惑でなければ……少しだけお話を続けませんか?」

その声には迷いと決意が入り混じっていた。彼の瞳は雪に反射した街灯の光を受け、どこか揺れているように見えた。

私は一瞬迷ったが、不思議とその誘いを拒む理由が見つからなかった。そして、気づけば口を開いていた。
「ねぇ……もう少しだけ飲みましょう。せっかくの夜だし。」

その提案に、彼の表情がふわりとほころぶ。静かなロビーを通り、エレベーターに乗り込むと、外の冷気とは対照的な温かさが二人を包んだ。狭い空間の中で彼の存在を感じるたび、胸がざわつく。

部屋に入り、私はカーテンを開けた。窓の向こうには、雪をまとった札幌の夜景が広がっていた。街灯りが白い雪に反射し、まるで宝石のように輝いている。

「本当に綺麗ね……雪ってこんなに幻想的なのね。」
私がそう言うと、誠は窓越しにその光景を見つめ、小さく頷いた。

「こんな美しい景色を由美さんと一緒に見られるなんて……信じられません。」
その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなった。

「じゃあ、乾杯しましょう。今日の素敵な夜に。」
私はミニバーからワインを取り出し、グラスを二つ用意した。赤い液体がグラスの中でゆっくりと揺れる。その音が静かな部屋に心地よく響いた。

ワインの赤い液体がグラスの中で静かに揺れ、その深い色がテーブルランプの灯りを受けて艶やかに輝いている。私はその一口を口に含み、ゆっくりと喉を通していく。その冷たさと甘やかな余韻が、緊張していた心を静かにほどいていった。

ソファに腰を下ろした私は、窓の外に広がる札幌の雪景色に目をやる。街灯りが降り積もる雪を照らし、世界を柔らかな白で包み込んでいる。その光景はどこか夢の中にいるようで、現実感を少しずつ薄れさせていた。

「由美さん……」
隣に座る誠の声が低く、しかし確かな響きを帯びていた。私は彼に目を向けた。彼は少し視線を外し、照れたように笑みを浮かべていた。その仕草には不思議と心を揺さぶる純粋さがあった。

「今日の夜、きっと忘れられない思い出になります。」
彼が言葉を紡ぐたびに、その響きが部屋の静寂を満たしていく。

「私もよ。こうして誰かと特別な時間を過ごせるなんて、本当に久しぶりだわ。」
そう答えながら、私はそっと笑みを返した。その瞬間、彼の手がそっと私の手に触れた。

その触れた感覚は、驚くほど温かかった。外の雪の冷たさを完全に忘れさせるような、その温もりが指先から心の奥へと静かに広がっていく。

「由美さん……」
彼が低く名前を呼び、私の瞳を静かに見つめる。その瞳の奥に宿る感情は、純粋でありながらどこか情熱的だった。

彼の手が髪に触れた。その動きは慎重で、まるで壊れやすいガラス細工に触れるかのような優しさがあった。その指先が髪から肩へと滑るたびに、微細な震えが肌に伝わり、胸の奥を揺らした。

「……こんな風に触れても、いいですか?」
彼の声は囁きに近く、それでいてどこか迷いのない響きがあった。私は静かに頷いた。その一瞬、彼の目がほんのわずかに柔らかさを帯びた。

誠が顔を近づける。その動作は緩やかで、空気を切り裂く音すら立てないほど静かだった。唇が触れ合った瞬間、全ての音が消えたように感じた。彼の吐息が微かに頬を撫で、唇の柔らかな感触が静かに心を満たしていく。

時が止まったかのようだった。部屋の中は、ただ二人の存在だけが空間を支配していた。彼の唇がそっと離れ、次の瞬間には再び重なった。その繰り返しの中に、彼の感情が伝わってくる。優しさ、熱情、そして不安。それらが全て一つになり、私の胸の中で静かに波紋を描いていった。

指先が再び肩に触れ、ゆっくりと背中に滑る。その動きは決して急かすことなく、時間を慈しむようだった。外の雪が降り続く音が遠くから聞こえ、まるでその静けさがこの瞬間を祝福しているように感じられた。

誠の手が私の頬に触れた。その触れ方は慎重で、どこか恐る恐るでありながら、彼の中に秘められた確信が感じられた。私は彼の目を見つめ、何も言わずその手に頬を預けた。その瞬間、彼の手が微かに震えたのを感じた。

「由美さん……」

窓の外では、雪が舞い降り続けていた。白い結晶が街灯の光に照らされ、夜空を踊るかのように降り積もっていく。静寂に包まれた部屋の中では、その雪の動きすらも感じられるほど、時間がゆっくりと流れていた。

誠の指先が私の手を包み込み、もう一方の手がそっと背中に触れる。その触れ方は慎重で、まるで一つひとつの動きに意味を込めるかのようだった。彼の目は深い湖のように澄み、吸い込まれるような感覚を覚えた。

「由美さん……この瞬間を忘れたくありません。」
彼の声は囁きのように耳元で響き、その音の一つひとつが心の中に刻まれていく。

彼の手に導かれるまま、私の身体は自然とそのリズムに応じて動き始めた。互いの吐息が重なり、空間に溶け込むように響く。その呼吸が一つの旋律を奏で、私たちの身体がその音楽に合わせて一体となっていくのを感じた。

彼が私をそっと支え、その手が腰に滑る。その動きは水の流れのように滑らかで、彼のリズムが次第に明確さを増していく。胸の奥に広がる熱が全身を巡り、互いの身体の動きが次第に調和していく。触れ合うたび、感覚がさらに研ぎ澄まされ、心と身体が完全に一つに結びついていくのを感じた。

「もっと……感じてください。」
彼の声が耳元で震え、私の心拍が彼の声に応えるように高まった。その瞬間、彼の手がさらに深く私を引き寄せ、私たちの身体が一つの波を描くように動いた。そのリズムは、初めて聞く音楽のようでありながら、どこか懐かしい調べのようでもあった。

静けさの中、外の雪がさらに勢いを増して降り注いでいる。その音が耳に届くたび、私たちの世界が広がり、時間の感覚が失われていく。彼がさらに近づき、その目が私の瞳を捉えた瞬間、全ての感覚が頂点に達した。

二人の動きが頂点に向かうにつれ、身体の内側から押し寄せる感覚が爆発するように広がる。その瞬間、全ての音が消え、光が一瞬にして部屋全体を満たしたかのように感じられた。名前を呼ぶ声が重なり、感情が一つの波となって全身を駆け巡る。

窓の外の雪は静かに降り続けている。その中で、私たちは言葉を交わさずにただ互いを見つめた。彼の額から一筋の汗がこぼれ落ち、私の頬を撫でる手が微かに震えている。その全てが、私たちの間に起きた奇跡のような瞬間を物語っていた。

「由美さん……あなたといられて、本当に幸せです。」
彼がそう囁いた時、私は静かに微笑み返した。

その一瞬の輝きは永遠ではなかったが、その記憶は私たちの心に深く刻み込まれ、消えることはない。雪降る札幌の夜、私たちは静かに互いの鼓動を感じながら、その余韻に浸っていた。

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