満員電車で先生と… 教師と生徒の理性の戦い

1. 交差する視線

朝の通勤ラッシュ。

車内はぎゅうぎゅう詰めの人波で、吊革を握る指に力が入る。

雑踏の中で、ふと目が合った。

紗季先生——俺の担任であり、誰よりも美しい存在。

彼女は夫の隣に立っていた。

フレアスカートが揺れ、柔らかく流れる髪が肩にかかる。

清楚でありながら、どこか儚げな雰囲気。

シンプルな白いブラウスに、細身のウエストを引き立てるスカート。

上品なフレグランスが微かに香り、息を飲む。

派手ではないのに、目を奪われる。

それが彼女の美しさだった。

俺の視線に気づくと、彼女は一瞬ためらった後、小さく微笑んだ。

「……蓮、偶然ね。」

「……はい。」

短い会話。

それだけなのに、鼓動が強くなる。

彼女が夫といる。それを見ているだけで、胸の奥がざわついた。

俺は知っている。

彼女が、俺を特別に見ていることを——。

2. 近すぎる距離

突然、電車が急停止した。

揺れる車両。

「っ……！」

彼女がバランスを崩し、俺の腕にしがみつく。

とっさに彼女の腰を支えた。

ふわりと広がるスカート。

かすかに香る、甘く柔らかい香り。

「……大丈夫ですか？」

低く囁くように問いかける。

彼女の吐息が耳元でかすかに触れた。

「……ありがとう……。」

震える声。

俺の腕の中で、彼女の熱が伝わる。

夫がすぐそこにいる。

でも、俺は彼女を支えたまま、離すことができなかった。

3. 触れてしまった指先

再び電車が揺れる。

その拍子に、俺の指が彼女の指先と触れた。

ほんの一瞬。

けれど、その熱は明確だった。

彼女の視線が俺の手元に落ちる。

逃げない。

俺も、そのまま彼女の指を包み込むように絡めた。

「……蓮……。」

かすかな囁き。

心臓の鼓動が耳の奥で響く。

俺の指が彼女の指をなぞると、彼女の体がわずかに震えた。

「こんなに近いと……気づかれそうですね。」

言葉に出すことで、俺はこの状況を現実のものにした。

だが、彼女は何も言わなかった。

電車のアナウンスが響く。

「この電車は信号確認のため、しばらく停車いたします。」

車両の時間が止まる。

人々のざわめきが遠くに聞こえ、二人だけの空間に変わっていく。

4. 震える先生

電車が静かに揺れるたび、彼女の肩がかすかに震えた。

俺の指先が陰核に触れるたびに、彼女の息が浅くなる。

熱を帯びた吐息が、かすかに震える声とともに漏れた。

「……蓮……。」

その声を聞くだけで、俺の心臓が高鳴る。

彼女の手は、微かに俺の袖を掴んでいた。

震えている。

俺の手を振りほどこうとするわけでもなく、それでも逃げることもできずに。

夫はすぐ隣にいる。

誰かが振り返れば、この異常な空気に気づかれる。

だが、彼女は俺の手を、まだ握っていた。

電車が次の駅に向かって動き出す。

彼女の呼吸が、俺の耳にかすかに触れる。

「……こんなこと……。」

彼女の声が震えていた。

俺は何も言えずにいた。

この距離、この熱、この時間。

永遠に続いてほしいと願ってしまうほどに——。

彼女の指がわずかに強くなり、俺の手を握る。

それは理性ではなく、本能。

俺の心臓が跳ね、彼女の指が震えながらも離れない。

車内のざわめきが遠のき、世界が彼女だけに閉じていく。

「……蓮……っ。」

小さく、掠れる声。

吐息が深くなる。

微かに上気した頬が、彼女の気持ちを物語っていた。

彼女の香りが、俺の意識を支配する。

電車が速度を上げ、窓の外の景色が流れ出す。

現実が戻ってくる。

彼女はゆっくりと俺の手を離した。

その指先が、最後まで俺の肌の上に残るような感触を残して。

彼女は小さく息を整えながら、前を向いた。

何もなかったかのように。

でも、俺にはわかっていた。

彼女の手が、まだ震えていることを。

そして、俺の中に焼きついてしまったこの感覚は、簡単には消えないことも——。