同窓会の夜、酔った勢いで懐かしの母校へ 俺のことをずっと好きだった2人の幼馴染と 一夜限りの奪い合い背徳不倫 西宮ゆめ miru
[西宮ゆめ×miru]
-AV業界を代表する超単体メーカー専属女優2人の、一夜限りの奇跡の共演作品-
僕には2人の幼馴染がいる。
華やかで、気分屋な、ゆめ。
気が利いて、優しい、みる。
同窓会で久しぶりに再会した2人と、酔った勢いで夜の学校へ侵入した僕たちは、学生時代に書いた落書きを発見した。
変わらない教室、変わってしまった関係。
沈黙を貫いた、あの日、言えなかった想い。
「一緒に、壊れよう?」
既に既婚者になった僕を昔から好きだった2人は、過去の想いに精算をするかのように、変わらぬ思いをぶつけあうかのように、一夜限りの奪い合いへと発展していく…。
時だけが進んだ夜の校舎で、美少女から美女になった2人と、禁断の三角関係が始まったー。
【第1部】同窓会の夜、二人の幼馴染と夜の学校へ──既婚者になった俺と止まったままの想い
三十代も半ばを過ぎ、結婚して数年。
仕事は忙しいふりをすればなんとかごまかせる程度、夫婦仲も「悪くはない」と言えるグレーゾーンで安定していた。
帰宅すれば、テレビの音と、妻がスマホをいじる光。
会話はある。でも、互いの体温に触れるような言葉は、いつの間にか減っていた。
そんなタイミングで届いた「同窓会」の案内。
添えられた幹事からの一文に、胸の奥が微かにざわつく。
「ゆめとみるも来るってさ。久しぶりに三人そろうな」
ゆめと、みる。
俺の人生の「最初の三角形」をつくった、二人の幼馴染だ。
華やかで、思い立ったらすぐ行動するゆめ。
気が利いて、誰かのグラスの減り具合にすぐ気づくみる。
学生時代、二人はいつも俺の両側にいた。
誰かにからかわれても、「いやいや、三人でセットだから」と笑ってごまかしてきた。
どちらかを選ぶという選択肢に触れるのが怖くて、ずっと「鈍いふり」をしてきた。
同窓会の会場に入った瞬間、その鈍さが一気に剥がされる。
「…ひさしぶり、リク」
先に気づいて手を振ったのは、ゆめだった。
派手さは少し落ち着いたけれど、目元のきらきらした感じは変わっていない。
体のラインを綺麗に拾うワンピースに、周囲の男たちの視線が吸い寄せられていくのが分かる。
「変わってないねぇ、リクは。あ、でもちゃんと“夫”の顔してる」
軽口を叩きながらも、俺の左手の薬指に視線が落ちたのを、見逃さなかった。
少し遅れて、みるがやってくる。
「リク…ほんとに来たんだ。会いたかったよ」
控えめなベージュのワンピースに、さりげないピアス。
学生時代の素朴さはそのままに、空気ごと柔らかくするような笑みだけが大人びていた。
「結婚、おめでとう。直接言えてなかったから」
そう言いながら、みるもやはり、俺の指輪に一瞬だけ目を落とす。
ビール、ハイボール、ワイン。
懐かしい顔と名前に囲まれて、笑い声はどんどん大きくなる。
けれど、テーブルの上のグラスが何度入れ替わっても、俺の意識は左右に座った二人から離れなかった。
「さ、二次会どうするー?」
誰かがそう叫んだとき、ゆめがふいに、まるで悪戯を思いついた子供みたいな顔をした。
「ねぇ、リク。うちらの学校、まだあのまま残ってるんだよ。行ってみない?」
「え、今から?」
驚く俺より先に、みるが笑う。
「ゆめ、相変わらずだね…。でも、ちょっと行ってみたいかも。
だって三人でこっそり夜の学校に行くなんて、学生の頃、一度くらい考えたでしょ?」
図星だった。
放課後に残されていく夕焼けの校舎を見ながら、
「この三人で、誰もいない夜の教室にいたら、どんな気持ちになるんだろう」
そんなくだらない妄想をしたことがある。
「奥さんには、“タクシーないからちょっと遅くなる”ってLINEすればいいんじゃない?」
ゆめが冗談めかして言う。
スマホの画面が、やけに冷たく光って見えた。
「…少しだけだぞ」
自分でも驚くほど、その言葉は簡単に口からこぼれ落ちた。
気づけば三人でタクシーに乗り込み、窓の外で流れていくネオンの向こうに、
封印していたはずの青春の断面が、少しずつ浮かび上がっていくのを感じていた。
校門は、記憶より少しだけ低く見えた。
そこをこっそりくぐり抜ける三人の足音が、夜気の中でやけに大きく響く。
「変わってないね…」
みるが、暗がりの校舎を見上げながらぽつりと呟く。
「変わってないのは、建物だけでしょ」
ゆめの声には、ほんの少しだけ棘のようなものが混じっていた。
夜の学校は、時間だけを溜め込んで、
人間だけ置いていってしまったように静かだった。
【第2部】夜の教室で暴かれた「言えなかった好き」の告白──背徳未遂の三角関係が始まる
懐中電灯代わりのスマホのライトを頼りに、
三人で廊下を歩く。
窓ガラスに映るのは、制服ではなくスーツとワンピースを着た自分たちの姿だった。
「…ここ、だったよね。うちらの教室」
みるが立ち止まった先のドアには、
見慣れた「3年C組」のプレートが、色あせたまま残っていた。
ゆめがドアノブをそっと回すと、拍子抜けするほど簡単に開く。
軋む音とともに広がる、チョークと古い木の匂い。
「わ…」
思わず声が漏れる。
並んだ机、黒板、時計。
すべてが、記憶の中の「最後の一年」から切り取られてきたみたいだった。
「ねぇ、リクの席、どこだっけ?」
ゆめが振り返る。
身体を少し前に倒した拍子に、さりげなく開いた胸元が視界の端に滑り込み、
それを見てしまった自分に対する、みっともない自己嫌悪がじくじくと湧き上がる。
「ここ…だったと思う」
俺が指さすと、二人がその机を挟むように立つ。
「うわ、汚い。誰か落書きしてる」
みるが机の縁を指でなぞる。
薄れかけたペンのインクと彫り込みの跡が、スマホの光に照らされて浮かび上がる。
そこには、見覚えのある文字があった。
「リクと、ずっと一緒にいられますように」
「リクが、私を見つけてくれますように」
拙い字。
しかし、二つの願いが並んでいることに、胃のあたりがきゅっと締め付けられる。
「…これ、覚えてない?」
ゆめが、どこか挑むような目でこちらを見る。
「文化祭の準備のとき、ずっと残ってたじゃん。
あの時、みんな帰ったあと、二人でここで落書きしてたんだよ」
「二人で?」
思わず聞き返すと、みるが苦笑する。
「リク、そういうとこ、ほんと鈍かったよね。
“好き”って、あからさまに書いたら引かれるかなって…
だから、ちょっとぼかしたんだよ」
教室の空気が、少しずつ重くなっていく。
「どっちの字か、分かる?」
ゆめが、机のふちをとん、と指先で叩く。
いたずらっぽい仕草なのに、その目は冗談を許してくれない。
「…分からない。ごめん」
正直に言うと、ゆめはふっと笑った。
「片方は、私。
もう片方は、みる」
みるが驚いた顔をする。
「ちょっと、ゆめ…」
「もうよくない? 十年以上も前の話だよ。
それにさ――」
ゆめが一歩、近づいてくる。
香水とアルコールと、どこか甘い汗の匂いが混ざった空気に、喉が勝手に鳴る。
「リク、自分で気づいてたでしょ。
二人とも、あんたのこと好きだったって」
否定しかけた言葉が、喉の奥で固まる。
鈍いふりをしていたのは、
気づかない鈍さではなく、
選ばないための怯えだったと、ようやくはっきりしてしまう。
「…奥さんとは、うまくいってる?」
唐突にみるが尋ねる。
その声は、驚くほど静かで優しかった。
「うまく…いってるよ。大きな不満なんて、ない」
自分で言いながら、その言葉がどれだけ空虚なのか、痛いほど分かる。
ゆめが、黒板の方へ歩いていき、チョークを手に取る。
きゅ、と乾いた音が教室に響く。
書かれていく言葉を見て、心臓が跳ねた。
「一緒に、壊れよう?」
白い粉がふわりと舞う。
それはまるで、長い時間の埃を一気に叩き落とすみたいだった。
「冗談でしょ」
そう言った自分の声は、想像以上にかすれていた。
「冗談半分、本気半分」
ゆめは振り向きもしないで言う。
「だってさ。
こっちはずっと、“選ばれなかった側”で止まってるんだよ。
リクが誰かと結婚したって聞いたときも――
“ああ、どっちも選ばなかったんだな”って、笑うしかなかった」
みるが、机の角に指をかけたまま、うつむいている。
「私ね、結婚式の写真、ちゃんと見れなかったんだ。
幸せそうで、よかったなって思うのに、胸が苦しくなって。
たぶん、あのときの“言えなかった好き”が、喉につっかえたままなんだと思う」
三人のあいだの空気が、ゆっくりと熱を帯びていく。
それは決して、安っぽい性的な熱ではなく、
十年以上、言葉にならないまま熟成してしまった「悔しさ」と「愛しさ」と「未練」が混ざり合った温度だった。
「ねぇリク」
ゆめが、黒板の前から歩いてくる。
みるも、反対側から一歩、俺に近づく。
逃げ場が、少しずつ狭くなっていく。
「このまま、何もなかったふりして帰る?
“あの頃は楽しかったね”って、きれいな思い出にして」
ゆめの声が、耳のすぐそばで揺れる。
その距離に、全身の神経が集まっていく。
「それとも――」
みるの瞳が、暗がりの中できれいに光る。
「今日だけ、ちゃんと本当の気持ちを言葉にして、
明日からは二度と口にしない秘密にする?」
心臓の鼓動が、耳の内側でうるさく響く。
背徳という言葉が、やけに生々しく舌の上に転がった。
【第3部】「奪い合い」は心の中でだけ──指輪の冷たさと、夜の校舎に置いてきた未完成の不倫未遂
「じゃあさ、ゲームしよ」
ゆめが、突然言った。
「ゲーム?」
思わず聞き返すと、ゆめは机に腰を預け、足をぶらぶらさせながら笑う。
「ルールは簡単。
“あの日言えなかったことを、ひとり一つだけ、ちゃんと言う”。
身体には…触れない。ね?」
最後の「ね?」は、俺ではなく、みるの方を向いていた。
みるは少し驚いたように目を見開いたあと、静かに頷く。
「うん…それなら、いい」
教室の真ん中で、三人が向かい合う形になった。
窓の外の街灯の光が、斜めに差し込んで、
ゆめの髪と、みるの横顔と、俺の影を黒板に並べる。
「じゃあ、私からね」
ゆめが、息をひとつ飲み込む音が聞こえた。
「リク。
私ね、ずっと不公平だと思ってた。
みるみたいに優しくもなれないし、
気が利くタイプでもない。
でも、“一緒にいて楽しいのは絶対私だ”って、自信だけはあった」
少し笑いながらも、その声は震えていた。
「それなのにさ。
リク、いつも“どっちも大事な友達だよ”って逃げてたでしょ。
本当は、“私を選んで”って、何度喉のところまで出かかったか、分かんない」
「ゆめ…」
名前を呼ぶと、彼女は首を横に振る。
「いいの。もう十年以上も前の話だし。
ただね――
“もし、今日ここに来る前に、結婚してないリクに会えてたら”って、
何回想像したか、分かる?」
その言葉は、直接触れられたわけでもないのに、
指輪の下の皮膚をじわりと焼いた。
「次、みる」
ゆめが促すと、みるは少しだけ目を閉じてから、こちらを見た。
「…私ね」
その声は、驚くほど静かで、痛いくらい真っ直ぐだった。
「リクが誰とも付き合わないで卒業したとき、
心のどこかで、“きっと、私を選んでくれる”って、
都合よく信じてたんだと思う」
みるは自嘲するように笑う。
「でも、社会人になって少し経った頃に、
“結婚したらしいよ”って聞いて。
そのとき初めて、ちゃんと分かった。
“ああ、私は一度も選ばれてなかったんだな”って」
ゆめが、小さく息を呑む。
俺の喉も同じタイミングで痛んだ。
「それでも、リクが幸せならいいって思いたくて、
何回も“おめでとう”って心の中で言ってた。
…でも、そのたびに、胸の奥で何かがきしんだの」
みるの目尻に、うっすらと光るものが見えた。
「だから、今日ここに来たのは…
ちゃんと、“好きだったよ”って、
目を見て言える最後のチャンスかなって思ったから」
沈黙が、教室を満たす。
時計の針の音が、やけにうるさい。
「最後、リクの番」
ゆめが、わざと明るい声で言う。
「“あの日言えなかったこと”、あるでしょ?」
ある。
山ほどある。
「俺は…」
声にすると同時に、背中を汗がつたう。
「ずっと、臆病だった。
ゆめを選んだら、みるを失う気がして。
みるを選んだら、ゆめを失う気がして。
どっちも失いたくなくて、
結局、どっちの手もちゃんと握らなかった」
それが、一番卑怯な選択だったと、ようやく言葉にできる。
「大人になってからも、同じことを繰り返してたんだと思う。
“波風立てない”っていう名目で、
ほんとうの気持ちをごまかすのに慣れすぎて」
左手の薬指の重みが、急に増す。
「今日、二人がこうして目の前にいるのは、
たぶん俺の――
“選ばなかった責任”の、答え合わせみたいなもんだ」
ゆめが、ゆっくりと近づいてくる。
その手が、俺の左手をそっと取った。
指輪の上から、親指でなぞる。
「冷たいね。これ」
金属の冷たさと、彼女の指先の体温の差が、
不自然なくらいはっきりと分かる。
「壊そうと思えば、きっと壊せるよ。
今日ここで、“一線”を越えればさ」
耳元で囁く声に、背筋が震える。
けれど、その声の奥に、どうしようもない寂しさが滲んでいるのが分かった。
「でも…」
ゆめは、すっと指を離した。
「それやったら、たぶん本当に、全部壊れるよね。
私たちの“楽しかった青春”も、
今日ここに来た意味も、
リクが必死に守ろうとしてる日常も」
みるも、一歩近づいて、俺の手の甲にそっと触れる。
触れているのに、どこか祈っているみたいな手つきだった。
「私ね、“奪い合い”って言葉、嫌いだったんだ。
勝ったとしても、何かを失う前提だから」
静かな声が、夜の教室に染み込んでいく。
「今日ここに来て、“リクを奪い合う”って気持ちも、
正直、ゼロじゃなかった。
でも今は、それよりも――」
みるの目が、まっすぐにこちらを見る。
「ちゃんと“好きだった”って伝えた上で、
“それでも、奪わない”って選ぶ自分でいたいなって思ってる」
胸の奥が、ぎゅっと掴まれたみたいに痛む。
それは決して、安っぽい「いい話」に収まらない痛みだった。
「ねぇリク、最後にさ」
ゆめが、黒板の方を顎でしゃくる。
「ここに、今の気持ち書いてよ。
昔みたいに、ちょっと卑怯な言い方でもいいからさ」
チョークを手に取る。
白い粉が指先に付く感触が、妙に生々しい。
迷いながら、黒板に言葉を書いた。
「時間は戻らない。それでも、あなたたちと過ごした時間は、今も俺を支えている」
「…らしいね、リクっぽい」
ゆめが笑う。
みるも、涙の跡を指で拭いながら、微笑んだ。
「じゃあ、帰ろっか」
誰かのその一言で、魔法が解けたみたいに三人とも動き出す。
教室のドアを閉めるとき、
黒板の「一緒に、壊れよう?」と、
その下に並んだ三つのメッセージが目に入った。
“壊れる”ことは、選ばなかった。
でも、“何もなかったふり”だけは、もうできない。
夜風が、火照った頬を冷ます。
タクシーを拾う場所までの道のり、三人は他愛ない話をした。
仕事の愚痴、親の老い、健康診断の結果。
さっきまで教室に満ちていた熱は、もうどこにも見当たらない。
それでも、歩幅だけは、昔と同じように自然に揃っていた。
別れ際、ゆめがふいに振り向く。
「ねぇリク。
今日のこと、奥さんには言わなくていいからね」
「…言えないよ」
正直にそう言うと、ゆめは少しだけ悲しそうに笑った。
「そっか。
じゃあせめて、たまにでいいから――
私たちのこと、思い出して」
みるも、小さく手を振る。
「“選ばれなかった側”の女が、
ちゃんと大人になろうとした夜があったってこと、
どこかで覚えててくれたら、それでいいや」
タクシーに乗り込む二人を見送り、
ひとりになった夜道で、
左手の指輪を無意識に撫でている自分に気づいた。
冷たいはずのそれが、
なぜか、少しだけ熱を帯びているように感じた。
【まとめ】同窓会と夜の母校が教えてくれた「不倫未遂」と心だけの三角関係の落とし前
同窓会の夜、二人の幼馴染と再び訪れた母校。
それは、単に「懐かしい場所」ではなく、
選ばれなかった想いと、選ばなかった責任が静かに積もった場所だった。
教室で交わしたのは、
肌と肌が触れ合うような「不倫」ではなく、
心と心がむき出しでぶつかり合う、「不倫未遂」のような時間だった。
誰も、指輪を外さなかった。
誰も、境界線を越えなかった。
それでもあの夜、
三人の中で何かが確かに「終わり」、
同時に、長いあいだ止まっていた時計が、音を立てて動き出した気がする。
ゆめは、「奪い合う」ことよりも、
“奪わない”自分を選んだ。
みるは、「選ばれなかった」痛みを抱えたまま、
それでも人を祝福しようとする、
静かな強さを選んだ。
そして俺は――
“選ばなかった臆病さ”から、ようやく目をそらさずに、
それでも日常を守るという、
一番地味で、一番重い選択に向き合うことになった。
不倫という言葉は、
肉体だけが越える境界ではないのかもしれない。
「もしあのとき…」
「もし今日、もう一歩だけ踏み出していたら…」
そんな“もし”の連続が、
人の心をいちばん激しく揺らし、
ときに、実際の行為以上に官能的な熱を生み出す。
あの夜の出来事は、
検索エンジンに引っかかることもなければ、
SNSに投稿されることもない。
ただ三人だけの、名前のつかない体験談として、
それぞれの胸の奥にしまわれている。
けれどきっと、
ふとした瞬間に、
仕事帰りの電車の窓に映る自分の顔を見たときや、
夫婦げんかのあと、静まり返った寝室で天井を見つめているときに、
あの黒板の言葉がふっと蘇るのだろう。
「一緒に、壊れよう?」
そう誘われて、
結局、壊れることを選ばなかった夜があったこと。
それでも確かに、
心のどこかが、少しだけ形を変えてしまった夜があったこと。
それを覚えているかぎり、
俺はこれからも、
“何を選ばなかったのか”を引き受けながら、
“何を選び続けるのか”を問われ続けるのだと思う。
同窓会、不倫、三角関係――
刺激的な言葉はいくつもあるけれど、
本当に人を震わせるのは、
してしまったことよりも、
“しなかったこと”の方なのかもしれない。
あの夜の校舎に置いてきたのは、
安っぽい背徳ではなく、
それぞれが自分なりの正しさと欲望のあいだで震えながら、
ぎりぎりのところで踏みとどまった、
ひとつの「心だけの不倫未遂」だった。



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