転勤で遠くへ行った夫の熱い液が、喉の奥に残ったまま一年が過ぎた。
私は佐藤柚葉、三十六歳。
実家は代々、夜の話を一切許さない家だった。夫の高橋遥斗も同じ空気の中で育った。抑えれば抑えるほど内側で膨らむのが人の性だと、学生の頃から知っていた。勉強と家の重さの逃げ場は、ただ一人の行為だけだった。見知らぬ視線を意識して、制服のまま公衆の個室で自分を責めたこともある。綺麗に生きてきたつもりだった。実際に誰かと交わる勇気がなく、真面目な交際だけを重ねてきた。
妄想が現実になったら、どんな感覚になるのだろう。
一年前、我慢が限界に達した。ずっと気になっていた遥斗の姿を、ある閉じた交流の場で見つけ、思い切って文章を送った。文字で欲情を煽るのが得意だった。私自身、一人のときいつも卑猥な言葉を小さく口にしていたからだ。
以前付き合っていた男性に局部を口で触れられるのを嫌がっていた。なのに妄想の中では、舌が奥まで入って音を立てて吸い上げられる光景ばかり浮かんでいた。
遥斗は紳士だった。店でお茶を飲んだあと、そのまま帰ろうとした。私は車の中で声を殺して頼んだ。
「お願い。今すぐ、口で触れてほしい」
期待で張り詰めた秘部が、すでに熱く湿っていた。剃り上げて滑らかにしたそこは、指を滑らせるだけで糸を引いた。遥斗は黙って膝を開き、頭を下げた。熱い息が当たった瞬間、腰が浮かんだ。舌先が割れ目をなぞり、花芯をゆっくり押し広げ、奥まで捩じ込むように吸い上げた。ジュル、という音が狭い車内に響く。私はハンドルを握りしめ、小さな声で「もっと奥……吸って」と繰り返した。太ももが震え、熱い液が溢れてシートを濡らした。遥斗はそれをすべて飲み干すように舐め続け、最後に花芯を強く吸った。視界が白くなった。
初めて深く交わったのは、それから二日後だった。
ホテルのベッドで、服を一枚ずつ剥がされ、秘部を再び口で責められたあと、熱い棒が入り口を押し広げた。ゆっくりと、しかし容赦なく奥まで入ってくる。何も言われずに、根元まで埋められたまま熱いものが注がれた。人生で初めて、中に受け止めた。交わる行為として、躊躇はなかった。男性の精を、生きたまま秘部で受け止めるのが、こんなにも狂おしく愛おしいものだと知った夜だった。
「全部、奥に出して」
私が先に言った。遥斗は低く息を吐き、腰を深く押しつけて熱い液を何度も吐き出した。溢れたものが太ももの内側を伝う感触が、忘れられない。
それから麻薬のように、遥斗の体液を欲するようになった。一人で済ませるのは惜しくて、「私に飲ませて」とトラックの陰に車を寄せ、口でご褒美をもらったこともある。蒸れた熱いものを根元まで含み、喉の奥で脈打つ感触を味わいながら、全部飲み込んだ。擦り上げられる感覚が、こんなに気持ちいいものかと、気が触れたように何度も求めた。遠慮なく、当たり前のように注がれるのは、雌としての冥利だった。
「次はいつ、奥に出してくれる?」
涼しい顔の下では、ただそのことばかり考えている。いけない、いけないと思いながら、もっと動物に近いところまで堕ちてしまいたい。
遥斗は福岡へ行った。連絡は細々と続いている。今夜も、寝室の明かりを消したまま、指を動かしながらあの味を思い出している。喉の奥が熱くなる。早くまた、全部受け止めたくて仕方がない。
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