雨の日は、身体の輪郭がぼやけるような気がする。
心の輪郭さえも。
その日、私は43歳。
母となってまだ数ヶ月、娘の吐息とおむつの音が生活のすべてになっていた。
静かな日常は、穏やかだけれど、どこかに蓋をした感情が、胸の奥でくすぶっていた。
夫との会話は育児の報告ばかり。
肌を重ねることは、もう月に一度もなかった。
「……母親だから」
そう自分に言い聞かせるたび、どこかで女としての自分が小さく涙ぐんでいた。
その午後も、私は娘をベビーカーに乗せて、公園のそばを歩いていた。
空は、今にも泣き出しそうな色。
けれど、私はなぜかその灰色の空に引き寄せられるように、家を出た。
途中で降り出した雨に、私は古い倉庫の軒下に逃げ込んだ。
誰もいない静寂。
娘はすやすやと眠っていて、私はしゃがみ込んだ。
胸が、張っていた。
シャツの内側がじんわりと熱を帯び、母乳パッドが吸い切れずに滲み出していくのがわかる。
痛みに顔をしかめながら、私は息を殺していた。
そのときだった。足音と、声。
「大丈夫ですか?」
顔を上げると、そこにいたのは、見慣れない若い男の子。
19歳くらいだろうか。
濡れた髪から水滴を垂らしながら、こちらをのぞき込んでいた。
「ちょっと……胸が張っていて……ごめんなさい、こんな話。」
私は視線を伏せた。
羞恥と痛みと、混ざりあう感情。
彼は少し戸惑いながらも、やさしい声で言った。
「中、入れるみたいです。倉庫、空いてました。」
そのひとことが、私の迷いをほどいた。
娘を抱え、倉庫の中へ。
古びた木の匂いと、外の雨音が心を沈める。
娘を腕に抱いて、シャツのボタンを外す。
柔らかい唇が乳首に触れた瞬間、胸の痛みが溶けていく。
張り詰めた母乳が、じゅくじゅくと滲み、吸われる感覚が快感へと転じていく。
そのとき――
気配を感じて振り向くと、彼がまだ戸口に立っていた。
彼の視線は、逸らしたようで、逸らしきれていなかった。
私はそれを咎めることもなく、ただ静かに言った。
「見ますか?」
自分でも信じられない言葉だった。
けれど、彼は無言のまま、ゆっくりと近づいてきた。
「……触っても、いいですか?」
その声が震えていた。
私は頷く。
ゆっくりと、彼の指がシャツの隙間に差し込まれた。
じっとりと濡れた母乳パッドをめくると、張り詰めた乳房があらわになった。
彼の指が、そっと乳首に触れた。
熱く、甘い痛みが走る。
「……ここ、すごく熱いですね。」
「張ってるの。……溢れそう。」
私の囁きに、彼は唇を寄せた。
一滴、また一滴。
彼の口の中へ流れていく。
その唇が、乳首を包み込んだとき、私は息をのんだ。
張り詰めていた痛みが、悦びへと変わる。
彼の舌が乳首を転がし、強く吸い上げるたび、母乳が溢れていく。
ぴゅっ、ぴゅっ、と音を立てて、彼の口元を濡らす。
私は娘をそっと寝かせ、スカートの裾を整える間もなく、彼に押し倒されるように床に背をつけた。
「……濡れてる。」
パンティ越しに触れられたそこは、すでに濡れていた。
「いやらしいですね、奥さん。」
その言葉に、羞恥が爆発する。
でも、私の腰は抗えずに浮いていた。
「言わないで……お願い……」
「じゃあ、もっと気持ちよくしてあげます。」
彼の指が下着の内側に入り込み、蜜をすくい上げる。
私はくぐもった声をあげ、手で口を塞いだ。
身体が、疼く。
若く硬い彼が、私の中へゆっくりと押し入ってくる。
ずっと忘れていた、貫かれる感覚。
ゆっくりと、じわじわと、私の奥が開いていく。
「熱い……奥まで入ってく……っ」
私は震えながら彼の背中に爪を立てた。
彼は若さゆえの勢いで、激しく、貪るように私を求めた。
快感が、波のように押し寄せてくる。
「もう……やめて……でも……もっと……っ」
濡れた乳首、蕩けた下腹部、交わる音が倉庫のなかに響く。
彼が動くたび、母乳がまた溢れ出す。
恥と悦びが混ざり合い、私は何度も波を超えた。
娘の寝息が聞こえる。
その無垢な命をそばに、私はすべてをさらけ出していた。
雨が上がった空の下、私はベビーカーを押して歩いた。
身体の奥に、まだ彼の熱が残っていた。
誰にも言えない午後のこと。
でも、私はあの日、「母」ではなく「女」に戻った。
一瞬だけでも、確かに。



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